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【J2日記】岐阜:苦しい時にチームを救う真のエースストライカーへ。押谷祐樹の覚醒(10.10.07)

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2007年の日本クラブユース選手権決勝での押谷祐樹

今、岐阜でブレイクしている選手がいる。押谷祐樹。第27節(9月23日)の大分戦で2ゴール、第29節(10月3日)の徳島戦でも決勝ゴールを挙げ、第29節終了時点で8得点と、チーム得点王の活躍を見せている。昨季途中に磐田から加入した彼は、今季、倉田安治監督の下、ノビノビとしたプレーを見せ、岐阜の攻撃の中心となっている。
今年のポジションは本来のFWではなく、左のサイドハーフ。しかし、スピードとドリブルセンスがある彼にとって、このポジションは適任であった。常に前を向いてボールを受けることができ、サイドに張り出すだけではなく果敢に中央にカットインできるなど、彼の能力をフルに生かせるポジションを得たことで、一気にブレイクの様相を呈している。
押谷のブレイク。彼を磐田ユース時代から取材をしている筆者にとっては、『あの夏』のことを思い出す。
今から3年前の夏。高校3年生だった押谷は、磐田ユースのストライカーとして、日本クラブユース選手権に参加をしていた。毎年Jヴィレッジで行われるこの大会を取材しているが、この年は思い出深い大会だった。MF山本康裕(現ジュビロ磐田)という軸を擁し、アタッカー陣にはナンバー10を背負う押谷、最終ラインには岐阜から中京大へ進学した須崎恭平がいたが、この年の磐田ユースは大会の主役と見られていたわけではない。どちらかというと、宇佐美貴史を擁するG大阪ユースなどに注目が集まっていた。
そんな中で、初戦からチームでエースストライカーの称号を背負っていた押谷が大爆発。仙台ユース戦、1−0で迎えた22分に、右からの折り返しを巧みなトラップから豪快に蹴り込むと、25分には右からのスルーパスを見事なファーストタッチで抜け出し、そのままゴールに流し込んだ。50分には右からのクロスをワントラップシュートで突き刺してハットトリックを達成。53分には後方からの浮いたボールを再びワンタッチで抜け出して右足を振り抜き1試合で4ゴールを叩き出した。いずれもスピードを殺さずにワンタッチでゴールに直結するプレーを披露、その質の高さに驚いたことは今でもはっきりと覚えている。
これで勢いに乗った彼は、続く福岡U−18戦でも大爆発。2−0で迎えた18分に相手GKのミスを拾って1点目を挙げると、33分、40分にもゴールを決めて2試合連続のハットトリックを達成。75分にはロングパスから軽やかに抜け出して、2試合連続の4ゴールを挙げてみせた。
この2試合の彼はすさまじかった。まさにエースストライカーとして覚醒した印象であった。しかし、この大会の得点王に輝いたものの、この2試合以降はゴールを決めることができなかった。チームも決勝でG大阪ユースに敗れ、準優勝に終わった。ブレイクを見せた大会であったが、逆にエースストライカーとして苦しい試合で決めることができなかった悔しさのほうが大きく募った大会でもあった。
高円宮杯全日本ユース選手権でも、グループリーグ第2戦の札幌ユース戦で1ゴールを決めると、第3戦の開志学園JSC戦では再び1試合4ゴールを記録。だが、決勝トーナメント初戦で優勝した流通経済大柏に1−2で敗れた。この試合で彼はゴールを決めたが、勝利には直結せず。またも苦しい試合で、チームに勝利をもたらすことができなかった。
今思うと、このときの経験が今に生きているのではないかと思う。昨夏岐阜へ移籍後もレギュラーに定着することができなかったことを考えると、今季の彼の活躍は目を見張るものがある。さらに今季彼がゴールを挙げた6試合は5勝1敗という好成績で、うち4試合で決勝ゴールを挙げているし、残りの1試合も貴重な同点ゴールであった。チームが苦しい時に、勝利に直結するゴールを決めることができる勝負強さこそ、真のエースストライカーたる所以。彼はまさにあの経験を乗り越えて、岐阜の地で真のエースストライカーになっている。
岐阜の地で再び覚醒した押谷祐樹。彼の2度目の覚醒を目の当たりにできたことは、本当に喜ばしいし、これからも更なる覚醒を見届けていきたい。

以上

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2010.10.07 Reported by 安藤隆人
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