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【J2:第37節 岐阜 vs 富山】レポート:岐阜にとって、すべてにおいて今季を象徴する試合。(11.11.28)

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11月27日(日) 2011 J2リーグ戦 第37節
岐阜 1 - 1 富山 (16:34/長良川/5,518人)
得点者:22' 舩津徹也(富山)、55' 西川優大(岐阜)
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「この結果がこの1年を通した結果が出てしまったような気がする」。
この西川優大の言葉がすべてを表していると言っていいだろう。

岐阜にとってホーム最終戦となったこの試合。内容、結果共に今季を象徴する一戦となった。
こう言い切れる5つ理由はある。一つは前半と後半の温度差、そして1得点挙げたことと、1失点したこと、失点の形、そして結果がドローであること。
まず前半と後半の温度差。試合後の監督会見で、木村孝洋監督は、「前半は少し攻撃の迫力や躍動感が欠けていたので、後半に相手の3バックの裏のスペースと、横のスペースを使って、積極的に仕掛けるように言いました。それで1点を取れて、その後も2、3度惜しいシーンがあった。後半のサッカーが前半で出来ていれば勝てたのかなと思います」と語ったが、こうしたコメントを今季何度聞いたことだろうか。

サッカーというスポーツは90分間をうまくマネジメントして、最終的に勝利を手にするスポーツ。前半だけよかったから、後半だけよかったからと、総合的に判定で勝てるスポーツではない。前半がいくら良くても、後半が全くダメだったら、当然勝つ確率は低くなる。それは逆もしかり。つまり90分間通して良くなければ、この試合は良くなくて、結果も良くない確率が高いのは必然。しかもそういうことをホーム最終戦で聞くことは、あまりにもむなしく、あまりにも寂しいことであった。こういうことは通常リーグ序盤や中盤までで終わって居なければいけない。もし、それ以降にこういう現象が起きたら、それはチームが成熟しきっていない証拠にもなる。この試合、前半はほぼ見どころが無い試合となり、後半は岐阜が押し込んだ。木村監督の言葉通り、前半は悪かったが、後半は良かった試合だった。要はこの試合でそれらが明白となったのだ。

1得点挙げたことに関しては、今季の岐阜にとっての光となり続けた事であった。どの試合でも必ず1点は取れる。しかも素晴らしいゴールが多い。西川、嶋田正吾、押谷祐樹、地主園秀美、橋本卓が揃うアタッカー陣は、J2の中でもレベルは高いと言っていいだろう。それぞれがストロングポイントを持ち、彼等にスムーズにボールが入った時は、無類の破壊力を示す。この試合も鋭い突破を仕掛けた嶋田が、3バックの横のスペースに素晴らしい動きで抜け出した西川に、糸を引くようなスルーパス。そして西川はそれを右足アウトで繊細なトラップをし、左足でゴールに流し込んだ。このゴールで2人が見せた技術は非常に高かった。見事な崩しからのゴールだった。今季、38得点は最下位であることを考えると、相当な数字だ。

逆に失点が驚異的な数字をたたき出しすぎている。この試合、勝てなかったのは1失点したから。岐阜は今季、完封で終わった試合が37試合も消化して、たったの1試合のみ。ほぼすべての試合で失点をしていることになる。しかも、失点内容もお粗末極まりないものがある。
GKのパンチングミス、トラップミスだったり、ペナルティーエリア内のセルフジャッジによる失点という、ありえないものもあれば、一番多かったのが、クロスからの失点だ。クロスやセンタリングをフリーで上げさせて、合わせられるのもフリー。これではゴールをどうぞと言っているようなものだ。この試合も右からのクロスの対応にもたつき、MF舩津徹也に蹴り込まれた。

「勝てなかったことの大きな理由は、自滅による失点が多かったことだと思います。それが一番の敗因です。ミスを周りがカバーできなかったこともあるけど、それ以上にミスに直結するミスが多かった」。
この橋本の指摘は的を得ている。
「岐阜は失点数を見て分かるように、守備面でマークがルーズ。サイドで起点を作ってリスク負いながら、最終ラインに何度もチャレンジしようと思っていた。逆に相手の得点力はウチより上。その辺のリスクとマネジメントを意識してやりました」。
この敵将・安間貴義監督の言葉も、これまで述べてきたことをすべて集約している。
つまり、岐阜は相手にとって『非常に分かりやすいチーム』になってしまっていた。これは『攻略しやすいチーム』であることを指す。記者会見でこの言葉を聞いて、北九州の三浦泰年監督の采配を思い出した。三浦監督もまた、岐阜の特徴を3試合(1試合は天皇杯)とも巧みついて、3連勝を挙げた。力のあるチームには個でやられてしまうし、戦力がほぼ互角のチームには、組織でやられてしまう。これでは今、岐阜がこの順位にいることは納得できる。

1−1という結果は岐阜の今季のすべてを集約していた。逆に富山の安間監督のコメントは、「次の試合は最終戦ですが、目標は変わらず、変に何かを変えることなくしっかりと戦いたいと思います。今日の試合は選手たちがしっかりとチャレンジしてくれた。私の要求に対し、選手たちがしっかりと応えてくれた。相手の最終ラインに何度も仕掛けてくれた。その中で残念だったのは、立ち上がりのバックパスをかっさらわれて、相手に与えなくていいパワーを与えてしまったことが問題。そこは修正したい。ただ積極的にチャレンジしようという中で、エリアの中に4人、5人飛び込んでいった姿は、最終戦に繋がるし、来年に繋がると思います。守備面でも最後の相手の決定機で、最後カバーした舩津のプレーはみんなの気持ちを表してくれていた。メンバー外になった選手も実費で岐阜まで来てくれた。目標に対して、みんなで邁進している。これで最終戦に臨みたい」と、1年を通して、しっかりとしたチーム作りが出来て、来季に望みをつなげているのがよく分かる。

1−1という結果以上に、チーム状況は相手と大きな差を痛感させられる。これも今季を象徴する印象であった。

以上

2011.11.28 Reported by 安藤隆人
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