とうとう来てしまいましたJ2日記。参加しない訳にはいかない訳で。どうなることか、楽屋話の雰囲気でプレビュー、レポートよりもリラックスして進めさせていただければと、思う次第でございます。
最初の話題は…、本来ならば大木武監督や今季のチームを象徴するトピックスなんですが、どうしても、先に書いておきたいことがあり、それを済ませたいのであります。
昨年末、練習後に聞いた森岡隆三コーチの話で、頭に残ったフレーズがあるんです。
それが、「牌(パイ)が揃っていれば、それがプラスチックでも象牙でも構わない、ということなんです」という言葉。牌というのは麻雀牌のことです。字牌ばかりあっても麻雀はできない、それと同じでサッカーも、個々の能力の良し悪しを言う前に、それぞれの役割を果たせる選手を揃えることが大事だ、…ということを言いたかったのだと思う訳です。
「役割」というキーワードで昨年末、ゲームを眺めてみたら、いろいろと発見というか、気付いたことも多々出てきたんです。
昨季終盤、ゲームメイクを中村充孝が担当することになりました。テクニックに優れた中村充を、角田誠(現・仙台)も「クオリティーは無茶苦茶高い」と絶賛していた訳です。その彼がゲームメイカーでいわゆる「ボールを配る役割」を担うことになりました。そこが固定されると守備的な中盤には染谷悠太が入り、それから角田、安藤淳と、ケガで選手が代わっていったという流れがあります。さて、中村充が「ボールを配る役」なら、それより前、プラス、サイドバックは「ボールを受ける役割」になる訳です。強引な自前解釈的な役割分担だと、そうなります。
誰が、ボールを配る役で、誰が守備的な役割で、誰がパスを受ける役割なのでしょうか。ちょっと他のチームを眺めてみます。
G大阪は、言わずと知れた遠藤保仁がボールを配る役、守備的な中盤に明神智和、ほかの攻撃陣は遠藤のパスをもらう役。昨季の西京極で戦った横浜FM(第20節)だと、ボールを配る役は中村俊輔、守備的な役割は小椋祥平と松田直樹でした。昨季J2優勝の柏では、レアンドロ・ドミンゲスがボールを配る役で、守備的な役割は大谷秀和と栗澤僚一。
こうして観ると、遠藤(ボランチ)、中村俊(右サイドハーフ)、レアンドロ・ドミンゲス(1.5列目中央)と「ボールを配る役」はポジションで決まる訳ではないことがわかります。要は、ボールを配る役の選手はどれだけチームメイトからボールを集められるか。これが重要になってくる、と思うんです。ゲームを動かす中心になる選手がどれだけチームの中心的位置(ポジションではなく、精神的な部分で)にいるか。中村充孝だけでなく、安藤淳、内藤洋平、チョン・ウヨン、加藤弘堅(年齢順)と、ボールを配る役を担おうとする選手(ディエゴ・中山博貴にはゴール前に行ってもらいたいので外しました)は、まずはチームの仲間から絶対的な信頼を勝ち取ることも必要になるのではないかなと。
森岡コーチの麻雀牌のたとえから、選手の配置を「役割」という視点から眺め、こんなことを考えてみたりしたのであります。
話をがらりと変えて、8日にサテライトが練習試合を行いました。ケガから復帰したばかり中村充がおよそ30分出場。「何%の回復とかではなくて、ゲーム勘を取り戻そうと思ってやった」とは本人談。復帰までもう少しというところです。ゲームは伊藤優汰とハウバート・ダンが2得点の活躍。伊藤の2点目はDFをかわして決めるなどキレのある動きを披露していました。ハウバート・ダンもDFの裏でボールをもらい、5点目を決めるなど力強いプレーをみせていました。しかし後半に4失点し結果は5−5、これはいただけません。まぁ、U−18の選手も入っていたこともあり、チームで統一された守備というのは難しかったというのも事実だと思いますが。
京都の守備について少し…。チームとしての守備は「10人で連動して」(大木監督)ボールを追いかけ回します。守備になると陣形は3バックに、中盤3人(アンカーと両サイド)、そして前も3人(中盤中央と前線の両サイド)でその頂点にFWが1人という3−3−3−1という形になる…と思う。特徴的な形で、4人で2列の守備ブロック(4−4−2や4−1−4−1)よりも、より強く相手センターバック、GKにまでボールを奪いに行ける形です。
逆に、横が3枚ずつなのでサイドチェンジをされるとバランスも崩れやすくなります。サテライトのゲームでもサイドを変えられると結構簡単にボールを運ばれてしまいまた。なので、相手のボールを同サイドに押し込めるようなチームディフェンスが必要なのでしょう。
トップチームで例を作ってみると、相手左サイドバックがボールを持った時、右のFWのドゥトラがしっかりとボールに行きます。内藤洋平が縦に出てくるボールをケア。相手がセンターバックにボールを返すところをディエゴが見ます。相手ボランチに入るのはチョン・ウヨンが警戒。さらに、逆サイドの宮吉拓実も逆側のボランチやセンターバックにすぐ対応できる様に意識しておきます。こうして全員で囲む形を作って、同サイドで押し込んでボールを奪いたいのだと思います。でも、サテライトのゲームでは、前の3人とFW1人のところでかいくぐられて、サイドを変えられる場面もありました。もう少し早く厳しくボールに寄せて、次に出てくるところを積極的に詰めていれば、やられる場面も減ったのではないでしょうか。こうした守備を大木監督はホントに一言で「ボールを中心に追いかけに行く」と表現したのだと思いますし、FWも含めた「10人で連動して」ということがポイントになってくるのでしょう。
今季の京都。運動量が必要なサッカーを敢行しています。でも、それが動きのあるサッカーになっているのでおもしろいと思います。何とか結果に結び付けて、もっと観客の皆さんに興味を持ってもらえるようになれば…、という思いが募ります。
以上
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2011.03.10 Reported by 武田賢宗
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