「今年の俺たちは違う」。その思いをこれまでの戦いぶりで示しているチーム同士の対戦だ。
水戸と愛媛。リーグの中でも経営規模が小さく、毎年J2の下位を低迷するという歴史を繰り返してきた両チームである。しかし、今季は過去の流れを断ち切り、新たな一歩を踏み出そうとしている。昨年までしっかりと戦術の基盤づくりを行い、そして今季はピンポイントの補強を行い、チーム力を向上させた。その結果、序盤から安定した力を発揮し、リーグの中で存在感を示している。現在水戸が8位、愛媛が11位という成績だが、ともにさらなる上位を虎視眈々と狙っている。今節は「上位争い」への切符をかけた一戦。熱い戦いにならないわけがない。
「ウチと愛媛は似ている」と柱谷哲二監督が言うように、繰り広げるサッカーも共通点が多い。整備された組織的な守備を基盤に、ボールを奪ってからは丁寧にポゼッションをしながら攻撃を組み立て、攻守において安定感のある戦いを見せている。ただ、動きの少ない試合になる可能性もある。両チームともに堅固な守備を特徴としており、ちょっとやそっとの攻撃では崩れないだろう。当然、両チームともに相手の守備の隙を突いていこうとするだろうが、これまでの両者の戦いを踏まえるとなかなか点の入らない展開になる可能性の方が高い。我慢比べが強いられる展開になることも十分考えられる。
前節、我慢できずにバランスを崩したのが水戸であった。鳥取を相手に圧倒的に攻勢に出たものの、ゴール前に人数をかけて守る相手の守備を崩すことができず、前がかりになってしまった。その隙を突かれて2失点を喫し、試合に敗れることとなったのだ。「もっと我慢強く、忍耐強く試合を進めていく必要がある」(市川大祐)という課題が浮き彫りとなったのであった。
そういう意味で今節は課題克服の絶好のチャンスと言えるだろう。なかなかゴールが決まらなくても慌てずにしっかりとボールを動かしながら、愛媛の守備を揺さぶっていきたい。その攻撃を繰り返すうちに必ず愛媛の守備に隙が生まれるはず。そこを逃さずに突くしたたかさが上位に食い込むためには必要だ。90分で勝てばいい。その余裕を持ちながら戦えるのが「強者」である。水戸がそうした戦いを見せることができるかも今節の注目点と言えよう。
逆に隙を見せると、「ダイナミックになった」(柱谷監督)愛媛の攻撃陣に痛い目に遭わされることだろう。特に気をつけたいのは7得点を挙げている有田光希だ。驚異的な身体能力と抜群のゴール嗅覚を兼ね備えているストライカーの有田。彼への対応が甘くなると、失点を覚悟しなければならないだろう。たとえボールを支配できたとしても、90分間チーム全体でリスク管理を怠らず、アラートな状態を保ち続けることが重要だ。攻守において気持ちを切らさないことが今節の勝利の条件となる。
前節でリーグの3分の1が終わることとなったが、「予定通りの勝点を積み上げることができた」と柱谷監督は納得の表情を見せている。結果だけでなく、内容でもほとんどの試合で主導権を握ることができ、及第点のリーグ序盤戦を過ごした。ただ、これから上位争いに食らいついていくためには「ゲームコントロール」が必要となってくる。それは「メンタルの強さ」と言い換えることもできる。いかなる展開でも冷静さを失わず、ゲームの流れを見ながら試合を進められるにようにならなくてはいけない。「ただガムシャラに戦っていた」(本間幸司)昨季までの水戸とは違うということを証明することができるか。今節、水戸の成熟ぶりが問われるゲームとなる。
以上
2012.05.19 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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