10月30日(土)J1 第28節 浦和 vs 山形(15:00KICK OFF/埼玉)
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公式戦10試合負けなしと勢いに乗る浦和だったが、前節で磐田に敗れて無敗行進はストップしてしまった。もっとも、堀之内聖が「長いシーズン、負けるときもある」と語ったように、どんなチームにも黒星はいつか必ず訪れる。始まりがあれば、終わりもある。
ACL出場圏内の3位とは勝点8差とその差は小さくなく、目標達成のためには6チームをかわさなければならない。上位が団子状態であることを考えれば、磐田戦の負けは浦和にとって少なからずダメージになるだろう。ただ、「手も足も出ない状態で負けたわけじゃない」と山岸範宏が振り返ったように、内容的に修正がきかない根本的な問題は見られず、「切り替えができれば何の問題もない」(平川忠亮)とこの敗戦を引きずっている様子もない。
磐田に喫した2失点はいずれもミス絡み。無論、失点の原因を作った選手たちは強く反省しなければならないが、判断ミス、集中力の欠如から生まれたエラーだったので尾を引くこともないだろう。攻撃面では苦労する時間帯もあったが、磐田の守備が優れていたという側面もある。
チャンスを作れなかったわけでもない。手を焼かされたことは確かだが、時間の経過とともに徐々に攻撃の形を作れるようになった。エジミウソンはポストプレーとギャップで受ける動きで存在感を示し、リーグ戦では久々のスタメンとなったエスクデロ セルヒオもDFラインと中盤の間でうまくボールをもらい、相手を揺さぶっていた。固い守備に苦労しながらも、浦和らしい仕掛けは見られた。「何か変えることはない」とエスクデロが力を込めたように、今の戦い方を大きく見直す必要はない。
山形戦にはポンテが間に合いそうにない。週明けに一度練習に合流したが、翌日には別メニュー。まだ左足首に炎症が見られ、患部に血が溜まっている状態だという。本人は「動きで怖さがあるし、まだ50%くらい。自分は100%でチームのために戦いたいし、50%の状態で迷惑をかけたくない」と語っており、欠場濃厚。それだけに磐田戦で随所に好プレーを見せていたエスクデロの存在は頼もしい。
一方の山形は勝点32の12位で、降格圏とは勝点9差。J2落ちの恐怖に怯えるような状況ではないが、高みの見物を決め込む立場でもない。今後の対戦カードに下位との直接対決が残っているだけに、ここで勝点を積むことができれば楽になる。
前節は清水に完敗。ボックス型の4−4−2とフォーメーションを変えて臨んだのが裏目に出た。DFラインの前でゲームを作る清水の中盤に対して誰がチェックに行くのかはっきりせず、自由にボールを回されてしまった。
「今いる選手をいかにうまく使って戦わせるかというところで、躊躇なく今回のシステムのチョイスをした」(小林伸二監督)と攻守の要である佐藤健太郎の出場停止が、布陣変更の一因になっていた可能性はあるが、浦和戦では佐藤が戻ってくる代わりにチャンスメーカーの増田誓志が出場停止となる。清水戦の反省から策士の小林監督がどのような選択をするのか、興味深い。
浦和が優勢に試合を進めるためには、多くの選手が口にしたように「変なボールの失い方をしないこと」が重要だ。戦力差から見ても、山形がボールを支配して攻撃を仕掛ける展開は考えにくい。軽率なミスから中途半端な形でボールロストして、山形のショート&ロングカウンターを受けることは避けたい。
浦和にとっては、山形の高さも脅威になる。「分析通り、ロングボールあるいはハイボールに最終ラインが不安定なところがあった」とは磐田・柳下正明監督の弁だが、その弱点を小林監督が見逃すことはないだろう。
山田暢久、坪井慶介の両センターバックは、クロス対応に不安がある。縦のロングボールにはある程度対処できるが、ボールと選手を同一視野で捉えにくいクロスに対して両者ともボールウォッチャーになる傾向があり、リーグ序盤には度々ピンチを招いていた。
山形には、石川竜也を筆頭に高精度のクロスを上げられる選手がいて、田代有三、長谷川悠とヘディングに強い選手もいる。「両サイドから早くクロスを上げてくるから、中の対応をしっかりしたい」。宇賀神が警戒するように、浦和はアーリークロスを含む横からの速攻には十分注意を払う必要がある。
ACL出場権とJ1残留。目標は違えど、ともに欲しい勝点3。勝利の女神はどちらに微笑むことになるか。
以上
2010.10.29 Reported by 神谷正明
J’s GOALニュース
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