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【J1:第2節 甲府 vs C大阪】プレビュー:C大阪に勝つなら今。最大値を見極めている隙を甲府の大卒ルーキーの怖いもの知らずの野心が突く(13.03.08)

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株高が続き日経平均が12,000円を超えたけれど、円安でガソリンは高く「ハイオク満タン」が死語になりそうだし、4月からは粉ものや油ものが値上がりするとニュースで聞いたような・・・。株なんて持ってないし、社長が賃上げを宣言しているような会社とも縁がなく、値上げの影響しか受けないんじゃないかと不安に思っている人が多いと思うが、2013年のJ1リーグはまだまだ希望がいっぱい。どこかが優勝して、3クラブがJ2に降格することだけは決まっているが、まだまだみんなに希望があるということで、楽しみばかりが多い第2節。第1節全体を振り返ると――そのうち差が出るだろうけれど――各クラブの均衡の継続と不安定要素・ケガ人の増加を予感させた。そのなかで、序盤戦で修正・ケガ人のカバーが出来れば、日本代表が総出撃するまでの前半戦を悪くない気分で送ることができそう。甲府にとって全ての対戦相手が"格上"ということになるが、"格上"が最大値を見極めているところを突いて序盤戦から勝点を積み重ねたいし、それができるチーム力がある。

2011年のJ1第29節でハーフナー マイク(現:フィテッセ)が足が速いことを見せ付けた試合が直近のC大阪戦だがJ2に降格したシーズンなので、彼女にフラれる2ヶ月前の楽しいデートと同じでいい思い出ではない。強く印象に残っているのは3戦して3引き分けだった09シーズン。C大阪の小菊昭雄コーチが「甲府とやるとドツキ合い(シュートの打ち合い)になる」といったことを今でも鮮明に覚えている。3試合ともロースコアだったし、内容ではC大阪が有利な試合が多くて随分ヒヤヒヤしたが、不思議と面白い打ち合いだった。公式記録だと3戦合計でC大阪のシュートが45本で、甲府は25本。得点は2点ずつと控え目だけど、お互いにいい部分を引き出し合えたと思っている。2013年の対戦がこの続きになるのかどうかは分からないが、C大阪には質の高い技術を持つ選手が多く、甲府の選手の良さを引き出してくれるという認識は変わらない。

外野的には、扇原貴宏のベンチスタートが一番不思議だった前節のC大阪。キャンプを見ていないので名前だけで判断しているのだが――新井場徹はケガだったようだけど――椋原健太、枝村匠馬、杉本健勇ら結構な人たちが豪華なサブを構成している。選手層が厚く、紅白戦は見所充分なんだろう。で、前節のC大阪の試合をテレビで観て頭に浮かんだのは、(現時点ではフィールドプレーヤーを全員日本人選手にした方が強いんじゃないのか)ということ。でも、レヴィー クルピ監督はもっと深いところで先を見ているのだろうから、シンプリシオやエジノを使ってくるはず。スポーツ新聞のサイトには「柿谷(曜一朗)1トップの新布陣」や、「扇原、甲府戦で今季初スタメン濃厚」なんて見出しの記事も出ていた。能力の高い選手がフィットしてくるのは第3節以降にしてほしいが、スタートポジションや組み合わせは興味深い。1トップが4−2−3−1なのか4−3−3なのか知らないが、シャドーに入る選手は怖い人ばかり。昔は香川真司(現:マンチェスター・ユナイテッドFC)、乾貴士(現:アイントラハト・フランクフルト)、清武弘嗣(現:1.FCニュルンベルク)が同時期に在籍していたのだから凄いクラブ。主力に育った選手をブンデスリーガにボンボン抜かれてもまだ柿谷、扇原、山口螢、南野拓実ら育成組織出身の選手が先発の半分くらいいるのだから羨ましい。

J1リーグ3度目の甲府はC大阪が4−4−2でも4−3−3でも対策を立てているが、対策で勝ちたいのではなく、自分たちのサッカーで勝つのがJFK甲府の矜恃であり生命線。「自分たちのサッカーとは?」と素朴に聞かれると具体的に答えるのが難しいが、一つの側面は相手ディフェンスの裏やサイドを突くこと。これは世界初の戦術ではないけれど、相手のバイタルエリアに進入してからの共通認識や精度を高めることがシーズンを通じた課題になる。ダヴィ(現:鹿島)のようなゴリゴリFWがいない以上、ゴールを決めるためにはシュート数を増やさないといけないし、シュート数を増やすには相手のバイタルエリアに入る回数を増やさないといけないからだ。前節仙台戦は大卒ルーキー・金子昌広が宮崎キャンプで見た印象以上にボールを持てていたし突破もできていたので、前線での起点が増えてバイタルエリアに入る回数を増やすということが課題になった。途中出場の河本明人もゴールに縁のある星の下にいるので、この2人の大卒ルーキーの怖いもの知らずのチャレンジが今の甲府には欠かせない要素。2月前半にはバイタルエリアまでどうボールを運ぶかということに時間を割いていた時期もあったので悪くない進化だ。

8月3日のアウェイでのC大阪戦のころにはどうなっているのか分からないが、C大阪がエジノやシンプリシオを活かそうという意志を持ちながらも、活かし切れていない今が甲府にはチャンス。中途半端なパス回しや連携ミスを狙ってショートカウンターでゴールを決めて主導権を握りたい。で、同時に自分たちのリスクマネージメントは紅白戦でかなり徹底している。超ベテランCBコンビの経験とキレのいい頭と身体に期待だ。仮想C大阪のアグレッサー組がその気でやってくれているので、先発組は彼らの思いや責任を背負って戦うことは昨年と同じ。チームにはケガ人が多いが、その状況下でも城福浩監督は先発とベンチメンバーを選ぶときに、もの凄く消耗して悩むそうだ。「逆に、ここで私が悩まなくなったのならこのチームは沈みます」(城福監督)というほど、この部分も生命線。3度の目J1リーグでは、"J1昇格"がもう甲府の目標ではないことを見せつけたい。好奇心や勢いの力を借りて戦った過去のJ1リーグとは違う難しさがあるが、目標を達成したときには06年のとは違う経験や感情があるはず。2013年の荒野もJFK甲府と共に戦おう。

以上

2013.03.08 Reported by 松尾潤
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