11月28日(日)J2 第37節 熊本 vs 北九州(13:00KICK OFF/熊本)
スカパー!生中継 Ch183 後00:50〜
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熊本の今シーズンは、劇的に幕を開けた。ホームに千葉を迎えた開幕戦、先制を許したものの、今季掲げたテーマのひとつである“最後まで走り抜く”という姿勢を全員が貫き、アディショナルタイムに市村篤司が同点ゴールを決める。この試合から5戦無敗でシーズン序盤に3位にまで浮上。それから9ヶ月、連勝も最高で2とシーズンを通して決して勢いに乗ったとは言えないが、その後ここに至るまで連敗は一度だけ。逆に引分けも含む連続無敗は4試合が2回、5試合が開幕直後と31〜36節までの2回あり、結果的に順位は下がったとは言え、J2加入から3年目のシーズンにして、昇格が決して手の届かない目標ではないことを証明してみせた。
ただ、36節を終えて13勝12分9敗という数字が示す通り、昇格を決めた柏、甲府に次いで、また福岡と並ぶ敗戦の少なさにも関わらず、それを順位に生かしきれていないのは、引分けの多さに一因がある。当然だがそれが勝点、そして順位に直結するわけで、来シーズン以降、昇格争いに絡み、またリーグ終盤までそのレースに生き残るためには、しっかりと勝ちきるゲームを増やすことが大きな課題だ。実際、内容的には押していながらゴールが奪えず、あるいはリードしたままゲームを終わらせることができずに結果として勝点を落としたことが、今シーズンは幾度もあった。そのひとつが、終了間際に同点ゴールを許した第1クールの北九州戦である。
迎える北九州は最終節に試合がないため、この試合が今季最終戦。ここまでのリーグ戦で1勝という厳しい結果を受け、選手達の中で是が非でも勝って終えたいという思いが高まっていることは想像に難くない。契約満了や引退等が各チームから発表されるこの時期、「どのチームも一丸になってる」と福王忠世が話していたが、そうした終盤ならではの高いモチベーションも、――2007年の就任から九州リーグ、JFL、J2と4シーズンに渡ってチームを率いてきた与那城ジョージ監督が、この試合を最後に勇退するという状況もあって――おそらく最大限まで膨らんでいることだろう。
だが福王が言うように、それは熊本とて同じである。今季いっぱいでチームを離れることを決めた藤田俊哉、さらには契約満了が発表された山内祐一、松岡康暢、渡辺匠、井畑翔太郎、山下訓広の5選手を笑って送り出すには、やはり勝ちたい。ホームラストである以上、否が応でもそうしたことを意識せざるを得ない特別な一戦。しかし位置づけとしてはこれまで同様、36試合のうちのひとつ。ポイントを挙げるとすれば、いつもと変わらず、今まで通りに戦えるかどうかに尽きる。
第1クールは、勢いに押され立ち上がりに何度かサイドから形を作られピンチを迎えている。前節、前々節がそうだったように、集中して試合に入ることができれば自分たちのペースで運ぶことができるが、前述したような強い気持ちを北九州も立ち上がりから全面に出してくることが予想されるため、その時間帯でどう対応するかが、ゲームの流れに影響する。
「前節はボールを奪った後のミスが多かった。しっかりつないでボールを保持することをベースに、状況に応じて早く攻めることも大事」と吉井孝輔は言う。26日の練習ではDFからのビルドアップの部分を確認していたが、アタッキングサードに入っていかにスピードアップできるかも見どころ。いいアングルと距離でサポートに入り、それを連動させて3人目、4人目の動きを絡めることで、北九州の守備を崩したい。また、前節見られたように、中途半端な位置でミスからボールを失ってカウンターを受けることを避ける上でも、攻撃時にシュートまで持ち込む場面を増やせるか。選手達も口を揃えていたのが印象的だったが、とにかく球際の強さや切り替え、ハードワークといった「今までやってきたことを出す」(松橋章太)ことができれば、自ずとゲームの主導権は握れるはずだ。
今季いっぱいとなった選手達がプレーする時間が、果たしてどれだけあるかは分からない。しかし、彼らがプレーする時間が仮になかったとしても、少なくとも今年取り組んできたサッカーはゲームを通じて見ることができるし、ピッチに立つ11人+3人が、そうした選手の分までそれを表現してくれるだろう。北九州はここまで1勝だが、引分けは12と熊本と同じ数字。最終節の札幌戦もあるが、まずは目の前の相手に対峙し、しっかりと勝ちきること。成績面で飛躍を遂げた今シーズンの集大成として、また来シーズンへつなげる意味でも、ホームで後押しを続けたサポーターに、その成長ぶりを見せてほしい。
以上
2010.11.27 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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