12月17日（土）第91回天皇杯 4回戦 仙台 vs Ｃ大阪（17:00KICK OFF/金鳥スタ）
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★第91回天皇杯特集
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Ｊ１、Ｊ２の各リーグ戦にわたって名勝負を続けてきた仙台とＣ大阪の対決が、第91回天皇杯４回戦で実現する。レヴィークルピ監督がＣ大阪で指揮を執るのは今季までということもあり、仙台の手倉森誠監督との名将対決は、これで見納め。そして、リーグ最少失点を記録した堅守を誇る仙台と、リーグ２位タイという爆発的な攻撃力を兼ね備えるＣ大阪という、両極の特長を持つ双方が、真っ向から激突する。これが天皇杯では初顔合わせとなる両者。この一発勝負、間違いなく、激戦必至だ。

Ｊ１最終節は仙台が２−０、Ｃ大阪が７−１と、ホームで快勝。いい形で天皇杯につなげてきた。「ぜひ１月１日に国立をホームにしたい」と仙台の手倉森監督が言えば、レヴィークルピ監督も「タイトルを、できることなら置き土産にしていきたい」と述べるなど、互いに狙うは頂点。それとともに、仙台としては初の、Ｃ大阪として２年連続での、ＡＣＬ出場権獲得という目標がある。そのためには、両者とも絶対に譲れない。なんとしても負けられない。

両者の今季の対戦成績は、Ｃ大阪の１分１敗。１度目は、５月７日の第10節。ホームのＣ大阪は、前半に仙台の太田吉彰に先制点を決められるも、終了間際、小松塁の劇的なゴールで１−１とドローに持ち込んだ。２度目は、10月2日の第28節。仙台のホームにＣ大阪が乗り込んだ試合では、前半に仙台の梁勇基の右ＣＫから２点を献上すると、終盤にＣ大阪が小松のＰＫで一矢報いるも、反撃及ばず涙をのんだ。どちらも、互いに中３日での試合だったが、特にＣ大阪はＡＣＬアウェイ戦後の試合だった。第10節の前には灼熱のインドネシアから１日がかりで帰国し、第28節の前には準々決勝第２戦で全北（韓国）に１−６と惨敗した上、ケガ明けでスクランブル出場した清武弘嗣は負傷が再発、キムボギョンは顔面骨骨折の重傷を負うなど、攻撃の主軸２選手が離脱する非常事態となっていた。

しかし、今回はリーグ戦終了後、４日のオフを経て、じっくり調整してきたＣ大阪。清武、キム ボギョンの２人も練習から絶好調で、前回の仙台戦では同じく負傷欠場していた守備の要の１人、上本大海もいる。チームを牽引してきた播戸竜二も、今年度での指導者ライセンス取得をあきらめてまで、この天皇杯に懸けてきた。扇原貴宏、山口螢のＵ−２２日本代表ボランチコンビや、杉本健勇、村田和哉、大竹洋平ら若手も気合いがみなぎっている。主将の茂庭照幸も、「チームの雰囲気はすごくいい。リラックスしすぎず、トレーニングでも真面目に、しっかりやったなかにも、笑顔もある。口だけではなく、天皇杯を本気で取りに行こうという意識がある」と述べるなど、チームのベクトルはタイトル奪取という方向性で１つにまとまり、「モチベーションはみんな高い。本当にいいゲームができる。これは間違いない」と指揮官も太鼓判を押すほど、万全の態勢で臨める準備は整った。

対する仙台も、2012年元日の国立での決勝まで、大阪での３試合に全力を尽くす覚悟を持って、浪速の地に乗り込んでくる。そのなかで、注目は今季、流通経済大学から加入した武藤雄樹。終盤戦で出場機会を増やし、天皇杯２回戦のソニー仙台戦でプロ初得点を決めたルーキーは、Ｊ１第29節福岡戦でもＪ初ゴールを記録。そして、12月11日に行われた横浜FMとの練習試合でもゴールを決め、存在感をアピール中。Ｃ大阪戦初見参となる19番の出来はポイントになりそうだ。また、今季の堅守の立役者、ボランチの角田誠も、11月3日のＪ１第31節広島戦以来、約１か月半ぶりに復帰することが濃厚。高さと強さを兼ね備えた、今季のＪ１優秀選手がピッチにいるのは、仙台にとっても明るい材料となる。

仙台との対戦では、Ｊ２時代からＣ大阪は要所でいつも痛い目にあってきた。Ｊ１昇格への大一番で逆転負けして、長居スタジアムで失意のどん底を味わった2008年。Ｊ２優勝がかかった直接対決で終了間際に均衡を破られ、ユアテックスタジアム仙台のベガルタゴールドの波に屈した2009年。「簡単に勝てない相手」というＣ大阪の藤本康太の言葉は実感がこもっている。それでも、「Ｊ１に昇格した年も同じだし、ライバル意識はある。絶対に17日で天皇杯は終わらせない。最後（決勝）まで行く」という４番とともに、Ｃ大阪はこれまでのリベンジをこの１試合にすべてぶつける意気込みだ。

そして、今回の会場は、Ｃ大阪のホーム、キンチョウスタジアムだ。この地での仙台戦では２試合ともドロー決着だったが、３度目は、必ず決着がつく天皇杯での一戦。Ｃ大阪が「アドバンテージを活かして、最初から全開で行く」と茂庭の言葉通り、３シャドーを中心としたポゼッションサッカーを発揮して地元で凱歌をあげ「レヴィーセレッソ」ラストロードを先へと進めることができるのか。それとも、策士、手倉森監督率いる仙台が、得意のカウンターとセットプレーを軸に敵地で躍動し、大阪を乗っ取るのか。真冬でも、熱いバトルは見逃せない。

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2011.12.16 Reported by 前田敏勝