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【J2日記】草津:天皇杯の夢破れども(11.09.06)

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ザスパ草津U−23の夢は叶わなかった。

8月末に天皇杯への切符を懸けた群馬県サッカー協会長杯決勝ザスパ草津U−23(群馬県リーグ3部)対アルテ高崎(JFL)が行われた。ザスパU−23とは、ザスパ草津の下部組織に当たるアマチュアチーム。主に23歳以下の選手がトップ昇格を目指して鍛錬を積む。ユニフォームは昨季のトップの“お下がり”。背番号はポジションではなくサイズで決めたという。

ザスパU−23のチーム誕生は、トップチームがJ2昇格を果たした2005年までさかのぼる。JFL時代までのザスパは、草津温泉街を活動拠点に選手たちは温泉旅館などで働きながらJリーグを目指した。J2昇格後、ホームスタジアムや冬季練習場(草津町は積雪のため晩秋から春先まで練習場が使えない)の問題などで拠点を前橋市へと移した。

県都へ移動したトップチームに代わって発足したチームがザスパU−23(当時はチャレンジャーズチーム)だ。2005年にはルーキーだった後藤涼、櫻田和樹らはザスパU−23からプロ生活をスタート、約半年後にトップ昇格を果たした。CB有薗真吾は2009年にU−23から昇格、いまやチームに欠かせない戦力となった。U−23は温泉街で働きながらプロを目指すというクラブの原点を継承する役割を担うとともに、重要な育成ステージとなっている。

ザスパU−23は当初、サテライトリーグに参戦していたが、2009年で同リーグが廃止されたことにより、昨季から群馬県リーグと天皇杯予選に参戦することになった。昨年は天皇杯決勝を前に涙をのんだが今季は快進撃を続け決勝へとたどり着いた。決勝の相手は、格上JFLのアルテ高崎。ザスパU−23は奇跡を起こすために決勝のピッチへ立った。

多くのサポーターの声援を受けてゲームに入ったザスパU−23だが開始直後に失点すると前半を0対2で折り返す。そしてリスクを負って攻撃に出た後半はセットプレー、カウンターから失点を喫して結果的には0対6で敗れた。この一戦に懸けてきた選手たちは試合終了後ピッチに崩れ落ちた。

後半から出場し最後までゴールを狙い続けた成田憲昭は「僕たちは草津温泉街の人たちの協力のおかげでサッカーをすることができている。選手ができる最大の恩返しは、天皇杯に出場して草津温泉をPRすることだった。それができなくて申し訳ない気持ちでいっぱいです」と言葉を振り絞った。主将・市川朋紀は「全力を尽くしたが力が足りなかった。これを良い経験としてまた明日からトレーニングに励みます」と次なる一歩を踏み出した。

ザスパU−23が発足した2005年と比較して、現在は全国各地にJリーグ加盟を標榜するクラブチームが存在している。ザスパU−23を取り巻く環境は、他チームに比べて容易いものではない。ただザスパU−23は、トップチームすなわちJリーグへと直結している。Jリーグへの最短距離にいるチームとも言えるのだ。

天皇杯出場という夢は果たせなかったがトップ昇格という夢は、ザスパU−23でプレーする限り決して破れるものではない。温泉街を舞台とした夢のストーリーに終わりはない。

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2011.09.06 Reported by 伊藤寿学
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