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【ヤマザキナビスコカップ 甲府 vs 川崎F】レポート:決勝T進出争いに残ったのは川崎F。リスクを負って戦った甲府は、リーグ戦にこの結果と内容と意味を繋げる(13.04.25)

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今節、甲府が負ったリスクの一つはコンディション面が万全ではない新加入のマルキーニョス パラナを先発させ、本来は中盤の選手だがサイドバックで起用したということ。FWのオルティゴサだってまだ体脂肪率は高めだし、シーズン最初からいたウーゴのように特徴を理解し合えているわけではない。しかし、水曜日にヤマザキナビスコカップが入る日程を甲府は上手く使って、3月22日加入のオルティゴサと4月1日加入のマルキーニョス パナラ――加入時は前の所属チームで十分に練習ができなくてコンディションは良くなかった――を急速充電で予想より早いペースでチームにフィットさせつつある。それも全てはクラブ最大の目標であるJ1残留のためであり、J1残留を最大から最低の目標にするため。

その代償が33分に川崎Fに許した先制点。そこまでは何とか均衡を保っていたが、右サイドから風間宏矢が入れたクロスを、甲府のセンターバック林堂眞に競り勝った矢島卓郎が頭で決めてゴール。リーグ戦でも矢島に決められている甲府だが、一番の修正点は風間にフリーで蹴らせたという点。前線からの守備と、ファーストディフェンダーがサボらないことで勝点を拾えるようになった甲府だが、左サイドバックのマルキーニョスと左サイドハーフの井澤惇の間にいた風間には誰もアプローチに行っていなかった。マルキが悪い、井澤が悪いではなく、これが今節に背負った甲府のリスクの一つ。城福浩監督も触れていたが、そこで正確なクロスを入れた風間とヘッド決めた矢島も「これがJ1ですよ」と改めて教えてくれた…ということになる。そんな気はないだろうけど…。

43分に井澤の山なりのロングパスを、オルティゴサが中澤聡太を背負ったままバウンドを合わせて決めて甲府が前半の内に同点に追いついたが、後半開始から風間八宏監督は宏矢を下げて大久保嘉人を投入。最後までベンチを、できれば自宅のソファーを温めていてほしかった人だけど、出てきたのならやるしかない甲府の守備陣。チャンピオンズリーグでバルサのメッシはバイエルンの選手5人くらいに囲まれるすごいマークをされていたけれど、大久保も3人くらいに囲まれても簡単にはボールを失わないすごみがあるから、甲府の選手は随分やりにくかったはず。受け身になってしまった面があったと思う。大久保が入ってからは、前線からの積極的な守備とファーストディフェンダーという甲府の生きる道を少し見失ったようにも感じた。

そして、50分に實藤友紀にCKからの流れのこぼれ球を決められて1−2と甲府は再びリードを許す。城福監督は60分に水野晃樹から金子昌広、69分にマルキーニョスから佐々木翔にスイッチ。マルキーニョスは十分プレーしたし、リスクとなった部分を佐々木で塞いで、甲府が決定機一歩手前のチャンスを何度かつくるが、最後のパスや連携の精度や強引さが足りなかった。71分には右からのクロスを、味方がペナルティアーク付近で「どうぞ、どうぞ」でヒールパスの連続で流してくれたボールを「じゃあ私が」と河本明人が打つが、これは枠の外。前後半で4本のシュートを打った河本。ゴールはなかったけれど、このどん欲さはものすごい魅力。ケガなくこの感覚を磨いて決められるようになれば、外車のディーラーからしょっちゅう電話がかかってくる選手になれるはず。彼のプレーを多く見ることができた点はヤマザキナビスコカップで膨らんだ希望の一つ。オルティゴサとプレーでも一番合いそうな感じなので河本自身のチャンスも、“ケガさえなければ”広がるはずだ。

同点ゴールの希望があった甲府だったが、後半の終盤は矢島ら川崎Fの前線の選手のフィジカルの強さが目立ってきた。ここまで悪くない対応を見せてきた、サイドバックでプロデビューを果たしたFWの橋爪勇樹がペナルティエリア内で小林悠を倒してPKを献上。これを大久保が決めて(81分)、1−3となって甲府の勝利も決勝トーナメント進出も遠のいた。約10分の残り時間で3点を取ることは――諦めはしていないが――現実的ではなく、甲府は1−3で敗れヤマザキナビスコカップは1試合を残して予選リーグ敗退が決まった。ただ、失ったことで、得るためのモチベーションが上がったことも事実。まずは週末のリーグ戦・横浜FM戦(4/27@日産ス)でどんな戦いを見せるかが重要になる。

川崎Fは週末のF東京戦(4/27@味スタ)に向けて自信を積み重ねることになったはず。小林は「自分たちのサッカーをブレずにやって、結果が出ると自信になる。アグレッシブになれる」と“強いフロンターレ”復活に手応えを感じている様子。ボランティア活動にも熱心なJリーグの良心・川崎Fが強いということは、彼らが力になりたいと思っている多くの人たちの希望でもあるはず。甲府はこの結果と内容と意味を糧にして、次のリーグ戦では甲府が勝点3を川崎Fからもぎ取るだけ。今節、声を大にして言いたいのは「リーグ戦に切り替えて頑張ります」。

以上

2013.04.25 Reported by 松尾潤
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