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城福浩・新監督を迎え、和歌山第１次キャンプ、甲府でちょっと練習して、宮崎での第２次キャンプも終盤。世間様がどれほど甲府に興味を持ってくれているのかはわからないが、おもしろくなりそうな雰囲気。「城福サッカーが浸透した」なんてことを言える段階ではないけれど、城福監督が伝えようとすることを選手が貪欲に吸収しようとする姿勢が見えるから余計な心配をする必要はない。「ムービングフットボール」や「ボールを大切に繋ぐ」という言葉でそのサッカーを明確にイメージすることは難しいが、トレーニングマッチや11対11の紅白戦を見ていれば、繋ぐテンポとゴールへの意識、攻守の切り替えの速さ、ボールを奪う意識など「感じるサッカー」を見せてくれていた。

今の甲府は選手がやりたいサッカーと監督の方向性に重なる部分が多く、選手のポテンシャルのいい部分を引き出した結果として、早い時期にいい部分が見えたという段階だろう。ただ、監督が替わったことで選手の経験値が上がるわけでも、急にうまくなることもない。ここまで松本（2月4日）、岡山（2月9日）、京都（2月11日）とトレーニングマッチをこなしてきて、結果・内容ともに現時点で悪くなかっただけに足元がまだあやふやだということに気がつきにくかった。それを0-5という厳しい結果で教えてくれたのが14日のC大阪戦。前半の中盤あたりまでは0-2とリードされながらも大きな差はシュート力くらいだったが、その後は主導権を明け渡す時間が多く、C大阪の前からのプレスをまともに受けてしまった。

プレッシャーを受けた状況での技術の差が顕著に出たと思うが、城福監督はそれを認めつつ、メンタル面の弱さも指摘した。0-2になっても1点ずつ返していけばいいのだが、後半の立ち上がりに3点目を許したことで「精神的に切れたところがある」と見ている。シュートやパスの正確性に差はあるものの、気持ちの部分で萎えたことでサポートや守備の基本的な意識が下がって大量失点に繋がったという評価。ボールを繋ぐという部分では大きな差は感じていない。

「一番嫌なのは無敗でプレシーズンを終わって開幕戦を迎えて『こんなはずじゃなかった』となること。たとえ開幕戦に勝ったとしてもシーズン中に『こんなはずじゃなかった』ということもありうる。自分たちがあやふやにしていたところ、針がどちらかに振れ過ぎていたことが顕著に表れたことはすごくよかったと思う。針が振れ過ぎていたところを（C大阪に）しっかり突かれた。もし、C大阪のシュートが入っていなくてなんとなくドローで終わっていたら（コーチングスタッフが問題点を）言っても選手の心に自覚として刻み込まれなかったと思う。90分で0-5という結果はトレーニングマッチといえど、重く受け止めている。戦術でもメンタルでもベーシックな面でも問題がないと0-5という結果にはならない。その意味ですごくよかった。そこを再認識できたという意味で、すごくいいトレーニングマッチだった。C大阪戦は僕らの内面が出る鏡だった」（城福監督）

針が振れ過ぎる（何かを意識してそれをやり過ぎる）ということは、何かにトライをしているということでもある。振れ過ぎて問題が出て、修正するということを繰り返すことでチームが成長していく。宮崎キャンプ終盤ギリギリまでポジションや組み合わせのトライを続ける中で、城福監督が「針が振れ過ぎたこと」で見えた部分をどう修正・調整するのかが今後の注目点。3月4日の開幕戦が完成形ではないが、宮崎キャンプ最終日、17日のG大阪戦が今後の方向を示すことになる。先発する選手自身も試されるが、今チームに必要なのは飛び抜ける選手。ここまで多くの選手にチャンスを与え可能性を試してきたが、今後はポジションを不動のものにする選手が必要。試す段階は終わった。開幕までG大阪戦を含めて2試合しか対外試合がない中で、存在感を示す選手が何人も出てくることで初めて序盤戦の甲府の姿が見えてくるはずだ。その第一歩が17日のG大阪戦になる。

以上

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2012.02.15 Reported by 松尾潤