7月3日（日） 2011 J2リーグ戦 第19節
愛媛 2 - 3 岡山　（19:04／ニンスタ／3,855人）
得点者：5' 前野貴徳（愛媛）、34' チアゴ（岡山）、83' 久木田紳吾（岡山）、90' 白谷建人（岡山）、90'+3 ジョジマール（愛媛）
スカパー！再放送 Ch183 7/4（月）深02:30〜
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水曜日に行なわれた第2節・Ｆ東京戦の前、岡山・影山雅永監督は、「（出場停止の）チアゴのいない前線の面白さを出したい」と話していた。Ｆ東京には完封され３連敗となったが、トップに入った金民均をはじめ、臼井仁志、岸田裕樹、石原崇兆、久木田紳吾、白谷建人と、交代カードを含む前線の選手が、そのコンビネーションで「面白い攻撃」の片りんを覗かせていた。そして今回のゲームでは、チアゴがベンチに退いてから、久木田紳吾、白谷建人がゴールを決めた。このことは、結果として次につながるはずだ。

立ち上がりは、愛媛が狙いどおりにゲームを進めた。岡山の「チアゴに当てて落として2列目が出てくる形」（バルバリッチ監督）に対しては、ボランチとCBで集中的に阻み、一方で岡山が攻撃的に出ることで守備が手薄になる部分をつき、ジョジマールを中心に揺さぶりを掛けてきた。また前野貴徳、関根永吾の両SBは高い位置を保ってサイドから攻めこみ、前半５分という早い時間に、ゴール前のこぼれ球を前野に決められて、失点を許す。その後も愛媛はボールへの寄せも速く、万全の態勢に見えた。

しかしそこから岡山が３連敗の屈辱を晴らすように、リバウンドメンタリティーを発揮。前半15分を過ぎる頃には、岡山がボールを奪う回数が増え、ロングボールだけでなく、ボランチの千明聖典を経由するパスからリズムが生まれ始める。ポゼッションする岡山のペースか？それとも確実にゴールに迫る愛媛のペースか？どちらとも判断できない時間帯にチアゴがPKを得て、余分の力を抜いて自らチアゴ版「コロコロPK」を決めて、ゲームを振り出しに引き戻す。

岡山にとって、前半のうちに追いつけたことは大きな意味があった。後半に入ると、愛媛は中盤の運動量が落ち、フレッシュな選手の投入に3枚のカードを後半18分までに使いきった。気温28．3℃、湿度72％の3連戦最後のゲームは、コンディション勝負の一面もある。その点でも、控え選手のやる気がうまく機能した岡山には利があった。このゲームのシュート数は愛媛８本に対し、岡山１９本。とくに後半は13本のシュートを放っている。

影山監督は、面白い攻撃を作り出すためには、「それぞれの良さを出すために、どうするか」だと念を押す。岡山の前線の選手に共通するのはスピードだ。そこに持ち味が付加される。このゲームでは、チアゴが落としたボールを臼井が裏に抜け出てゴールに迫るシーンを繰り返し、アイデア豊富な金はミドルシュートも放った。石原は相手DFを引きつけ、交わすドリブルで強気に前に出た。これら各選手のハードワークと頭脳が結集し、機を確実に捉えたのが、岡山の2点目と３点目だったと言えるだろう。久木田は豊富な運動量で献身的にプレーするが、このゴールでは可能性の高さを考えて迷うことなく、自らがシュートを、それも利き足ではない左足で決めた。エゴイストにもなれるFWの未来は明るい。
しかし岡山が90＋３分に許したジョジマールのゴールこそ、岡山の詰めの甘さが象徴的に出ている。この失点を胸に、次節へのモチベーションを高めたい。

■この試合のCOOL BALLER：久木田紳吾（岡山）

以上

2011.07.04 Reported by 尾原千明