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富山は２勝２分２敗で10位、草津は３勝３敗で７位。勝点１差で接近している。ともにこれまでの戦いには手ごたえがあり、ここで白星を先行させて弾みをつけたい。
富山は前節に京都と０−０で引き分けた。昨季は前年J１の３クラブに全敗。安間貴義監督は「F東京、京都との連戦で自分たちの現在地を知るためにベストを尽くし、勝点１を取れたことは進歩」と評価した。
無失点はリーグ再開後の５試合で３試合目。F東京戦で途中交代した３人をはじめ負傷者が続出して３、４列目の顔ぶれが変わっても守りは安定していた。３バックの中央で今季初先発した吉川健太、その左に起用された江添建次郎とも、果敢に前に出て相手の攻撃をつぶした。
吉川は「ベンチ入り以外のメンバーも含めてチームは成り立っている。出場機会がなくても、そう思って準備してきた。『カターレ富山を代表して出場する』という自覚を持ち、けがをした仲間の分も頑張る」と語っていた。彼や４試合ぶりに出場したMF西野誠が奮闘して勝点をつかみ、キャプテンDF足助翔は「チーム力に自信がついた。全員が温度差なく熱心に練習している成果だ」と胸を張った。
MF平出涼がロンドン五輪出場を目指すU-22日本代表候補に初選出されたこともチームの活気につながり、ムードは高まるばかり。対する草津が前節にF東京から逆転勝ちを収めているが、勢いならこちらも負けてはいないはずだ。
メンバーが変わって攻撃には新味も出た。MFソ・ヨンドクが試合慣れし、ミドルシュートや積極的な仕掛けでアクセントをつけ、３列目に下がったMF朝日大輔が機をみた飛び出しでチャンスメークした。今節も２人の絡む左サイドからの切り崩しに期待がかかる。
２試合連続して無得点に終わり、再開後５試合で２点しか奪えていない。しかし、安間監督はじっくりと構える。「今のやり方、攻めへの人数の割き方で十分な決定機を作れている。このままで継続し、練習によって決められるようにしていく。今は選手の成長を待つ時」と腹をすえて取り組む方針。20日は、ほとんどの時間をシュート練習に充てた。FW苔口卓也は「これまでも練習を続けてきたので、結実させたい。２列目のサポート意識が高く、自分がボールを受けた時の押し上げがすごく早くなっている。チャンスは作れており、点を取ってディフェンス陣の頑張りに応えなければ」と語った。
富山が課題とする決定力の面で、草津には切り札がある。そのFWラフィーニャが完全復調し、前節は２点を挙げてF東京に逆転勝ちした。ともにFWアレックス、MF熊林親吾らと連係し、日本代表クラスが並ぶ相手守備陣から奪った鮮やかで衝撃度十分のゴールだった。ラフィーニャは昨季の富山との２戦でいずれも決勝点を挙げている天敵でもある。安間監督は「草津の中盤のパス回しには、今のうちの守りならついていけるだろう。熊林からラフィーニャへのパスに一発があるので注意が必要」と分析し、個の力を封じるすきのない対応をポイントに挙げた。
草津の副島博志監督は就任２年目。富山のヘッドコーチ時代に指導を受けた足助は「草津はソエさんのサッカーに対する熱さやまじめさが浸透し、勝負へのこだわりをもったチームになっていると想像している」と話した。ハードワークやチームプレーを重んじる点で両チームは似ている。前節で格上のチームから勝点をかせぎ、「次の試合が大切」（副島監督）、「実力が拮抗した相手に対しては、自分たちが主導権を握ってアクションを起こして戦わなければいけない」（苔口）と考えている状況も類似している。勝って上位進出への手掛かりを得るのはどちらになるか注目だ。
以上
2011.05.21 Reported by 赤壁逸朗
