富山は宮崎キャンプ３日目の９日、綾町小田瓜多目的競技場で甲府とトレーニングマッチ（TM）を行った。45分を３本行い合計２−０（０−０、１−０、１−０）で今季TM初勝利を飾った。新フォーメーション「３-３-３-１」の特長を攻守にわたり発揮し、今後への期待がふくらむ好内容のゲームだった。
（出場メンバーはクラブ公式サイトをご参照ください）
http://www.kataller.co.jp/news/2011/0209tm.html

両チームとも１、２本目の計90分に主力組が出場した。富山にとって、J１昇格を果たした甲府は、昨季０−５、０−３と連敗して歯が立たなかった相手。今回もスタメンにはFWハーフナー・マイクやパウリーニョ、福岡から移籍のMF永里源気ら、苦い経験を思い出させる豪華なメンバーが並んでいた。それだけに今回の勝利はチームづくりに弾みをつけるものだ。FW苔口卓也は「目指している方向は間違っていない。安間監督を信じてやっていくだけ」と話した。

富山は計135分、主導権をほぼ握り続けた。運動量で上回り、「３-３-３-１」が相手の「４-４-２」のスペースを埋めるようにかみ合ってセカンドボールの争奪で優位に立った。ボール保持も安定し、「奪った後、パスの逃げ道を見つける練習をした成果が出ていた」と安間貴義監督。アンカーの平出涼やMF大西容平が起点となり、シュートまで結びつけた。平出は「前線が最終ラインに対して仕掛けることができていたので相手が下がり、自分のところでスペースを見つけることができた」と振り返る。
２本目36分のMF木本敬介、３本目10分のMF平野甲斐の得点はいずれも左サイドのクロスをヘディングで決めたもの。平野は「自分以外にもペナルティーエリアに３人ぐらい入ってきていた。チームが狙いとするサイド攻撃で、崩して奪った１点」と胸を張った。
最終ラインから左サイドに走ったMFソ・ヨンドクにロングフィードが出るなど、昨季はあまり見られなかった大きな展開もあった。日ごろから徹底を図っているように、全員が苔口ら前線の動きをよく見てプレーできていた証だ。DFの池端陽介や舩津徹也が相手コーナー深くまで侵入してクロスを上げる場面もあり、多彩な攻撃パターンを披露した。

守備面では、素早い集散でプレスを緩めず無失点に抑えた。京都とのTMで課題だった３列目の両サイドの働きについては「ポジショニングをやや中に絞ることで改善を図った」（安間監督）。両サイドが中央のアンカーを助けることで、１列前のトップ下が心配せずに高く位置することができ、全体としてのバランスが良くなったという。前回のTMと同様に、３バックの積極的なチャレンジ＆カバーも光った。池端は「今は後ろを信じて思い切りチャレンジしている。今後のゲームでは（リスクの）判断もしていきたい」と話した。

攻守ともに好材料ばかりで、チームが機能した時のモデルを示したかたちだ。ルーキー３人が加わった３本目が優勢だったことも、戦術の浸透という面で価値がある。安間監督は「（１、２本目の90分の）最後にミスが多くなったことが課題。しかし、71失点した昨季と比較すれば、『要所を押さえてよく耐えた』と評価できる。これを継続できるようにしたい」と話した。

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2011.02.09 Reported by 赤壁逸朗