1勝4分の城南一和と名古屋がリードし、1勝3分1敗のセントラルコーストが逆転でのグループ突破を狙う。今季のAFCチャンピオンズリーグのグループGは、最終戦でようやく突破チームが決まる大混戦となった。名古屋はセントラルコースト(CCMFC)を迎えてのホームゲームで引き分け以上が突破へのノルマ。しかし負ければ予選敗退の憂き目に遭う可能性が高く、楽観視などしていられない状況だ。最終決戦という言葉を使うにはあまりに早い段階だが、ここで終われば今季のACLは終わる。そのぐらいの気持ちで向かわなければいけない試合ではある。
名古屋にとって幸いなのは、チーム状態が上向いたタイミングでの戦いとなったことだ。リーグ前節の神戸戦では1-0ながら、内容面では今季ここまでで屈指の出来だった。ことに攻守のバランスとゲームコントロールにおいては、ようやく本来の姿を取り戻したという印象で、守備の粘り強さも復活。ケネディも89分間プレーし復調をアピールするなど好材料ばかりが目についた。そのきっかけとなったダニルソンをアンカーに置く4-3-3の効力は絶大で、ケネディの状態次第ではあるが、今回の試合でもファーストチョイスの布陣となることは間違いない。
対するセントラルコーストは実力が読み取りにくいチームだ。グループリーグ前節では天津泰達に5-1と大勝しながら、その前には城南一和に0-5で敗れるなど調子の波が非常に激しい。オーストラリアでの名古屋戦では1点リードされた後に高さを活かして追いつくと、その後はゲームを支配した。長身かつテクニックに優れるROGIC(背番号17)と小柄ながら強靭なフィジカルとゲームメイク力を持つAMINI(背番号22)が要注意人物で、名古屋は守備時に彼らに自由を与えないことが最大の課題となる。グラハム・アーノルド監督に鍛えられた組織力も非常に高く、今季のオーストラリアリーグのレギュラーシーズン首位という成績はダテではない。
前回対戦を参考にすれば、名古屋がまず修正すべきは相手との間合いだ。玉田圭司を筆頭に永井謙佑、金崎夢生らドリブルが得意な選手たちは、大柄でリーチの長いセントラルコーストのDFたちに引っかかることが多く、攻撃のリズムをうまく作れずにいた。それはパスに関しても同じことで、国内やアジアにはない間合いにどれだけ早くアジャストできるかは、試合展開を左右する要素にもなりうる。また国内では常に優位に立てる空中戦も、この相手に対しては五分といった見通しだ。アウェイではその部分で失点を喫しているだけに、特に守備陣は普段以上の警戒態勢で臨む必要があるだろう。それら試合を戦う上での土台となるものを踏まえた上で、神戸戦で見せたような闘争心あふれるアグレッシブなサッカーを表現したいところ。体格差やフィジカル差を埋めるのは技術や身のこなしだけではない。体を当てる際の覚悟やボールを奪うという気迫も、重要な要素なのである。
さしあたって名古屋は勝点3を狙うことになるが、積極的に勝利を求めて逆襲を喰らうリスクとの駆け引きは大事にしたいところだ。1位通過の可能性を追求するならば、勝点3は絶対に必要だが、それも試合展開によりけり。ラウンド16をアウェイで戦うことはできれば避けたい、という計算にどこで折り合いをつけるかは指揮官の決断にかかっている。指揮官同士のインサイドワークもこの試合の見所のひとつなのである。中2日での試合については、オーストラリアから遠征してくるセントラルコーストに比べれば環境、条件は優位にある。前戦が良い試合だったことで、中2日という短いスパンがメンタルや感触的にはむしろ良い方向に働くこともあるだろう。以前、ベテランの中村直志が言っていた。「連戦は乳酸などの体の面さえ回復できれば、頭はむしろ良く動くから好きですね」と。中2日のうち1日を完全休養に充てた名古屋が、好感触を携えたまま、ひとまずの“最終決戦”に挑みかかる。
以上
2012.05.14 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
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