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あっという間に師走。今年も、そして今シーズンも残り僅かになってきた。9月11日に行われたアウェイの横浜FC戦以降、「次こそは」と思いながら歓喜の瞬間を待ち続けていたリーグ戦も、期待した結果を得ることなく過ぎ去った。そして、愛媛の未勝利試合数は13に延びた。前節のホーム最終戦も白星で飾ることができず、いよいよシーズン最終戦となるこの鳥取戦が意地を見せるラストチャンス。愛媛にとってはアウェイの今季最終戦で、有終の美を飾りたい。
ただ現状として、前節の草津戦は悪い流れの中で敗戦を喫した。勝てていないとはいえ、連敗もなかった愛媛のシーズン後半戦。だが富山、草津に敗れてついに連敗。3バックの現システムになって好転していたはずのパフォーマンスも、機動力を失ってしまいゲームの流れを作れなかった。それでも「今、フォーメーションを変えたとしても対応する時間はない。大事なことは今まで通り戦うこと」とバルバリッチ監督が語るように、次の鳥取戦も積み上げたものを出し切ることに集中するほかない。「誰かがやると思って、他人任せのプレーをすればチームは機能しない」と、指揮官はチームが行き詰った時に繰り返してきた言葉を今回も残したが、ここまでくればシステムや戦術面よりもメンタリティ。「やるしかない。どんな形でも勝って終わりたい」と、関根永悟ら選手たちが意気込みを語るように、ピッチに立つ愛媛の選手たちがまず考えなければならないことは監督が指摘する責任感に加えて積極性、闘争心だ。
そこで、思い返してほしいのは今季の「PRIDE OF 中四国」で唯一勝利を挙げたホームの鳥取戦。2点のビハインドを終盤の25分間でひっくり返した雨中の激闘だ。今季、もっとも印象に残る試合といってもいいだろう。「勝ちたい」という気持ちが満ち溢れていた、その25分間を今こそ思い出して欲しい。同点ゴールを決めた内田健太の雄叫びを、そして劇的なクライマックスを演出した前野貴徳のJ初ゴールを。今度はキックオフの笛とともに、その勢いを持って最後の壁を乗り越えられるか。置かれている状況は鳥取も同じで、6連敗中という苦境を脱するために最後のホームで力を振り絞ってくるはず。どちらがポゼッションをして、ゲームを支配するのかという問題ではなく、ワンチャンスを泥臭くてもモノにし、体を投げ出してゴールを死守することが必要。この最終局面では、戦う気持ちで相手を上回ることが両者にとってのトンネルを抜け出す最低条件になる。
しかしそれだけでなく、愛媛にとってこの今季最終戦に課せられた課題は簡単なものではなく、厳しい試合になるだろう。3バックに変更してから、攻守で重要な役割を果たしていた高杉亮太が負傷し、今節は同じく3バックの一角を務める大野和成が出場停止。攻撃面では齋藤学の活躍や東浩史の台頭などがチームに明るい話題となったが、シーズンを通じて安定感を欠いた守備面では今節もスクランブル態勢となり、試練は続く。13試合を重ねる間、次第に大きくなってしまったメンタルの問題、そして守備の課題。これらの壁を今度こそ打ち破れるか。今節はこの最後の課題をクリアすることで天皇杯に、そして来シーズンの飛躍へとつなげなければならない一戦だ。
以上
2011.12.01 Reported by 近藤義博
