11月7日(日)J2 第33節 横浜FC vs 水戸(16:00KICK OFF/ニッパ球)
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残り6試合。J2も終盤にさしかかり、それぞれの目標に向けて邁進する、あるいは将来に向けて新たなステップを踏み出す、そういう段階に入ってきた。根性の勝点を重ねながら、わずかに見える昇格への歩みを止めてはいけない横浜FCと、攻撃的なチームへの転換を指向しつづけた木山隆之監督の退任を発表し、その集大成を見せたい水戸。両チームにとって、この試合の勝利の意味は単なる1勝よりも大きいことは間違いない。お互いに育んできたもの全てをぶつけあう、意義深い一戦となる。
横浜FCの今季のスローガンである「昇格」を見据えた場合、数字的には非常に厳しい状況。それでも、残り6試合に昇格の可能性を残して戦える状況において、試合で戦う最大の意義は昇格に向けて勝ち続けることであることは間違いない。「まだ何か起きると思う。その時に、うちが先にコケていては話にならない」と語る難波宏明を始めとして、どの選手にも確実に勝点3を積み上げていく姿勢に緩みはない。むしろ、細部に渡るまで最大限のこだわりと努力を続ける「岸野流根性」が結果に繋がっている好サイクルの中で、試合に対する自信が増え続けていると言って良い。
前節の岐阜戦も、粘る岐阜に対してアディショナルタイムでの久木野聡のゴールで勝点3をもぎとった。早川知伸を出場停止で欠き、ホベルトをセンターバックで起用せざるを得ない状況だったが、「我慢比べの中で、最後相手が間延びした」(高地系治)というように、90分間の中で試合の流れを引き寄せる強さを身に付けつつある。さらに、交代で入った3人のフォワードが、それぞれの持ち味を発揮した。岸野靖之監督は、「カズが入って攻撃に行く形がスムーズになった。カイオを中盤に下げて、最後は西田剛と久木野のトップになったが、カズと久木野がポジションを変えるなど、前の組み合わせのバリエーションが増えてきた」と、攻撃における采配の幅が増えていると述べる。「難波と西田の2トップも面白い。カイオを中盤に下げる選択肢もある」と、この試合では新たな攻撃の形が見られるかもしれない。狙うは、開幕直後以来達成していない3連勝だ。
対する水戸は、11月1日に木山監督の退任を発表した。守備に特長を持った水戸に攻撃的なサッカーを植え付ける試行錯誤を繰り返した3年間。昨シーズンは、J2で初めて勝ち越しを決めるなど、着実な進歩を遂げたと言っても過言ではないだろう。前回の横浜FCとの対戦(第11節:5月5日)でも、攻撃的な姿勢を貫いて、木山監督にとって対横浜FC戦初勝利を3-1で挙げている。今シーズンの中盤では、現実的な戦いを選択した試合もあったが、最近は再び攻撃の姿勢を貫いている。前節の柏戦では、高いゾーンに2ラインを設定した守備から、切り替えの早い攻撃を繰り返した。首位柏相手に、後半に力負けをした部分はあるものの、サイドの攻防から起点を作り、早目に片山真人、常盤聡を使う意思統一された攻撃は、十分に迫力があるものだった。木山監督が指揮を執る6試合において、そのスタイルを結果に結びつけることが木山監督率いる水戸ホーリーホックのサッカーの証明につながる。
そして、前節の水戸の大きなトピックは、ホーム・ケーズデンキスタジアム水戸に10,181人のお客さんを呼び込んだことだろう。水戸が次のステップアップを行うポテンシャルを持つことを実感するのに十分な出来事であることは間違いない。次のホームゲームである札幌戦でも1人でも多くのファン・サポーターにスタジアムに足を運んでもらうためにも、この試合で攻撃サッカーを貫いて勝利をすることが重要。将来につながる攻撃サッカー、そしてクラブの将来へのステップアップのための大事な一戦となる。
岸野監督がこの試合で最重要視するのは、先制点。それも早目の先制点だ。「0-0で試合が続くのは水戸としてうれしい展開。先制して、早目にプレッシャーを掛けたい」というように、横浜FCは立ち上がりに先制点を狙いにいくも得点できず苦しんだ岐阜戦の二の舞いを演じないようにしたい。水戸としても、できれば早目に先制して横浜FCの焦りを誘いたい。鍵となるのは、ボランチの対決。横浜FCは、早川が戦列に戻ってくることにより、ホベルトがボランチに復帰する見込み。岐阜戦よりも高い位置でのボール奪取が期待できる。対する水戸の攻撃の核は大橋正博。大橋による左右への配球が水戸の攻撃のスタートになる。そして、大橋のセットプレーにも要注意だ。お互いに引かないチーム同士、中盤の攻防が試合の流れを左右する。
「監督に花添えるというのは人間の心理として必ず出る」と岸野監督が語るように水戸は全力を出し切るはず。同じく「出し切る」を合言葉に最後の可能性を追う横浜FCとの試合は熱戦になること必至。闘う男の舞台(スタジアム)・ニッパツ三ツ沢球技場から目が離せない。
以上
2010.11.05 Reported by 松尾真一郎
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