★2011シーズン始動！ニューカマー・レコメンド
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ミスター・ポジティブ。水戸記者陣は大和田のことをそう呼んでいた。いついかなる時も現状を前向きにとらえ、決して笑みを絶やさない。勝利から見放され、苦しい状況が続き、チーム全体の雰囲気が沈みがちになっても、大和田だけは前向きな言葉を発し続けた。それは決して簡単なことではない。周りの雰囲気に合わせて沈み込むことの方が楽なはず。だが、彼は絶対にそういう素振りは見せなかった。なぜなら、プレーできることに対してのありがたみを知っているからだ。勝負の世界だけに当然勝敗はつきまとう。だが、それ以上にその場に立てることに対しての感謝の気持ちが彼の中にはある。だからこそ、常にポジティブでいられるのだ。

彼が水戸に加入したのは04年。しかしながら、すんなり契約に至ったわけではなかった。4か月もの間、練習生として練習に参加した結果、契約を勝ち取ったのである。「あの時は給料ももらえないし、契約できるかどうか分からず、常に不安だったし、本当に苦しかった。でも、そこで耐え抜いたから、今がある」と後に振り返ったように、「プロになる」ことの大変さを痛感してのスタートであった。そうしたベースが彼の中にあるだけに、どんな状況でも腐ることはないのだ。

加入後、本職はセンターバックだが、前田秀樹元監督のもと左サイドバックとして頭角を現すこととなる。1対1での強さ、そして思い切りのいいオーバーラップを見せてレギュラーを獲得。チームの中心選手へと成長を遂げていった。だが、07年5月26日対草津戦で悲劇に見舞われる。相手の悪質なプレーにより、右前十字靱帯断裂・右内側側副靭帯断裂という大けがをしてしまったのだ。7か月もの間、戦線離脱を余儀なくされたのであった。

誰よりもサッカーを愛する男にとって、この状況は苦しいものであった。「誰かに怒りをぶつけたい気持ちにもなったし、自暴自棄にもなりかけた。でも、本当に周りの人に支えられたし、やっぱり1日でも早くグラウンドに戻りたいという気持ちが強かった。だから、毎日必死にリハビリに励みました」と振り返る。翌年の開幕戦で見事復帰を遂げた大和田。「けがをして何もできないときに比べれば、どんな状況でも楽ですよ」と精神的に一回りも二回りも大きくなって戻ってきたのだ。

生まれつきの性格がポジティブだから苦境を乗り越えられたのか、はたまた、苦境を乗り越えられたからこそポジティブでいられるのかは分からない。おそらく両方ともであろう。ただ、これだけは言えるのは、彼の底抜けに明るい性格が常に水戸を照らし続けたということ。恵まれない環境でありながらも、常に前に進み続ける水戸というクラブにおいて、大和田の存在は不可欠であったのだ。

だからこそ、今季の“ライバルチーム”への移籍は水戸に携わるすべての人に大きなショックを与えた。ただ、これまですべてを水戸に捧げ、戦い続けた彼が選んだ道を尊重するしかないだろう。黄色いユニフォームを着た大和田をKsスタで見るのは心苦しいが、彼が元気でプレーしている限り、心のどこかでうれしい気持ちにさせられるに違いない。

原点を忘れないため、水戸では常に「32」を背負い続けた。だが、栃木では「4」をつけるという。一桁の番号を背負う彼の姿をまだ想像できないが、そこに新たな挑戦に挑む彼の心意気が感じられる。水戸での苦しい時を乗り越え、北関東を代表するセンターバックに成長した進化の証を栃木で見せてもらいたい。そして、栃木に行っても持ち前のポジティブさを持ち続けてほしい。

でも、水戸戦においては、水戸時代によく見せていた“ポカ”をしてくれることに期待している。それが本当の恩返しというものだ。分かっているよね、大和田君。

以上

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＜2011シーズンの幕開け！＞
■FUJI XEROX SUPER CUP 2011
2月26日（土）13：35／日産ス
名古屋 vs 鹿島

■NEXT GENERATION MATCH
2月26日（土）10：40キックオフ（予定）／日産ス
U−18Jリーグ選抜 vs 日本高校サッカー選抜
※この試合はFUJI XEROX SUPER CUP 2011のチケットで観戦できます。
★チケット好評発売中!


2011.01.28 Reported by 佐藤拓也