開幕戦で2−2の引き分けで勝点1を獲得。ミスもあったが、『守備から入る』と言う明確な方向性が見えた。第2節の徳島戦では、地力で上回る相手に0−3の完敗。行徳浩二監督率いる『新生・FC岐阜』の船出は、決してスムーズとはいかなかった。
しかし、これは織り込み済み。最初からうまくいくはずがない。大事なのは段階を踏んで前進していけるか。この視点から見ると、まず岐阜は昨年足りなかった部分を補ってベースを作り上げる段階にある。
守備の立て直し。これこそが最初のテーマであり、行徳監督が力を入れている個所だ。メンバー自体も確定したわけではなく、様々な組み合わせを試している最中。前節の徳島戦ではボランチに新戦力の金正賢をスタメン起用し、服部年宏とコンビを組ませた。そして、途中から染矢一樹に代えて、橋本卓をサイドハーフで起用した。
今節はまた新しい戦力が加わった。清水から高卒2年目の樋口寛規が期限付き移籍で加入した。彼は滝川第二高校時代に、『ダブルブルドーザー』の異名を取るツートップの一角として、2010年度の全国高校サッカー選手権大会でゴールを量産。力強いドリブルと、強烈なパンチ力と思い切りの良さで、チームを優勝に導くと、大会得点王にもなった。プロ1年目はトップ出場はならなかったが、練習試合では持ち前の得点感覚を披露しており、それが岐阜で発揮される期待は大きい。
彼が入ることで、前線の形も変わってくる。佐藤洸一と組ませて、高さと馬力とスピードを兼ね合わせたツートップにするのか、井上平と組ませて、スピードと馬力、突破力を生かしたツートップにするのか。
対する草津はダブルボランチが不動。熊林親吾と松下裕樹のJ2を知り尽くしたベテランがチームを巧みにコントロールするだけに、このボランチコンビをかく乱するには、後者の組み合わせが好ましいように思う。さらに行徳監督のサッカーは、ボールを奪った後に、素早く相手の裏のスペースを突くサッカー。そうなると裏に飛び出すことが出来、かつ個人で突破が出来て、ギャップで受けることが出来るこの2人の組み合わせの方が面白い。ただ、井上を左サイドハーフに置いて、前者のツートップにするのも面白いだろう。
そして個人的に期待をしたいのが廣田隆治だ。廣田は今週のU-19日本代表合宿に参加。そこで高い守備意識を見せつけた。右サイドから素早くプレスをかけ、相手のパスコースを限定したり、サイドバックとうまく連携して囲い込んでボールを奪うなど、守備の質は非常に高かった。合宿最終日の千葉との練習試合では、レギュラー組として右サイドハーフとして出場し、高い守備力を見せた。得意のドリブルはまだ出し切れていないが、前線からの守備のキーマン、そしてドリブルでのチャンスメーカーとしての役割が期待出来る。
草津も前節、湘南に1−3で負けており、この試合で連敗は避けたい。岐阜も同様だ。果たしてどちらが連敗せずに、次の試合に臨めるか。岐阜としては守備の手ごたえを感じるためにも、何とか失点をゼロで抑えることを最優先したい。
以上
2012.03.16 Reported by 安藤隆人
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