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【J2:第42節 徳島 vs 千葉】レポート:大きな差を見せつけられての完敗で苦い終幕となった徳島。逆に千葉はプレーオフへ弾みを付ける素晴らしい戦い。(12.11.12)

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猛烈な風と、それによって舞うように降り注ぐ霧状の雨。今季最終戦を迎えたポカリスウェットスタジアムはそのような最悪の天候に包まれた。記者席のあるメインスタンドの屋根下でもかなり辛かったのだから、ずっとそれらにさらされ続けたゴール裏の両サポーターには相当過酷な状況だったに違いない。
そしてゲームについては、その天候が作り出したスリッピーなピッチが両チームの間に存在した差をくっきり浮き出させたと言えよう。結果、個々の技術力、組織の完成度でも大きく上回った千葉がこのリーグ最終戦を完勝。ホーム白星で最後を締めたかった徳島は一矢を報いることも出来ないまま今シーズンを終えることとなった。

スリッピーなピッチは序盤から容赦なくボールへ影響を及ぼす。選手たちが送り出すパスのスピードをほぼ例外無くアップさせていったのである。すると、そうしたボールの変化によって、徳島と千葉には明確な違いがハッキリ現れていく。端的に言えば、それを苦にする者としない者に分かれたということで、言うまでもなく前者になってしまったのは徳島だ。
徳島は繋ぎの場面において、その影響から少なくないミスを発生させた。まず個人の部分で、トラップを足元から弾いてしまったり、ダイレクトの精度を欠いたりする場面が散見。そのためグループとしてのスムーズな繋ぎは数えるほどしか出来なかったと言わざるを得ないだろう。特に最前線中央で起点作りが求められたキム ジョンミンがそうしたミスを連発していたのはチームにとって痛かったはず。本来なら彼へ入れるボールが攻撃のスイッチにならないといけないはずが、そこがほとんどボールロストの現場になってしまったのだから。

とは言え、個の技術だけでなく組織としての未熟さもそうした繋ぎのミスを増やす要因であったと言うべきである。こうしたピッチ状態の中ではダイレクトを選択する場面も多いが、そうし易いタイミングや距離、角度でのサポートをボールの受け先の周囲にチームとして作れていたかと言えばそうでない。そのためにトンットンッというリズムがなかなか生まれず、効果的な展開も組み立てられなかったと言えるだろう。

逆に千葉はそうでなかった。誰もが滑って走るボールもしっかりとコントロールし、次のプレーへ繋げていく。中でも1トップの藤田祥史は高い技術を常に安定して維持し、まさにお手本のような起点作りを何度も披露していたと言って間違いない。徳島のベテランDF三木隆司がどんなにタイトに寄せようと落ち着いてボールを預かり、受けたボールを不用意に失うことなど全くなかったのである。また徳島が作り切れなかった周囲のサポートも彼らはほぼ完璧なレベルで実践する。実際前半に挙げた2つのゴールはどちらも前記の藤田に対する質の高いサポートが実を結んだもの。1点目は藤田のダイレクトの落としを早く正確な位置取りで兵働昭弘が受けたからで、2点目も藤田のキープに対し佐藤勇人が冷静に見付けたスペースへ入り込んだことから記録された。

いずれにしても、千葉は90分通して個のところで非常に高い技術を見せ、組織としても高水準の連動・連携を披露。徳島との差を誰の目にも分かるほど強く示し、その流れから当然のごとく勝利を手にしたのであった。さらにこの一戦の内容なら控えるプレーオフに向けて十分勢いが付いたと言えるだろう。千葉は自分たちへの自信をいっそう深め、11/18の決戦へ臨めるに違いない。

さてホームでの最終戦を飾れず無念の今季終幕となった徳島についでだが、今選手たちに求められるのは他でもない、この日のファン・サポーターの姿を脳裏に焼き付けておくことだ。冒頭で触れたような大荒れの天候でも試合開始前から懸命の後押しをし、終了後も冷えきった体そのままで残ってチームのセレモニーを見届けてくれた背番号12番たちの姿を絶対忘れないように。その上で、来季も続いてヴォルティスブルーのユニフォームに袖を通す選手たちはそれを新シーズンへ必ず持っていき、自らを奮い立たせる何よりのカンフル剤としなければならない。
徳島の2013年の戦いはもう始まっている。

以上

2012.11.12 Reported by 松下英樹
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