10月10日(日)ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 磐田(15:00KICK OFF/等々力)
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「今日は前半が終っただけ。まだまだチャンスはある」とDF大井健太郎。「次は点をとって勝つ、というのがはっきりした」と、MF山本康裕。ヤマザキナビスコカップ準決勝、ホームでの第1戦に敗れた磐田だが、試合後の選手たちに決勝進出を諦めた様子はまったくなかった。
90分間の“前半戦”のスコアは0―1。敵地での価値あるゴールを狙う川崎Fの、アウェイチームとは思えない激しいプレスの前に磐田は守勢にまわり、50分に失点。そこから猛然と反撃に出て相手を押し込むが、ゴールを挙げることはできず。思惑通りの結果は出なかったが、しかし相手に決定的な追加点を与えず最少失点に抑え、最悪の結果は回避。選手たちの言葉通り、第2戦に望みをつないだ。
敵地での“後半戦”は、2点以上を挙げて勝利すれば準決勝突破が成る。だが、チーム状況は苦しい。リーグ戦は、3連勝のあとヤマザキナビスコカップ第1戦をはさんで迎えた横浜FM戦で0―0のドロー。夏場の連戦をこなした選手たちにやや疲れがみえるが、ボールを保持する力やサイドを起点にした攻撃、守備の安定など、形ができてきているサッカーが大きく崩れているわけではない。苦しいのは、メンバー事情だ。
2つの日本代表戦の合間に行われる第2戦は、代表選手が不在。ザッケローニ代表監督は、南アフリカW杯のメンバーではないが、目下、日本人のなかでは得点王のFW前田遼一を選出した。エースの再代表入りは嬉しい限りだが、チームにとってその不在は大きなマイナス。新しい代表メンバーの発表を、やや複雑な気持ちで受け止めたサポーターも多いだろう。代表には、横浜FM戦でもMF西紀寛とのコンビで右サイドを何度も攻めたてるなど、サイド攻撃を牽引しているDF駒野友一も呼ばれている。2人の欠場に加えて痛手なのが、駒野と不動のサイドバックコンビを組んでいた左のDFパク・チュホが、第1戦で川崎FのDF森勇介のタックルを受け腓骨(ひこつ)骨折の重傷を負い戦列を離れてしまったこと。念願の韓国代表に選ばれたばかりで、これからというときの負傷にサポーターたちは胸を痛めている。加えて、横浜FM戦で前半終了間際に退場したDF古賀正紘が、第1戦に続いて出場停止だ。横浜FM戦で足を傷めたGK川口能活も欠場する。
ビハインドで臨む上位とのアウェイ戦。戦い方にも難しさがある。「点をとって勝つ」というテーマは明確だが、それがひと筋縄でいく相手ではない。急いて前がかりになれば、カウンター巧者の餌食になるリスクが大きい。かといって「ウチは45分我慢してゼロで抑えて後半勝負というタイプのチームではない」と柳下正明監督。「大事なのは、いつも通りにやるということ。しっかりボールを保持して戦いたい。しかし、人が代わるのでプレーの質は多少変えていかないといけないだろう。たとえば、ハイボールを前線に入れても遼一(前田)がいないとなかなか勝てない。ではどういうボールを入れていくか、というように。0―0でもいいという気持ちが相手にあれば、スキが生まれる。そういうところを突きたい」と、指揮官は決戦に向けて語っている。
相手はホームゆえに前から来るのか。それともアドバンテージを意識し“待ち構える”のか。戦い方は、川崎Fがどういう出方をするのかにもよるところもあるが、磐田としては、フォアチェックをきかせて、カウンターの根元を抑えながら攻撃を仕掛ける時間が多かったホーム戦後半のような戦いをしたいところだろう。そして、先にゴールを奪いたい。いずれにしても、大事なのは、まずは気持ちもプレーも受け身にならないことだ。「チャレンジャーの精神で挑んでいきたい。失うものはなにもない」と第1戦終了後、選手たちも異口同音に語っている。
先発メンバーについては、「相手のこと、そのポジションでの攻守の役割、コンディションを考えて、最も良い選手を選ぶ」と、柳下監督。前田は守備でも貢献度が非常に大きい選手。FWのチェックがなければ後ろに負担がかかり、押し上げることも難しくなることを考えると、FWジウシーニョの相棒はMF成岡翔が有力か(7日現在)。パク・チュホのポジションは、MF山本康裕、MF山本脩斗、ベテランDF金沢浄が争っているが、山本康裕が右サイドバックに入り、左は横浜FM戦でも先発した山本脩斗の可能性が高い。センターバックは、第1戦にも先発し力を示した大井が、GKは八田直樹が入るだろう。
主力を欠くが、控えや若手選手にとっては絶好のアピールの場。持てる力を思い切りぶつけるプレー、その勢いに期待したい。チームの総力をあげて強豪を逆転で下すことができれば、国立への切符とともに、“自信”を得ることができる一戦。DF加賀健一についで、結果が出てきたところで今度はパク・チュホという武器を失ってしまった磐田にとって、それは今後の戦いの大きな力となるものだ。
以上
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