Ｊ２加入２年目はアウェイ２連戦から始まった鳥取にとっては、待ちに待ったホーム開幕戦。Ｊ２の「後輩」町田を、とりぎんバードスタジアムで迎え撃つ。

最初の２試合は１分１敗。吉澤英生監督が「スタートは素晴らしかった」と振り返るように、岐阜との開幕戦は立ち上がりの９分、続く熊本戦は10分に先制点を奪う、幸先の良い滑り出しだった。しかし、その後にいずれも逆転を許しており、岐阜戦は追い付いて２−２の引き分けに持ち込んだが、熊本には１−２で敗れている。
両試合とも、立ち上がりに主導権を握ることができたのは、吉澤監督が「今季のベース」と語る、前線から相手を追い込んでいく守備が機能していたから。相手のボール回しを連動したチェイシングで追い込み、先手を取ることでリズムを寸断できていたが、徐々にペースダウンした時間帯に失点を喫している。前半のうちに逆転された岐阜戦の反省を踏まえ、熊本戦は１−０で折り返したが、今度は後半の入りの悪さを突かれ、開始から１分もたたないうちに失点。さらに52分には、自陣深くで柳楽智和がボールを奪われる痛恨のミスから逆転されると、以降はリズムを取り戻すことができなかった。
熊本戦の失速は、相手が後半、前線からのプレッシャーを回避するため、ロングボールを多用してきたことへの対応の遅れも影響したが、ＤＦ戸川健太は「前半の途中から、マイボールの時間がすごく短くなっていた」と指摘。「攻撃がうまくいかない時間が長すぎて、相手陣内の奥でボールを奪い切ってしまう、というシーン自体がなかった」と振り返っている。全体のプレーエリアが下がってしまい、高い位置から追い込んでいく守りに綻びが出てくると、なかなか押し戻せないのは、開幕前の練習試合でも見られた傾向。悪い時間帯をしのぐ試合運びは、町田戦でも試合の流れを左右する要素になるだろう。

町田は開幕２連敗、いまだに無得点だが、２節ではシュートがクロスバーに当たったり、ＧＫの好セーブに阻まれるなど、ツキに見放された。一つ決まれば爆発しそうな気配も漂っており、吉澤監督も「勝又（慶典）、平本（一樹）、北井（佑季）などの突破は迫力がある。ディミッチも含めて、攻撃陣は個の力でこじ開けてくるイメージがある」と警戒する。今週の練習も守備の連係確認に多くの時間を割いており、「相手の仕掛けてくる動きに対して１対１ではなく１対２、プレスバックなどで動きを制限したい。やることは、いつもと同じ」（吉澤監督）。前述した、リードした後の試合運びが問われる状況を作るためにも、的確な守備で相手の持ち味を封じ、主導権を握りたい。

このオフに芝生の全面張り替えが行われた、とりぎんバードスタジアムは、この試合がリニューアル初戦。鳥取は今週、同スタジアムでの練習を予定していたが、天候の影響などから２日続けて見送りとなり、事前確認ができなかった。ホームのアドバンテージはなくなってしまったが、キックオフの笛が鳴れば、とにかく目の前の相手を倒すことに全力を注ぐほかない。
20日には再び、京都を迎えてのホームゲームが控えている（19時＠とりスタ）。今季の昇格候補最有力とも言われる強敵との戦いに向け、今季初勝利を挙げて勢いづくことができるか。

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2012.03.15 Reported by 石倉利英