12月11日、高校サッカーの名門・前橋育英高校のグラウンドで「ザスパ草津対前橋育英」のテストマッチが行われた。日ごろ、練習で同グラウンドを貸してもらっている草津・副島博志監督が、感謝の意味を込めて前橋育英に申し出て実現した。
佐賀県出身の草津・副島監督と、長崎県出身の前橋育英・山田耕介監督は同学年の大親友。高校時代は全国切符（当時は２県で１枠）をかけて対決するライバル同士だったという。今年、副島監督が草津の監督に就任し群馬に来たことから両チームの親交はさらに深まり、草津が練習場を借りることもたびたびだった。

11月20日に前橋育英が全国切符を手にした時、副島監督は祝勝会に出席。その場でテストマッチを行うことを提案したという。「祝勝会へのお土産が何もなかったので練習試合の話を持っていった（笑）」（副島監督）。
そしてシーズンが終わった11日、テストマッチが開催された。草津は若手中心のメンバーながら熊林親吾、廣山望、櫻田和樹ら主力も先発、高校生に胸を貸した…はずだった。だが、先制したのは前橋育英。草津は、前半から育英のブロックを崩すことができず苦戦。後半早々にはキレ味鋭いカウンターを食らって失点してしまう。
しかし草津にはプロの意地があった。そこからの時間帯はポゼッションを完全に支配、終盤のセットプレーから尾本敬が同点弾を叩き込んで１−１でゲームを終えた。試合後、副島監督は、浦和内定の小島秀仁ら前橋育英の全選手と握手を交わし、全国大会へ激励の言葉を送った。

試合を終えて引き上げてきた副島監督は「前橋育英はどのポジションにもレベルの高い選手がいて、チーム力は間違いなく全国屈指。前半の内容は、どっちが高校生のチームか分からなかった」と苦笑いだった。
そして「前橋育英が全国で勝ち上がることで群馬のサッカーが盛り上がる。将来は、全国大会で活躍した選手がザスパでプレーしてくれれば地元のファンも喜ぶはず。そのためにもザスパというクラブをさらに魅力あるチームにしなければいけない」と付け加えた。
ベンチからゲームを見守っていた前橋育英出身の草津の闘将・松下裕樹は「選手権は特別な舞台。最後まで闘い抜いて、悔いのないゲームを魅せてほしい。そして僕らが越えられなかった全国選手権ベスト４の壁を破って国立で山田先生を胴上げしてほしい」と後輩へエールを送った。シーズン後のピッチには、Ｊリーグと高校サッカーの垣根を越えた交流があった。

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2010.12.12 Reported by 伊藤寿学