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攻撃も守備もできるかぎり敵陣で展開する。京都戦の勝利の背景に、今季の湘南の方向性を端的に示す数字があった。与えたコーナーキックが0という事実だ。曹貴裁監督は振り返る。
「もちろん厳しい時間帯はあった。でも前からコンパクトな守備を敷くという面では最後までズルズル下がることはなかった。コーナーキック0という数字は、我々のサッカーを90分貫いた証だと思う」
1回で奪えると思うな。2回、3回と足を止めずに追わなければボールは奪えない。はたかれても焦れずにやっていこう。相手の巧さにやられるのは仕方ない、ただ自分たちの緩慢さでやられるのはやめよう。そう言って指揮官は選手たちをピッチへと送り出したという。果たして湘南は京都のパスワークを寸断し、自分たちのボールにした。奪い返されても、さらに奪い返した。そんな選手たちの姿に、ボールを奪う楽しみを垣間見る。
絶えず足を止めぬ戦いは肉体に負担を強いる。だが菊池大介は語っている。「体力的には当然キツイけど、苦じゃない。無駄走りを感じないし、やっていて楽しい。ダブルボランチとDFが押し上げてコンパクトにしてくれるので、前としてもボールを追いやすい。自分が活きるサッカーだし、やりがいがある」。やはりボールを奪う楽しみが行間に浮かぶ。
開幕戦では自分たちのサッカーを体現し、逆転勝利という結果も手にした。途中出場で流れを引き寄せた坂本紘司は、「大事なゲーム」と、自身の経験を紐解きつつ次を見据える。
「開幕戦に勝って、緩むわけじゃないけど、みんなホッとしているところはあったと思う。2009年も開幕戦に勝ったあと、アウェイで栃木に8割方押された。あのゲームに勝てたことは大きかったと思う。去年アウェイでなかなか勝てずに苦しんだことも踏まえて、次のゲームはいろんな意味で大事です」
坂本が触れたように、湘南は昨季4勝8敗7分と、アウェイの戦績がことのほか悪かった。くわえて今節乗り込む正田醤油スタジアム群馬では2008年以来勝利がない。開幕戦勝利の歓喜も今節の内容と結果いかんで色を変える。すなわち、草津戦の重要性は自ずと増す。
「恩返しをしたい」初めて開幕戦でスタメン出場を果たした古林将太は、昨季在籍した草津との対戦に思う。
「去年自分を活躍させてくれたチームだし、頑張っている姿を見せたい。もちろん負けたくない。いろんな思いを込めて、全力でガンガン行きたい」
「パスの質や動きのタイミングなどは年間を通した我々の課題。次はもっとよくしていかなければいけない。草津さんはシンプルにゴールに向かってくる。京都戦同様、粘り強く戦いたい」
前節を踏まえ、あらためて曹監督は語った。勝利はすでに過去のものとなっている。さらなるパフォーマンスの向上を期し、草津に挑む。
以上
2012.03.10 Reported by 隈元大吾
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