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【J1:第4節 浦和 vs 川崎F】プレビュー:公式戦3連勝と勢いに乗る浦和、川崎F戦でトレーニングの成果を出せるか(12.03.30)

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リーグ戦で2連勝、ヤマザキナビスコカップを含めると公式戦3連勝と勢いに乗る浦和。運動量とコンビネーションを融合させる新しいスタイルに取り組む中で早い時期から結果もついてきているが、チームに浮かれた様子はない。日々のトレーニングではミハイロ ペトロヴィッチ監督からこれまで同様に厳しい指摘の声が飛び、選手たちも集中力を研ぎ澄まして指揮官の志向するスタイルを吸収しようとしている。

「監督は浮かれるなと言っているし、常に足元を見つめて戦わないといけない。新しいサッカーに取り組んでまだ時間も経っていないし、どこに落とし穴があるか分からない」(槙野智章)

ペトロヴィッチ監督が選手たちに求めるものは一貫している。人とボールが動くサッカーを実現させるために必須の要素を刷り込もうと粘り強く指導を続けており、今年からチャレンジしている戦い方は徐々に浸透してきている。つまらないミスがないわけではない。選手たちが言うように完成度はまだまだ低いのかもしれない。しかし去年とは異なり、ミスはミスでも“何をしようとして失敗したのか”という意図が見えるものが多く、チームが明確な方向性を持って前に進んでいることを窺わせている。

次の試合でJ1出場150試合を迎える柏木陽介は広島戦後、「がんばってはいるけどバタバタしているだけだった。練習でやっていることが試合で3つくらい出るようになれば十分かと思うけど難しい」と厳しい言葉を口にしていたが、トレーニングの積み重ねによって今は「試合で3つくらい出る」ような状態になってきている。

指揮官は確固たるサッカー観を持って指導に当たる一方、対戦相手へのリスペクトも欠かさない。今週の練習でも、川崎Fをスカウティングして浮かび上がってきたポイントを練習に落とし込み、選手たちに対応策を植え付けていた。昨季と比べ守備に安定感を見せる川崎Fだが、それを支えるチーム全体でのハイプレスに対し、29日に埼玉スタジアムで行った練習では、後方の選手にしっかりビルドアップさせるトレーニングを行い、その精度を高めようとしていた。

「相手がどう出てくるか想定した練習だったのでイメージが付きやすかった。川崎Fは時間とスペースを与えてくれない。前からプレッシャーにくるので、早く縦パスを入れること、早い判断が要求されるし、かいくぐることができればチャンスができる」(槙野)

川崎Fは中村憲剛や柴崎晃誠らボランチでゲームを作り、サイドハーフ、あるいは攻め上がってきたサイドバックがラストパスを出すことが多い。また、時には中盤に落ちてボールを受け、最終的にはフィニッシュまで持っていく力を持つレナト、長身ながら足元のスキルにも長ける小松塁など、今季攻撃が爆発した試合こそないが、アタッカー陣のポテンシャルは高い。浦和としては中盤をケアしながら、3バックがポジショニングに注意を払い、クロスなどへの対応をしていきたい。

攻撃時でもサイドの使い方がポイントになりそうだ。川崎Fは前からプレスをかける際、全体的にボールサイドに寄って圧力を高めようとするため、ボールサイドではスペースも時間もかなり制限される。だが、見方を変えれば、その分だけ逆サイドには時間もスペースも生まれるということ。川崎Fの厳しいプレスをかわし、逆サイドに展開できればビッグチャンスにつながる可能性は上がる。「今回のゲームではウメ(梅崎司)やヒラさん(平川忠亮)に対するロングパスがキーになる。あそこは空いてくるので重要だし、狙っていきたい」と槙野も力を込める。

浦和は川崎Fにここ5試合負けなしと苦手意識はない。一方で、ペトロヴィッチ監督は川崎Fにリーグ戦3分6敗と1度も勝ったことがないという嫌なデータもある。果たして今回の一戦ではどちらの相性が勝ることになるのだろうか。

以上

2012.03.30 Reported by 神谷正明
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