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【J2:第4節 北九州 vs 水戸】レポート:北九州が今季初勝利。ルーキー、渡の先制ゴールが勝利呼び込む。(12.03.21)

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3月1日に広島皆実高を卒業したばかりのFW渡大生が鮮やかな…鮮やかすぎるゴールで試合を決め、北九州が今シーズン初勝利を挙げた。渡はプロ初スタメン。しかし「緊張することはなかった」と話す大物は、「思い切りのいい彼らしさというのが出た」と三浦泰年監督が認めるダイナミックなプレーで観客を魅了し、勝利をも呼び込んだ。

この90分は、北九州らしいゲームであると同時に、北九州らしくないゲームでもあった。

前節・松本戦に引き続いてダイヤモンド型の4-4-2のシステムだったが、メンバーは大きく入れ替わった。もっとも宮本亨が「ボールの回し方は変わるが、やることは変わらない」と話すように、数的優位を作りながらポゼッションしていくという意識に変化はない。ただ4バックになると、高い位置を取るサイドバックと、リスク管理をするボランチやセンターバックのそれぞれに3バック時以上のバランス感覚が求められる。これが実際にはまっていくのには本来ならば時間がかかるところだが、この試合では新井涼平が中心となって落ち着いたリスク管理をしていった。この新井のバランス感覚もあって、宮本自身も底に張り付かずにリスクを負いつつも果敢に前線に飛び出していくなど、北九州は持ち前のポゼッションをしつつもアグレッシブな攻撃を序盤戦から展開した。

前半はその北九州の攻撃スタイルと、水戸の島田祐輝やロメロ フランクらを起点に鈴木隆行におさめつつ、再び島田や橋本晃司が飛び出してくる流動的なスタイルが拮抗。「全体的にはガチンコでおもしろいゲームだった」という柱谷哲二監督の言葉が的を射る状態だった。

無得点で前半を折り返し、試合が動いたのは後半開始直後の51分。
水戸のGK本間幸司からのフィードを北九州のFW池元友樹が拾い、巧みに守備陣をかわしながらペナルティエリアの少し手前から強い弾道のシュート。これが水戸のDFに当たりこぼれ球を渡が拾うと、ゴールに向かって左手のタイトな角度から左足を、冒頭に引用した三浦監督の言葉のように『思い切り』よくゴールに向かって振り抜いた。「(前半に)あと1歩というチャンスがあったので、突き詰めていければ入ると思った」という渡の冷静さと、ためらわずにシュートを打つ大胆さの両面が発揮された瞬間だった。

この渡のプロ初ゴールで北九州が先制。しかし、終盤での逃げ切りが勝利の方程式とも言える北九州にとって、51分での得点は「少し早い時間帯だった」(三浦監督)。指揮官は記者会見で「そのあとの攻撃リズム、また守備のリズム」が心配だったと話したが、実際にその後の時間帯は北九州らしくない防戦一方になってしまった。
前半のリズムの良さは見られず、水戸がゲームを掌握。66分にはペナルティエリア内に鈴木隆行が入り込んでシュートを打たれ、続く70分には島田にGKと1対1になるビッグチャンスを作られた。しかし北九州はGK佐藤優也が好セーブを連発したり、FWも絡んでハードワークしたりと応戦。水戸はハードワークの前に決定機をいかせず、時間だけが進んでしまった。アディショナルタイムにも鈴木隆行が絡むチャンスがあるもネットを揺らすことはできず、結局1-0でホイッスルを迎えた。

北九州は先制したあとの時間の使い方に課題は残したが、新井のリスク管理やFW渡の活躍など好材料を手にした試合にもなった。一方の水戸は連勝が3でストップしたものの、攻撃力は健在。やや無理に攻めすぎた感も否めないが、歯車がきちんと噛み合えば、再び大量得点を奪うような試合も見せられるはずだ。
前半と後半で主導権が入れ替わる試合は1-0で決した。しかし互いにとって次に繋がる内容となっただけでなく、連戦ながらも双方が高いパフォーマンスを見せつけて、見どころのある試合ができたことは高い評価に値するだろう。プレビューにも書いたが今季のJ2はタイトなスケジュールとなる。この試合をひとつの土台としながら、次に向けて準備を重ねていくことに期待したい。

以上

2012.03.21 Reported by 上田真之介
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