9月21日(水) 2011 J2リーグ戦 第5節
札幌 4 - 2 東京V (19:03/札幌ド/11,368人)
得点者:2' 古田寛幸(札幌)、4' 河野広貴(東京V)、61' 近藤祐介(札幌)、77' 小林祐希(東京V)、88' 岡本賢明(札幌)、89' 岡本賢明(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 9/22(木)後04:30〜
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試合後のミックスゾーンでは、勝った札幌のほとんどの選手が「よく耐えた」「よく我慢した」という言葉を発していた。リーグ最多得点を誇る東京Vの攻撃は、それだけ力強かったということなのだろう。
試合は互いに点を取り合う形でスタートした。2分に内村圭宏からのパスで抜け出した古田寛幸が相手GKとの1対1を冷静に決めて札幌が先制すると、2分後にはペナルティエリア内で河野広貴が巧みに左足を振り抜いて東京Vがすぐに同点に。
しかし、ここからホームの札幌は東京Vの猛攻に押し込まれることになる。
今シーズンの札幌は堅守、それもチーム全体でのディフェンスを武器にしており、ここまでの失点数はリーグで2番目に少ない数字。パワーのあるFWにボールを集めるチームに対しては最終ラインが体をはった守備で対応し、後方からパスで攻撃を組み立ててくるチームには高い位置からの組織的なプレッシングで封じてきた。しかし、9月にして初対戦となるこの日の相手、東京Vは俊敏性とテクニックを持つ選手がズラリと並び、そうした選手たちが中央に集まって多彩なアイデアから突破を図るという個性的な攻撃スタイル。その独特な攻撃に、札幌は完全に手を焼く格好となってしまった。
「東京Vはいろんな選手がかなりゴール前に入ってくる。そういうところで、どうしてもセンターバックの2人がボールに対して厳しくいけない。出ていくと穴が空いて、そこにまた違う選手に入られてしまう。そういう形でかなり戸惑っていた」と札幌の石崎信弘監督は自チームの守備を振り返る。目まぐるしく選手が出入りし、独特のタイミングでわずかなスペースにもパスを送り込んでくる。スピードとアイデアも豊富。そうした不慣れな攻撃スタイルと対峙した札幌は、とにかく後手に回った。守備的MFの河合竜二が最終ラインに吸収されてしまう場面も多く、そうするとセカンドボールも拾えず相手の二次、三次攻撃を浴びることになる。前半から非常に苦しい展開だった。
それを受けて石崎監督は後半からシステムを4−4−2から3−5―2へと変更するのだが、これが的確な采配となる。最終ラインに吸収されがちだった河合をハッキリと最終ラインの中央に組み込んでしまったのである。前半は細かく出入りしてくる相手の攻撃に対し、山下達也、櫛引一紀のセンターバックがサイドの選手も内側に呼んで律儀にマークの受け渡しをし、そのうえラインコントロールもしようとしていたものだから、最終ラインは常にバタバタとしてしまっていた。それをシステム変更によって最終ライン中央の人数を増やしたことで、守備が一気に落ち着いたのだ。
もちろん、3バックに変更したことでサイドのスペースを突かれるリスクは増える。だが、東京Vの2トップは飯尾一慶が身長168センチ、阿部拓馬が171センチと、サイドからクロスが入っても怖さはあまりない。それも見越してのシステムチェンジだった。
もちろん、システムを変えたところで札幌が押し込まれる展開に大きな変化はない。しかし、前半のようにバタバタとマークを受け渡したり、無理にラインを押し上げたりという場面がなくなったため、東京Vの攻撃を受け続けながらも札幌の守備陣はしっかりとそれぞれの持ち場をケアし、耐え続けた。
そして、我慢を続けたチームにはちゃんとビッグチャンスが訪れるのがサッカーというスポーツの面白さ。88分、前線で相手DFと上原慎也が競り合ったボールがゴールポストに当たり、跳ね返る。するとそこに走り込んだのはわずか3分前に投入されたばかりの岡本賢明。右足で冷静にゲットしてみせた。さらに1分後、今度は高い位置でボールを奪った河合からのパス。その先にはまたしても岡本がいて、相手DFとの勝負から左足で今度も見事にゴールネットを揺らして勝負あり。最終スコアは4−2で札幌が今シーズン2度目となる4連勝を達成し、暫定ながら順位も1位へと浮上した。
さて、試合後の会見で石崎監督は首位に立ったことについて「(感想は)まったくない」と言った。選手たちも口ぐちに「順位は意識しない」と話す。確かに今シーズンここまでの札幌を見ていると、とにかく目の前の試合でいい戦いをすることに集中し、その結果として順位も上がってきた印象がある。だが、暫定だろうと何だろうと、首位に立った以上はどうしても「首位の札幌」と言われてしまうし、報じられる。2部リーグとはいえ、それが首位の宿命だ。そして「意識しない」と言うが、人間である以上は完全に意識をしないことは不可能である。現在の順位を重圧と捉えるか、それともポジティブに捉えるか。今後はグラウンド外のメンタリティもより一層問われることになりそうだ。
最後になるが、この日の東京Vのパフォーマンスは素晴らしいものだった。技術のある選手が揃い、どの選手も積極的にドリブルで仕掛けていく。周囲の選手もパスを要求しながらも、ボール保持者のドリブルスペースはちゃんと開けている。狭いスペースも見逃さないし、常に3人目の動きがある。わざわざ筆者が言うことではないのかもしれないが、しっかりと鍛えられた、ハイレベルなチームであるということを記しておきたい。このチームが今後、さらに上位に食い込んでくる可能性は充分にある。そうしたことを含めても、リーグの行方はまだまだ読めない状況だ。
以上
2011.09.22 Reported by 斉藤宏則
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