Jリーグではキックオフの前に、入場してきた両チームの先発11人が、いわゆる『並び写真』の撮影を行う。11月6日、とりぎんバードスタジアムでの写真撮影に、鳥取の背番号29が加わった。地元・鳥取県倉吉(くらよし)市出身で、日本文理大(大分)から今季加入したルーキー、福井理人(上の写真・後列左から1人目)だ。10月30日、アウェイでの富山戦でのJリーグ初先発に続き、この日はホーム初の先発出場となった。
実は、もっと早く、ホームでの先発デビューを飾っているはずだった。
3月6日の今季開幕戦、アウェイでの徳島戦で控えに入り、76分からの交代出場でJデビュー。0‐1で敗れた後、岐阜とのホーム開幕戦を前にした練習で、先発予定のメンバーに入っていた。試合3日前の紅白戦、2日前のセットプレー練習とも、ハメドと2トップを組んでプレー。本人は「開幕戦に途中から出て、その流れで先発する雰囲気になっていたので、来たな、という感じで、準備はしていました」と、当時の心境を振り返る。
ところが、試合2日前の3月11日、練習が終わった後の午後に、東日本大震災が発生。当面の試合が延期となった。
岐阜戦が行われるはずだった3月13日、とりぎんバードスタジアムで、福井は予定通りにハメドとの2トップで先発出場したが、公式戦ではなく、スタンドを無料開放しての紅白戦だった。翌週、神戸で行われたチャリティーマッチでも先発したものの、消極的なプレーが災いし、前半のうちに交代させられてしまう。その後は負傷離脱もあり、震災による中断が明けた後は、控えにすら入れない時期も経験。最近になって巻き返したものの、10月26日の熊本戦までは計5試合、いずれも試合終盤に交代で出場しただけだった。
しかし、10月30日の富山戦でJリーグ初先発を果たすと、一時は1‐1に追い付くJ初ゴールも決めた。最終的にチームは2‐4で敗れたものの、90分間フル出場し、持ち味の運動能力の高さを生かして前線で奮闘。松田岳夫監督が「収穫だった」と高く評価するほどのプレーを見せた。
迎えた栃木戦は、ハメドとの2トップでの先発。3月に先発するはずだった自分と、現在の自分との違いを、「試合に出られない悔しさがあったので、そのぶん、気持ちが強くなったと思います」と分析する。だが、0‐1で迎えた28分、1対1の場面でシュートをGKに当ててしまい、同点のチャンスを逸した。チームは後半に失点を重ね、J2昇格後の最大得点差となる0−5で惨敗。「あれを決めていれば、試合の流れは変わっていたと思う」と悔しがった。
苦しい時期を乗り越えての先発出場が、キャリアの大きな一歩であることは間違いないが、その2試合でチームが敗れたという事実を見れば、いつまでも感慨にふけってはいられない。先発の座を守り、自分の得点でチームを勝利に導く。8カ月越しとなるホームでの先発出場は、鳥取に欠かせない存在になっていくための道のりの、ほんの序章に過ぎない。
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2011.11.08 Reported by 石倉利英
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