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【第90回天皇杯3回戦 G大阪 vs 栃木】レポート:2点を先行されるも、後半3点を奪い返し、G大阪が4回戦進出。(10.10.10)

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10月9日(土) 第90回天皇杯3回戦
G大阪 3 - 2 栃木 (13:00/万博/2,432人)
得点者:14' 高木 和正(栃木)、38' 船山 貴之(栃木)、53' イ・グノ(G大阪)、83' 平井 将生(G大阪)、86' 大塚 翔平(G大阪)
チケット情報天皇杯特集
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「もしかしたら、記者の皆さんもハーフタイムに番狂わせ用の記事を書いていたのではないかと思います」
試合後、苦笑いを浮かべて話したのはG大阪の西野朗監督だったが、実際、前半を終えた時点で2連覇を達成している天皇杯覇者の3回戦敗退を予想した人は多かったことだろう。いや、G大阪自身も、代表選手の離脱、ケガ人続出の状況から苦しいチーム事情で迎えた一戦だったとはいえ、前半でJ2の栃木SCに2点のリードを許すという展開は想定していなかったはずだ。
だが、その「まさか」の状況に陥ってしまうのが、この一発勝負の天皇杯の怖さでもあると言えるだろう。この日のG大阪は立ち上がりから中盤がうまく機能しないこともあって、リズムが掴めず、スムーズに攻撃を作れない。これに対して栃木は集中力の感じられる立ち上がりをみせる中、安定した守備から鋭くカウンターを仕掛け、14分にMF高木和正が、38分にFW船山貴之がゴールを決めて2点のリードを奪う。G大阪のゲーム内容の悪さに助けられた部分もあったとはいえ、内容的には明らかに栃木が上回った前半だった。
ただ、後半を迎えるにあたり『0−2』という状況に焦りを見せたのは、リードを奪われたG大阪以上に、攻撃サッカーを身上とするディフェンディングチャンピオンを上回る攻撃力を示して2点を先行した栃木だったのかも知れない。栃木の松田浩監督はハーフタイムに戦術的な指示に加えて『メンタル面でしっかりコントロールすること』と選手に伝えたそうだが、リードを奪っている状況にも関わらず、後半の栃木は必要以上にG大阪の攻撃を『受け』に回ってしまった感が強かったからだ。もちろん、これはビハインドを負っているG大阪がMF佐々木勇人、FW大塚翔平の2人を投入する中で『前へ』の意識を強めたことで守勢にまわらざるを得なかったという見方も出来るが、前半に比べて立ち上がりから必要以上に守備ラインが低くなってしまっていたのは、結果的に、奪った2点を守り切ろうという意識が強く働き過ぎたこと--。つまりは、松田監督の意に反してメンタル面でのコントロールが巧くいかなかったとも言える。
しかも、53分という早い時間帯にG大阪のFWイ・グノにセットプレーから1点を返されると、栃木の焦りはより顕著となり、完全にペースをG大阪に掴まれてしまう。また前がかりになったG大阪に対してカウンターから幾度かにわたって決定的な好機を見出したものの、個の精度が低く、ビッグチャンスをことごとくフイにしてしまったのも、悔やまれるポイントだろう。
これに対しMF橋本英郎をボランチに下げたことで、中盤に落ち着きが見られるようになったG大阪は、1点を返したことによって『逆襲』への活路を見出したのだろう。途中出場のMF佐々木勇人らが持ち味を発揮しながら効果的に前線のスペースに揺さぶりをかけ、ゴールへの意識を強めて行く。そんな中83分にはそのMF佐々木からの絶妙のスルーパスにあわせて抜け出したFW平井将生がワントラップから左足で豪快に決めて同点に追いつくと、86分にはまたしてもそのMF佐々木からのパスを受けたFW大塚がプロ初ゴールとなる逆転弾を決めて3−2に。このゴールで完全に栃木の息の根を止めたG大阪は、ロスタイム4分も含めて落ち着いて試合を運び、勝利。2点を先行された展開は反省すべき材料だが、最後はディフェンディングチャンピオンとしてのプライドをしっかりと示す中で、4回戦へと駒を進めた。

以上

2010.10.10 Reported by 高村美砂
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