5月25日(水)AFCチャンピオンズリーグ2011 水原 vs 名古屋(19:30KICK OFF/水原)
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AFCチャンピオンズリーグ、韓国の水原三星といえば、名古屋の選手や関係者、そしてサポーターは2年前を思い出すだろう。初参戦となった同大会で、グループを首位通過した名古屋が、一発勝負のラウンド16で対戦したのが水原だった。そして名古屋は当時の韓国王者相手にホームで2−1と完勝。決勝トーナメントに駒を進めたのだった。今回の舞台は敵地だが、名古屋が狙うのは2年前の再現のみ。そのために必要な好材料は、徐々に揃ってきている。
中でも最大のニュースは、ケネディの復帰だ。左ふくらはぎ肉離れのため戦線を離脱していた前線の核が、休養も十分にようやくピッチに帰ってきた。遠征前最後の練習ではさすがの高さと存在感を見せつけ、紅白戦ではゴールも記録。彼とダニルソン、田中マルクス闘莉王が揃ったことで、チームは4−3−3の布陣に戻す可能性も出てきた。水原戦へ向けた紅白戦ではスタメンの11人と思われるメンバーでプレー。田中隼磨、2年目の新井辰也、闘莉王、阿部翔平のDFラインに加え、ダニルソンをアンカーに、インサイドハーフには藤本淳吾と中村直志が並ぶ。前線はケネディの左右に玉田圭司と小川佳純が配置された。新井の抜擢を除けばベストといえるメンバーを、名古屋は水原のピッチに送り込むつもりだ。
ホームで名古屋を迎え撃つ水原は、グループリーグで鹿島を上回った強力なチームだ。守護神の韓国代表GKチョン・ソンリョンを始め、DFラインにも韓国代表ファン・ジェウォンに加え、昨季まで大宮でプレーしたDFマトがおり、前線には元韓国代表FWチェ・ソングッとMFヨム・ギフンというスピード豊かなアタッカーを擁する。FWハ・テギュンはグループリーグのラスト2試合で3得点と好調のストライカーだ。布陣は3バックを採用し、守備的な戦い方もできるチームだが、グループリーグ12得点という数字を侮ることはできないだろう。
月曜日の練習では水原の3バックを想定した練習を積んできた名古屋だが、対策云々よりも重要なのは、ようやく本来の布陣で試合ができるということだ。負傷者続出により、公式戦再開後の名古屋は4−4−2でしのぐ試合を続けてきた。4−4−2も慣れ親しんだ布陣だが、Jリーグ優勝を成し遂げたのは、闘莉王とダニルソン、ケネディがセンターラインを固める4−3−3だった。相手が3バックということを考えても、名古屋は優位に立てるだろう。水原が大きくサイドに開くウイングに対応しようと思えば、どうしても5バック気味に守らざるを得ず、攻撃に転じた時の人数不足を引き起こすからだ。
しかし、そこで気になるのは水原のメンバー構成だ。5バック気味に守ってしまえば、ゴール前の守備力は確かに上がる。ケネディの高さへの対応としても、191?のマトがいる。そして前線にはスピードのあるチェ・ソングッとヨム・ギフン。がっちり守ってカウンターという定石を完遂するだけのタレントは揃っている。決してスピードがあるとはいえない名古屋のDFラインだけに、カウンターへの対応は最重要課題のひとつ。その意味では俊足のダニルソンの危機管理意識が、カギを握ることにもなりそうだ。
攻撃面に目を向けた時、ヒントになるのが玉田の言葉だ。21日の柏戦の後、機能しきらない攻撃に対してこう言っていた。「グランパスのチャンスはクロスからってイメージが強いでしょ?オレはそれを変えたいと思っている」。玉田が示唆するのは、サイド攻撃一辺倒になりがちな現在のプレーに、中央突破やパスワークによる崩しを加えるということ。4−3−3の布陣にその意識が加わった時、思い起こされるのはFUJI XEROX SUPER CUP 2011での戦いぶりだ。あの試合で名古屋が見せたのは、ケネディの高さを生かしつつ、両ウイングが中央への侵出を頻繁にし、サイドバックのオーバーラップを促すスタイルだった。突破力とボールタッチに優れる玉田らが中央でプレーすることで、藤本や中村のペネトレーションも生かせる。相手の守備陣の集中力を乱すという意味でも、サイドと中央の“二刀流”が実現できれば、破壊力抜群の攻撃が展開できるはず。ケネディのプレーと玉田の意識が、良い化学反応を起こすことに期待したい。
何はなくとも一発勝負の舞台だけに、勝負を分けるのは流れや決定機を逃さない集中力となってくる。公式戦4戦連続で勝ちを逃している名古屋だが、メンバーも布陣も変わるこの一戦で心機一転、本来の勝負強い姿を見せてほしいものだ。
以上
2011.05.23 Reported by 今井雄一朗
J’s GOALニュース
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