10月16日の第31節・アウェイ千葉戦、後半43分、途中出場のＦＷ萬代宏樹が決勝ゴールを決めた。萬代は８日の天皇杯２回戦・岡山戦で度重なる決定機を外しチームは敗退、この１週間はその責任を背負い込んでいた。

千葉戦直前、副島博志監督は萬代をスタッフルームへと呼びアドバイスを与えた。萬代の心理状況を懸念した指揮官は「岡山戦は決められなかったが、チャンスを作れたのだから心配はするな。つらいかもしれないが、ここからはい上がるためにはだれも助けてはくれない。いい意味で開き直って最後は自分自身で克服しろ！」と鼓舞したという。

後半16分からピッチに出た萬代は最初のポストプレーでミスを犯す。「いつもは最初にミスしてしまうとそれをひきずってしまうけど、監督からアドバイスをもらっていたのですぐに切り替えることができた」（萬代）。そして最後に大仕事をやってのけることになる。

後半43分、古林将太からのクロスを脅威の打点で振り抜きポストをかすめながらもゴールへとねじ込む。萬代は「何も考えずにただゴールを決めることだけを考えた。それまで迷惑をかけていたので本当にうれしかった」と振り返った。

萬代が副島監督に呼ばれたのは、実は今回が３度目となる。初回は東日本大震災後の再開試合となった４月24日、第８節・アウェイ大分戦。福島県出身でリーグ戦の中断期間中はボランティア活動に取り組んだ萬代の姿をみていた指揮官は『ゴールで故郷を勇気付けろ』と先発起用。萬代は草津での移籍初ゴールを決めて勝利に貢献した。
２度目の“面談”は７月24日の第22節・アウェイ岡山戦。ラフィーニャがＧ大阪へ電撃移籍したことで動揺したチームは前節・鳥取戦で０対５での大敗を喫した。指揮官は萬代を呼び出し「お前がエースになれ！」とゲキを飛ばし、萬代はゴールという結果で再びそれに応えた。

監督から呼び出しを受けた３試合すべてでゴールを決め、チームに３勝をもたらした萬代。この勝率を放っておくのはもったいない。これからは毎試合前に面談をしてもらいたいところ。「毎回？　ちょっとそれは…キツイっす（笑）。監督に言われて気付くのではなく自分の力でなんとかできるように努力します！」（萬代）。残り９試合、萬代と副島監督の面談の有無がチーム浮沈のカギを握るかもしれない!?

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2011.10.19 Reported by 伊藤寿学