スカパー！生中継 Ch181 後01:50〜
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これが初のリーグタイトル獲得への試練なのだろうか。8月に首位に立って以来、数々の苦境を乗り越えてきた名古屋に、今季最大の苦境が襲い掛かっている。前節、鹿島との1位・2位直接対決に敗れた上に、右太もも裏の肉離れから戻ってきた田中マルクス闘莉王が再び負傷。幸いにも同箇所ではない部分の肉離れだったが、これでまたも戦線離脱が決定した。同じく肉離れで負傷欠場中の金崎夢生の復帰もまだ、さらに今節は前線の柱・ケネディが累積警告のために出場停止となってしまった。
今季の躍進を象徴する3選手を欠く中で、名古屋が迎える相手は残留争い真っ只中の大宮だ。27節の川崎F戦を打ち合いの２−２でドローに持ち込むと、続く29節山形戦、延期分の28節湘南戦で連勝し、残留へ大きく前進。上り調子のチーム状態は、名古屋が手負いでなくとも脅かすだけの力を備えている。ホームでは土壇場で勝点３を奪われたが、ヤマザキナビスコカップ予選リーグではアウェイで３−１の完勝を収めており、瑞穂での戦いには良いイメージが残っているはずだ。
しかしながら、名古屋にとって心強いのはバックアッパーたちの充実ぶりである。闘莉王の代役となる千代反田充は、ようやく本来のパフォーマンスを取り戻した感がある。シーズン序盤こそ名古屋のゾーンディフェンスに戸惑い、ミスを連発していたが、ここ2試合での出来は実に安定していた。持ち前の人への強さはチームでも一、二を争う。ラファエルというリーグ屈指のセンターFWを擁する大宮に対しては、守備のキーマンともなる。金崎に代わってウイングを務める小川佳純は、もはや代役以上の働きを見せているといっても過言ではない。攻守の切り替えと裏のフリースペースを嗅ぎ取る力が秀逸だ。唯一、不安要素なのがケネディの代役だが、ここを誰に任せるかは指揮官の考え方による。同タイプならば天皇杯3回戦で好プレーを見せた巻佑樹だが、1トップに玉田圭司を入れてパスワークの潤滑油とする４−２−３−１も選択肢のひとつ。屈強なDFラインを誇る大宮相手に、どちらで勝負をかけてくるかは興味深い。
試合展開はほぼ間違いなく名古屋が支配することになるだろう。大宮の持ち味はラファエルのスピードとキープ力を前面に押し出したカウンターであり、勝点が１でも欲しい状況からも積極的に前に出てくることは考えにくい。しっかりとブロックを作って守った後に、ラファエル、李天秀、藤本主税の機動力で一気にゴールを目指すのが第一の狙いになるはずだ。名古屋としては、まずはポゼッションで大宮の守備組織に穴を開け、緩急をつけたパスワークでチャンスを生み出したいところ。その際に重要になってくるのは、攻撃をシュートで終えることだ。カウンター狙いのチームに対する常套手段である上に、今季の名古屋は中途半端な攻撃から逆襲を喰らい、失点もしくはピンチを迎える場面が少なくない。現在の大宮にはその隙を突くだけの選手と意識が揃っているため、攻撃時の集中力と思い切りの良さが、試合の安全性を高めることになる。
名古屋はここから17日(水)の天皇杯4回戦、20日（土）のアウェイ湘南戦、23日（火・祝）のF東京戦と中2日の戦いが4試合続く。過酷な日程は苦しい台所事情と相まって、選手たちを大きく疲弊させるだろう。肉体の消耗をカバーできるのはメンタル面だけに、まずスタートとなる今節で快勝し、今季最後の苦境への勢いをつけていきたいところだ。
以上
2010.11.12 Reported by 今井雄一朗
