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【2013Jリーグプレシーズンマッチ 栃木 vs 川崎F】プレビュー:成熟度を測るのに、川崎Fは格好の相手。臆せずにチャレンジし、開幕へ向けて栃木スタイルの確立を目指す。(13.02.15)

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3月3日の開幕戦に向けた腕試し。相手は川崎F。栃木にとって今季初となる、J1との実戦である。
「力のある川崎Fに対してアグレッシブにチャレンジし、現段階でどこまで自分達が出来るのか。その指標としたい」
新守護神の座を射止めた榎本達也は、プレシーズンマッチをそう位置付ける。チームが始動してから、ほぼ1カ月が経過した時点で迎える川崎F戦。静岡と宮崎で行われた2度のキャンプを経て、どこまでチームが成長しているのか。現在地を知るには、格好の機会と相手だと言える。

今季も栃木の攻撃を司る菊岡拓朗は、川崎F戦に2つのテーマを掲げている。
「相手にボールを持たれた中で自分達がどう守り、そこからどう攻撃へ繋げて行くのか。また、自分達がどう主導権を握るのか。そこにチャレンジするには、いい相手だと思う」
2度のキャンプで重点を置いたのは、「全体の意思統一」(松田浩監督)。特に栃木の生命線である、組織的な守備の構築に時間を割いた。噴出した課題を塗り潰すことで、徐々に本来のサッカーが体現できる手応えを掴みつつある。廣瀬浩二は言う。
「まだまだ課題はあるけど、課題をクリアしながら完成度は上がっている」
持ち前のボールを中心としたゾーンディフェスが、果たしてポゼッションに長ける川崎Fを相手に機能するのか。守備からリズムを作る試合運びができれば、大きな自信と成果を得られるだろう。

今季も栃木の代名詞「堅守速攻」は不動だけに、守から攻への切り替えのスピードもチェックしておきたい項目だ。高い位置で奪ったボールを破壊力のあるドリブル突破でクリスティアーノが単独でフィニッシュに持ち込むのか、それともポストワークが冴える近藤祐介を経由してサイドから仕掛けてシュートに結び付けるのか。シャープなカウンターを繰り出し、巧みな連携からゴールを取り切りたい。

昨季、より攻撃的なスタイルへの移行を図り、堅守速攻に上乗せしたポゼッションの浸透度具合も確認しておきたいところだ。川崎Fの布陣は不透明だが、比較的スペースを使いやすい4‐3‐3ならば、栃木がボールを握る時間帯も出てくるはずだ。「回されるだけではつまらない」とは西岡大輝。相手のお株を奪うようにボールを支配し、なおかつゴールに繋がるチャンスが生み出せるようならば、リーグ戦でG大阪などと対戦する際に成功体験として活かせる。臆することなく、果敢なトライが望まれる。

風間体制に移行してからボールを繋ぎ倒すサッカーの浸透を図っている川崎F。栃木がボールを大事にする京都などをシミュレーションして戦うように、川崎Fもまた栃木を堅守で鳴る仙台や鳥栖に見立て、強固なブロックをこじ開けることに主眼を置き、この一戦に臨むはずだ。相手の逆を突くプレーなど、風間八宏監督が打ち出す常識を疑った発想が、どれだけピッチで披露できるのか。それがチェックリストの最上位にくるはずだ。また、これは栃木にも当てはまるが、既存戦力と新戦力の融合が図れているのかを、公式戦に限りなく近い状況の中で確認しておきたい。新加入の大久保嘉人とパトリックが戦術の中で個を発揮できれば、攻撃的なスタイルの確立は促進されるに違いない。

プレシーズンマッチはテストマッチの意味合いが濃く、当然だが結果は問われない。手の内を晒す必要もない。松本山雅との開幕戦に照準を絞り、戦術の浸透やレギュラーの絞り込みなどが最優先される。その一方で、ホームで開幕戦を迎えるにあたり「スタジアム10,000人集結 大作戦」を栃木は展開しており、来る新シーズンに胸を高鳴らせて来場した観衆を落胆させる不甲斐ない試合はできない。勝てば申し分ないが、結果が伴わなくとも、「3月3日にまた足を運びたい」と思わせる魂のこもったプレーや姿勢が求められる。すなわち、今季のスローガンである「感動!」を与える使命は、川崎F戦から負わなければいけない。意気込みや昇格に懸ける気持ちは、開幕を前に既に問われている。

以上


2013.02.15 Reported by 大塚秀毅
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