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熊本は前節の愛媛戦で引き分けて10位となった。リーグは残り9試合。昇格圏の3位札幌との勝点差は12あり、状況はいまだ厳しい。だが6位以下は混戦となっており、まだまだ浮上の余地は残されている。タイトなスケジュールでの連戦でどれだけ勝点を積み上げるかで、この混戦を抜け出す事は可能だ。ただ、連戦による疲労の影響などで入れ替わる選手のパフォーマンスも含め、今まで培ってきたチームとしての総合力、そしてメンタルの強さが、ここからは問われていく。
愛媛戦は終盤に同点ゴールを許したものの、試合後の高木琢也監督のコメントにもあるように、残り少なくなる中でも「やりたいことは徐々にできている」のだろう。大迫希が迎えた追加点の決定機も、前を追い越してスペースへ出て行くという、トレーニングで意識した形が表れたもので、市村篤司も「チャンス自体はできている」と手応えを口にする。しかしこの試合もそうだったように、勝ちきる事ができていないのは、得点が取れていないから。J2最多の11引き分けは、勝点を拾ったゲームがあった一方、逆にこぼしたゲーム、つまり先制しながら、突き放す事ができないうちに追いつかれて、結局引き分けたケースも少なくない。第31節終了時点で熊本の総得点はリーグ最少の26に留まっており、もちろん先制点あっての事とは言え、追加点を挙げる事ができるかどうかは重要なポイントだ。
しかし、迎える栃木もその点は同じ。前節、湘南に敗れた事で8試合勝ちがない状況だが、その中でも直近4試合は無得点と、事態は深刻。熊本の選手たちは栃木について「前のコンビネーションがいい」と警戒するが、パウリーニョの離脱もあって、エースのリカルド・ロボが26節の愛媛戦で2得点挙げて以降不発になっているのも大きい。湘南戦では、いい流れでゲームに入ったにも関わらず、先制を許した事で前に出ざるを得なくなって失点を重ねる格好になっている。河原和寿が先発に戻り、また最終ラインにも手を加えるなど、なんとか現状を打破しようと試行錯誤する思惑が見えるが、なかなかそれが結果に結びついていないもどかしい状況である。
勝点の状況や勝敗数、そしてチームの現状、さらに守備を土台に組み立ててきたチームの方向性など、熊本と栃木には共通する部分も少なくない。シーズン中盤であればおそらく、双方とも慎重に試合を運ぶロースコアの展開になりそうなカードだが、ここへ来てお互いに何としても結果を出したい状況となれば、ともに攻め合う展開になること必至。そうなったときに違いを生むのが決定力ということになるが、いずれもゴールから遠ざかっている長沢駿とロボ、さらに熊本なら武富孝介や大迫、栃木であれば崔根植や河原ら、前線の選手が「決めるべき時に決める」ことが、勝負の分かれ目となろう。熊本も前節の栃木と同様、鳥取と対戦した天皇杯の2回戦では先制を許した事で前に出ざるを得なくなった。そうした点においても、先制点がゲームの流れを左右する1つのカギになる事は間違いない。
とは言え、前節を振り返って「リードしてからの展開に反省点があった」と市村。冒頭に触れたメンタルの強さという部分では、リードしようがされようが、スコアが動いた後でも、いかに平静な気持ちを保てるかも大事になってくる。例えば前回対戦の29節、あるいは30節草津戦のように、落ち着いた対応で先制点を守ることができさえすれば、勝点をたぐり寄せることはできる。「そうやって粘って、今まで勝ってきた」と筑城和人が話すように、それは昨シーズンから作ってきたチームの土台となる戦い方。大切なのは、そのスタイルで自信をつかんだ事を思い出し、ぶれずに継続すること。目指すところはまだ見えないかもしれないが、そうやってここまで来たことは間違いない。
双方にとって、今後を大きく左右する分水嶺となりそうな勝点差2の決戦。日が落ちる時間帯には熊本でもようやく肌寒さを感じるようになってきたが、スタジアムは必ず熱くなるはずだ。
以上
2011.10.18 Reported by 井芹貴志