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【AFCチャンピオンズリーグ2011 名古屋 vs ソウル】レポート:主導権を分け合った日韓王者対決は痛み分けのドロー。永井プロ初ゴールも、名古屋の今季ACL初勝利はまたもお預けに(11.04.07)

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4月6日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011
名古屋 1 - 1 ソウル (19:00/瑞穂陸/7,348人)
得点者:14' 永井 謙佑(名古屋)、61' チェ ヒョンテ(ソウル)
チケット情報 | ACL特集
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ストイコビッチ監督がよく口にする表現がある。「この試合にはふたつの顔がある」。この日の試合後には聞かれなかったが、日韓のリーグ王者対決を端的に表すならば、この表現がふさわしい。前半の勝者は名古屋で、後半の勝者はソウル。試合結果は引き分けだが、前者から後者が主導権を奪った結果であることを考えれば、悔やまれるのは名古屋のほうだった。

これが1カ月ぶりの公式戦となる名古屋は、4日前に行われた広島との練習試合でも試さなかった4-4-2の布陣でソウルとの一戦に臨んできた。3トップを形成する玉田圭司が負傷で欠場し、新人の永井謙佑をスタメン起用するにあたってストイコビッチ監督は、ある意味において彼のためのフォーメーションを用意したのである。「永井をケネディ、そしてゴールの近くでプレーさせたかった」とは試合後の指揮官の言葉である。リーグ開幕戦で鮮烈な印象を残したスーパールーキーに対する期待は、想像以上に大きかった。

試合序盤からペースを握ったのは名古屋だった。最初こそ相手の個人能力の高さに翻弄される場面もあったが、時間の経過とともに持ち前のポゼッションサッカーを展開すると、主導権を握った。名古屋の4-4-2の代名詞ともいえるサイドチェンジを多用し、ソウルの守備組織を揺さぶり、攻撃のためのスペースを次々と生み出していく。そして開始早々の14分、プレーしやすい環境を与えられた快足FWが、いきなり得点という結果で応えた。

「僕が持ったらとりあえず裏に抜けろと言っていた」
藤本淳吾が早めに前線へフィードを送ると、そこには2人の相手DFと永井。フィード自体はミスキックでDFに渡ったが、トラップミスを見逃さずにボールを奪うとそのまま加速し、「タイミングよくGKが出てきてくれた」のを確認して右足で浮かせてゴール右角へ。プロ初スタメンでいきなり記録したプロ初ゴールは、永井がスピードだけでなく、繊細なシュート技術も兼ね備える点取り屋であることを証明するに十分なものだった。

勢いに乗る名古屋はその後も攻勢に出たが、しかしソウルの指揮官は冷静に状況を見極めていた。緩やかな立ち上がりは「名古屋は試合感覚が鈍っていると思っていたので、後半勝負のプランだった」ため。失点後にボランチのジェパロフを呼び寄せ、プレスの位置を前方に移動させると形勢は見る見るうちに逆転していった。
後半になるとソウルはプレスの位置をさらに高く設定し、永井をはじめとする前線へのフィードを封じ込める。中盤を抑えられた名古屋は自慢のポゼッションも機能不全に陥り、前半に多くのチャンスを作った永井のスペースへのランニングは、後半にはほとんど見られなくなっていった。

すると後半16分、ソウルに同点ゴールが生まれる。サイドハーフのコ ヨハン(背番号21)が中央へドリブルで進出しシュートを放ったが、これはDFに当たり逆サイドへ。こぼれ球を拾った右サイドバックのチェ ヒョンテ(背番号35)が豪快に右足を振り抜くと、ボールはゴール左上へと突き刺さった。シュート自体は両チームの選手、監督が認めるように正真正銘のスーパーゴールだったが、サイドバックの選手にミドルシュートを打たれたという事実は、いかに名古屋が押し込まれていたかを如実に表している。これ以降、試合の主導権は完全にソウルが握ることになる。

流れを取り戻したい名古屋は73分に高卒新人の吉田眞紀人、79分に三都主アレサンドロを投入し追加点を狙ったが、効果は薄かった。84分には金崎夢生と千代反田充の交代でパワープレーに移行。しかしデヤン、モリーナ、ジェパロフを中心としたソウルの高度なポゼッションの前にボールをなかなか奪えない。76分には皇甫官監督が審判への異議で退席処分となったが、それでもソウルの勢いが削がれることはなかった。試合はそのままタイムアップ。引き分けはグループ首位でしかもアウェイのソウルにとってはまずまずの結果だが、いまだACLで勝利を挙げられていない名古屋にとっては、グループリーグ突破へ向けた状況は苦しいものとなった。

相手の術中にはまり、勝点2を失った試合をストイコビッチ監督は「前半はグランパスのほうが良かった。しかし後半は我々がプレーをやめてしまった」と表現した。藤本は「もっと(相手の)間、間で顔を出して、自信を持ってプレーすればよかった」。阿部翔平は「もうちょっと周りの選手が気を利かせてスペースに入るなりすればよかった」と語ったが、これらは指揮官の言葉と同義と言えるだろう。ボランチの位置で奮闘した小川佳純はこうも言った。「前半は相手の前線のバランスが悪くて僕らもフリーでボールを受けられたが、プレスをかけられたことで慌ててしまった」。王者・名古屋の武器は状況への対応力の高さと、抜け目なさだったはず。試合勘の鈍りなど要因はひとつには絞れないが、早急に改善しなければならない点であることは間違いない。

最後にストイコビッチ監督は言った。「あとは1勝が欲しいです」。それは今季のACL初勝利のことでもあるが、3試合を消化した今季の公式戦での初勝利のことでもある。昨季に勝者となったチームはいま、勝利の味に飢えている。次戦は1週間後に組み込まれた延期分のACLアルアイン戦(4/12@瑞穂陸)。グループリーグ突破の可能性を残す意味でも重要な試合だが、もっと純粋な「勝ちたい」という欲求の赴くままに、アグレッシブで効果的なプレーを90分間見せてほしいものだ。

以上


2011.04.07 Reported by 今井雄一朗
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