9月21日(水)J2 第5節 札幌 vs 東京V(19:00KICK OFF/札幌ド)
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未消化の第5節。水曜夜の札幌ドームで行われるこの試合は、勝点46で2位につける札幌が、同37で7位の東京Vをホームで迎え撃つ。どちらも調子を上げている最中のチームとあって、緊張感のある激しいゲームが期待できそうだ。
ホームの札幌は直近のゲームとなった28節の北九州戦(9月17日)で、アウェイゲームながらも3−0のスコアで快勝をしてみせた。特にこの試合は7月末の加入以降、前線のポストプレーヤーとして大きな存在感を放っていたブラジル人FWジオゴを負傷で欠き、得点力の低下が懸念されながら、内村圭宏、近藤祐介というジオゴに代わって前線に入った選手が揃って得点。ジオゴ頼みの攻撃陣ではないことを、結果で証明した形となった。同時に、守備陣もしっかりと無失点で終え、攻守両面の安定も強調。そして3連勝を達成している。
また、その北九州戦でのさらなる特筆ポイントとして、札幌の生命線とも言える組織的なプレッシングが上手く機能していた部分を挙げたい。相手が後方でボールを動かしている際に、サイドMFが相手ボール保持者へアプローチしたことを合図に一気にゾーンを押し上げる。そうして相手に横パスを蹴らせたところでボールを奪い、カウンターに転じるという場面を何度も作り出していた。相手チームとしては、ボール保持者が囲いこまれてボールを失ったわけではないので、プレスに苦しんだという印象はあまりないかもしれない。しかし、札幌のプレッシングはうまくパスコースを限定し、狡猾にカウンターのチャンスを生み出していたのだ。チーム全体が連動し、見事に勝ち切ってみせた試合だった。
一方、中2日でのアウェイゲームに挑む東京Vの直近試合は、18日の国立競技場でのホームゲーム。そしてそこでは横浜FCを相手になんと大量7得点での完勝をしている。菊岡拓朗、阿部拓馬がそれぞれ2得点を挙げるなど、個の力を持ったアタッカー陣が躍動して存分に攻撃力を見せつけた格好だ。
この大勝について川勝良一監督は「別に7点とか6点とか気にしていない」と前置きしつつも「取れるなら何点でも取りたい。周りの人が好き勝手に波があるとか言うけど、そんなに波があるとは思っていない」と振り返る。スピードと技術を兼ね備えた選手を揃えてのアタッキングには、ある程度の手応えを掴めている様子だ。総得点51という数字は現在リーグトップの数字でもある。
ただし言うまでもなく、攻撃に力を入れるだけで得点が取れたり、試合に勝てるほどサッカーとは甘いものではない。川勝監督はセンターバックを組む土屋征夫、富澤清太郎についてこう話す。「お互いがお互いをよく知っている。責任能力というか、パワーを持っている2人。それで周囲も思い切って飛び出したりとか、余計な人数を残すことも少なかったので、中谷(勇介)と森(勇介)も相当出られた」。最終ライン中央の守備力が安定しているからこそ、左右のサイドバックが思い切って攻撃参加することができ、攻撃力を高められるということなのだ。
さて、そんな両チームの対戦だが、やはり注目すべきは直近の試合で7得点を挙げ、リーグ最多得点数を誇る東京Vの攻撃と、ここ2試合を完封中で、総失点数もリーグで2番目に少ない札幌の守備との戦いだろう。
札幌のほうは前述したように、高い位置からグループでプレスを仕掛けるプレースタイルだが、仮にロングボールでその頭上を越えられても、山下達也、櫛引一紀が組むセンターバックは体を張った守備で跳ね返すことができる。そうした手堅い守備に対して、個々がパワーを持つ東京Vがどのように崩しにかかるのか。
加えて、リーグ戦の2順目以降の札幌は相手チームをしっかりとスカウティングし、ウイークポイントを的確に突くことで試合の主導権を得てきた。しかしながら、リーグスケジュールの変更もあって、9月にして東京Vとは初顔合わせ。当然、映像によるスカウティングは充分に行っているだろうが、直に対戦した感覚は持ち合わせていないため、その辺りがどのように影響するのかにも注目したい。
札幌は現在2位で、東京Vは昇格圏内である3位との勝点差が8という位置。しかしながら両監督がともに「順位は気にしていない」と言い切る。とにかく目の前の試合に集中するチーム同士の対戦は、必ずや札幌ドームを沸かせてくれるはずだ。
以上
2011.09.20 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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