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可能性がある限り、目標を諦めない。その想いを貫ける人材を、「プロフェッショナル」という。言葉でいうのは簡単。だが、数字という冷徹なデータを見せつけられた時も、目標への執着心を持ち続けることができるか。それが、プロフェッショナルの資格なのかもしれない。
広島の勝点は現在43で７位。一つの目標というべきＡＣＬ出場権獲得の可能性がキープできる４位（３位までのチームが天皇杯で優勝した場合、４位チームに出場権が与えられる）の横浜ＦＭまで勝点９差だ。逆転できる勝点差は残り試合数以内という「常識」をあてはめれば、非常に厳しい状況。それどころか、８位清水との差が２ポイントということも考えれば、賞金圏内（７位以内）確保の方が現実的な欲求になってもおかしくない。
ただ、佐藤寿人は「可能性がある限り、（ＡＣＬ出場権確保を）諦めない」と語る。「確かに、数字的には厳しいかもしれない。だけど、自分たちが勝ち続けてポイントを重ねていけば、上位が崩れた時にとって替われる資格を得ることができるわけだから」。
広島の最大獲得可能勝点は58。横浜ＦＭが２勝１分すれば届かなくなるが、でもそれは決して簡単な数字ではない。もちろん広島の５連勝も、今季３連勝がないチームにとっては難しいが、実際に仙台は現在６連勝中なわけで、広島の力を考えれば決して不可能でもない。あとは、自分たちの可能性を信じるか信じないか、それだけだ。
その一つのきっかけにしたいのが、首位・柏との対決だ。アウェイでの戦いではシュート23本を浴びせられたものの、広島も決定機を量産し、一歩もひかない戦いを展開。結果として３−１で敗れたものの、広島にも十分に勝機があった戦いだった。しかも、あの試合には森崎和幸・水本裕貴といった主役が不在。リスクマネジメントという部分において不安を抱えた状態だったことを考えれば、戦力の充実度は今の方が上。前節・横浜ＦＭ戦でムジリ・トミッチの両外国人選手たちが結果を出し、先発陣を脅かす状況になっていることも、戦力的に見れば大きな上積みだ。
一方の柏は、厳しいチーム状況にある。「アイディアもあり、自分で得点を狙いにいける危険な選手」と広島・ペトロヴィッチ監督が警戒するレアンドロ ドミンゲスが、怪我のため広島戦での出場が微妙な状態。さらに守備の中心である近藤直也も負傷し、欠場も噂されている。ここまで攻撃の中心である背番号10が欠場した時も、また近藤不在の時も、柏は勝利してきた。だからこそ首位にいるわけだが、しかし二人同時に不在というゲームは過去にはない。
ただ、中島浩司は「誰かがいなくても結果を出してきたから、首位にいるんだと思う」と語る。「もちろん、レアンドロ ドミンゲスがいなかったりすると、気の利いたことをする選手が少なくなるのかもしれない。だけど、そこをしっかりとカバーして、勝点を積み重ねている。戦力は落ちないと見るのが妥当だと思う」と警戒心は解かない。
攻撃の起点となるレアンドロ ドミンゲス不在となることで、柏の戦い方が逆にはっきりするのかもしれない。広島にスペースを与えない守り方をしながら、ここぞという時に攻撃を仕掛ける。酒井宏樹、ジョルジ ワグネル、田中順也とカウンターに強いアタッカーを柏は抱えている。ホームで勝利を欲する広島の勢いをいなしながら、カウンターで切り裂き決定機をつくる。そんな戦い方も、柏ならできるはずだ。優勝を狙うには勝利はもちろんだが、何よりも負けないことが重要。広島というチームの特性を考えれば、まずいい守備から入って失点しないこと。ネルシーニョ監督の中にそういう計算が働いたとしても、決して驚かない。
「自分たちは、今の順位にふさわしいチームではない。そういう力を見せつけるには、格好の相手だ」とペトロヴィッチ監督は力を込める。ホームで首位を撃破し、わずかに残る４位の可能性に向けて、しっかりと足を踏み出したい。「私が何も言わなくても、モチベーションは高まっている」（ペトロヴィッチ監督）広島の強い想いと、史上初のＪ１復帰年度優勝に向けて前進する柏の情熱。その気持ちと気持ちのぶつかりあいが、明日、広島ビッグアーチでスパークする。
以上
★西川周作選手（広島）「柏戦へのスペシャルインタビュー」はこちら！
2011.10.21 Reported by 中野和也
