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【'93Jリーグサントリーシリーズ第1節 ヴェルディ川崎 vs 横浜マリノス】プレビュー:いよいよ開幕するJリーグ!歴史的一戦を見逃すな!!(12.05.14)

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※編集部注:93年5月14日に戻ったつもりでお楽しみください!

ウチの奥さんは女子高時代、高校球児の追っかけをやっていた。プロスポーツも野球しか興味がなく、河埜和正(巨人)の大ファン。「サッカー? 知ってるよ。網の中にボールを入れれば勝ちなんでしょ」という程度の知識しかない、典型的な野球王国・愛媛の少女だった(今は熱烈なサンフレッチェ推しだけど…)。
だが昨年の「AFCアジアカップ1992 広島大会」の頃から、事態は急変する。広島に来てからは周囲のカープ熱に圧倒されたのか巨人への気持ちもすっかり醒め、かといってすぐにカープへと心変わりできるほどの割り切りもない。そんな彼女の心に割り込んできたのが、サッカーだった。

今では日本代表を熱心にチェック。地元サンフレッチェももちろん応援しているが、そこはミーハーの塊。テレビによく出ている三浦知良やラモス瑠偉、北沢豪、武田修宏らがいるヴェルディが気になって仕方がない。オフサイドもわからないし、システムや戦術のこともさっぱり。ただ、ワールドカップ1994アメリカ大会のアジア1次予選(93年4月8日〜5月7日)では日本がゴールを決める度にマンション中に響き渡る声で「キャーキャー」と大騒ぎ。あげくは部屋で踊り出す始末だ。
サッカーにどっぷりと浸かり始めた彼女だけに、5月15日のJリーグ開幕戦はどうしても観戦したい。東京までの旅費や宿泊費を払ってでも。想いは募った。だが、残念なことにこの歴史的な試合のチケットはソールドアウト。全て事前申込制、抽選で当選した購入者のみが、名前が印字された特別なチケットを手にすることができたのである。

彼女は決して、特別なケースではない。会社でも、昨年の同時期にサッカーのことを話題にする人はいなかった。筆者は仕事の関係で広島アジアカップ準備室に通ったことがあるが、そこの担当者も「来場者数が心配。日本人ってサッカー見ないでしょ。関心ないもん」と語っていた。ところが、今や毎朝、サッカーの話で持ち切り。1年前はワールドカップの存在も知らなかった上司が、日本代表初出場の可能性について論じている。カープのことしか話題がなかった取引先が、サンフレッチェのJリーグ優勝の可能性について語りに語る。熱狂的なカープファンの後輩が「みんなサッカーばっかり。私一人になっても、カープを応援するんだ」などと熱くなるほど、周囲はサッカーに染まろうとしていた。実際、テレビでは毎日、サッカーの話題。Jリーグの開幕が近づくにつれ、「ヴェルディ川崎と横浜マリノス、どちらが勝つのか」「初ゴールは誰なのか」「カズは、ラモスは、井原は」と連日テレビや新聞を賑わしている。

Jリーグの10クラブの中で、ヴェルディ川崎と横浜マリノスの両クラブは抜群の知名度を誇る。最後の日本リーグ王者に輝き、'92ヤマザキナビスコカップ・ウイナーでもあるV川崎と、'93年元日の天皇杯で優勝を飾った横浜M。80年代後半から日本のサッカーシーンを牽引した両クラブには、日本代表が合わせて10人。広島の森保一・高木琢也、ヤマハの吉田光範、浦和の福田正博を除き、代表のレギュラーはこの両クラブの選手が占めている。
さらに横浜Mにはアルゼンチンの英雄で、インテルにスクデットをもたらした世界的ストライカー=ラモン・ディアスがいる。79年のFIFAワールドユース選手権でマラドーナとともに来日、大会得点王に輝いて優勝を果たした。82年のワールドカップ スペイン大会にも出場したディアスは、マラドーナとの確執もありその後は代表に招集されていないが、実力は間違いなくワールドクラス。元アルゼンチン代表のビスコンティも相当の実力者で、彼らとGK松永成立、DF井原正己や勝矢寿延、MF山田隆裕らの日本代表、そして木村和司・水沼貴史ら日産の黄金期をつくったベテランたちとのコラボレーションは、V川崎のラモス瑠偉・三浦知良・武田修宏・北澤豪・柱谷哲二・都並敏史らがひしめくスター軍団と十分に闘える戦力だ。

一方のV川崎にとっての気がかりは外国人選手が横浜Mほどの「大物」ではない点だ。FWのヘニー・マイヤーは確かに大型ではあるが、母国オランダでも特筆すべき実績は残していないし、イェーネ・ハンセンやペレイラ(ブラジル)にしても同様。ただ、外国人選手はやってみないとわからないし、彼らが日本で大化けしないとも限らない。

ちなみに奥さんに聞くと、「V川崎が勝つに決まってるじゃん。初ゴールはカズよ」と典型的なミーハーのお答え。でも、それでいいんだと思う。かつて日本サッカー界には、「ミーハー」という存在はなかった。「日本リーグ時代は家族や友人、同僚くらいしか、見に来てくれなかった」(森保)し、「ミーハー」が食いつく話題性もなかった。それが、Jリーグ誕生という画期的な出来事をきっかけとしてライト層がふくらんだ。もちろん、ブームはいずれ去るだろう。だが、内容の濃い試合を続けてサッカーの本当の魅力をJリーグが伝え続けてくれれば、ブームの後にサッカー文化が生まれる。新しいスポーツ文化として定着し、成長してくれる。そんな予感はひしひしと感じる。

前述したように、開幕戦のチケットはもはや、市場に存在しない。だが、この臨場感をぜひ味わいたいという方は、ぜひニコニコ動画での中継をご覧いただきたい。

以上


2012.05.14 Reported by 中野和也
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