11月14日（日） 2010 J1リーグ戦 第30節
Ｇ大阪 2 - 0 広島　（19:33／万博／15,402人）
得点者：10' イグノ（Ｇ大阪）、61' ルーカス（Ｇ大阪）
スカパー！再放送 Ch183 11/15（月）後08:00〜
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ガンバ大阪にとってはサンフレッチェ広島に救われた前半だったと言える。前半、G大阪が放ったシュートは、わずかに２本。その１本、チームとしてのファーストシュートをゴールに結びつけたのだから。しかも、この10分のFWイ・グノによる先制点は、G大阪の左サイドで、プレッシャーをかけられたMFミキッチのパスミスから生まれたもの。もちろん、GKとの１対１の状況を落ち着いて見極め、シュートを流し込んだFWイも評価すべきだが、立ち上がりから苦しい状態が続いていた中で、広島に“プレゼント”されたゴールであったことも事実だろう。

この日のG大阪は出場停止のDF高木和道に代わってDF山口智がセンターバックを預かり、中盤はMF明神智和を１ボランチに、右にMF武井択也、左にMF橋本英郎、トップ下にMF遠藤保仁を据えたダイヤモンドの布陣でキックオフを向かえる。だが、立ち上がりからこのシステムが機能せず、前半途中にはいつものダブルボランチに変更。それでも個のミスが目立ったこともあり、リズムを作り切れない時間が続く。MF明神の言葉を借りれば「あまり今日は前からいくという感じではなく、後ろで持たせてもいいのかなというプランだった」ため、全体的に守勢に入ったという狙いはあっただろうが、広島の攻撃を網にかけてボールを奪っても、２トップを築いたFW宇佐美貴史、FWイのところでうまくボールがおさまらないことで、中盤が連動した攻撃を仕掛けられず、先制点を奪ったシーン以外は全くといっていいほど、『らしい』攻撃を示せずに前半を終える。

これに対して広島は、立ち上がりから得意のポゼッションサッカーで、らしい攻撃を展開。受けにまわったG大阪に対し、パスを繋いで鋭くG大阪ゴールに襲い掛かる。4分には左サイドを攻略して、最後はFW李忠成がゴール前中央でフリーでシュートを放つが、大きくふかしてしまい枠を捉えられず、ビッグチャンスを逃してしまう。その後、先制点こそ奪われはしたが、流れは決して悪くはなく。ポゼッションサッカーでG大阪を上回りながらシュートチャンスを伺うが、守勢に回ったG大阪の守備を完全に崩し切るまでには至らず。広島も放ったシュートはわずか４本で前半を折り返す。

前線の悪い流れに手を打つべくハーフタイムに西野朗監督が動き、FW宇佐美に代えてFWルーカスを投入したG大阪。前半同様、ボールが落ち着かない立ち上がりにはなったものの、61分に、MF遠藤保仁の絶妙なFKにFWルーカスが頭で合わせ、追加点をものにする。このゴールで心理的にも俄然優位に立ったG大阪は、更に守備意識を強めることに。相変わらずボールを支配した広島に、攻め立てられているようにも見えるが、見方を変えれば、G大阪が試合巧者に立って、ボールを持たせながら時間をうまく使っているとも言える状況が続く。
ただ、そうしてボールが動いている中ではうまく相手をいなすことができても、セットプレーだけは同じようにはいかない。しかも相手はキックの名手が揃う広島だけに、出来るだけ危険なゾーンでのファウルや、コーナーキックは避けたかったはずだが、その決定的なシーンを残り１５分を切った状況で立続けに迎えてしまう。
78分、やや距離はあったものの、ゴール前中央の好位置からFKのチャンスを得た広島は、キッカーに立ったDF槙野がコースをしっかり捉えた強烈なFKで襲い掛かるが、GK藤ヶ谷陽介がファインセーブ。更に80分にも、同じくゴール前中央、距離としては前回よりも更に近い絶好のポジションで広島がFKのチャンスを得る。だがFW李のシュートはクロスバーに嫌われゴールならず。事なきを得たG大阪は、そのまま落ち着いて試合を運び、２−０で勝利。首位を独走する名古屋、２位を走る鹿島がキックオフを迎える前に今節の戦いを終え、勝利していたため、仮に負けるようなことがあれば、完全に優勝争いから脱落してしまうという状況で迎えた一戦を、３試合ぶりの白星で飾り、優勝争いに食らいついたG大阪。対する広島はこの日の敗戦で首位争いからは完全に脱落。ACL出場権を懸けた『３位以内』が残り４節の目標になった。

余談だが、この日の一戦で主審を務めた奥谷彰男氏が、今季限りで引退することが決まった。そのため、本日は、大阪出身であり、大阪府立槻の木高校に勤務される氏にとって、地元・関西でのラストマッチということになったが、試合後には、ご家族をはじめ、サプライズで１００名近い教え子がスタジアムを訪れて労をねぎらい、氏の関西ラストマッチに花を添えた。しかも、警告カードが一枚も出されなかったこの日の一戦。奥谷氏にとってもいろんな意味で思い出深い試合として記憶に刻まれたに違いない。

以上

2010.11.15 Reported by 高村美砂