いつも陽気な岐阜のGKコーチのセルジオ・ゴベッチ。気さくな彼は、いつも試合会場で筆者を見ると、笑顔で握手を求めてくる。その彼が、今年に入ると、しきりに筆者に聞いてくることがある。
「ゴベッチ、どう???」
そのゴベッチは当然、セルジオ自身のことではない。彼の愛息であるヴィニシウス・ゴベッチのことだ。ヴィニシウスは現在高校3年生で、岐阜の名門中の名門である岐阜工業高校でプレーしている。
ポジションはもちろん父親同様にGK。昨年まではエースGKがおり、控えに甘んじていたが、最高学年になった今年はついに正GKを務めることとなった。筆者は岐阜担当ライターのほかに、高校年代のサッカーを10年以上取材しており、セルジオも筆者がよく高校サッカーの試合を取材に行くことを知っている。それだけに「岐阜工、見に行った?」「どうだった?」としきりに聞いてくるようになったのであった。
今年の7月、セルジオに会うと、
セ:「沖縄行きたいけど、こっちのほうが大事だから行けないね」
筆:「沖縄行きますよ」
セ:「オー!! 行くのですか。息子をヨロシクオネガイシマス!!」
父親直々のご依頼を受け、一路沖縄へ飛ぶと、沖縄インターハイ初戦の岐阜工対筑陽学園の試合を取材。激戦区・福岡を勝ち抜いた強豪が相手とあって、ヴィニシウスの出番もあり、真価が問われる試合となった。ヴィニシウスにとっては初めての全国大会での試合。緊張しているのかと思いきや、日本語で的確な指示を送り、枠内に飛んでくるシュートに対してもしっかりと対応。さらに正確無比のキックを駆使して、岐阜工の攻撃の起点に。さらにファインセーブも連発。後半27分には、決定的なピンチを迎えるも、相手FWとの1対1を完璧な飛び出しでブロック。そのこぼれ球を押し込まれそうになっても、すぐに起き上がってスライディングでゴール前からかき出すなど大活躍。
が、しかし、悪夢は後半アディショナルタイムに待っていた。ロングパスから相手FWに抜け出され、角度のない位置からシュートを放たれると、ボールはヴィニシウスの脇を破り、逆側のサイドネットに吸い込まれたのだ。このゴールが決勝点となり、チームは残念ながら初戦敗退となったが、ヴィニシウスはその活躍が認められ、なんと大会優秀選手に選ばれたのだった。
沖縄から帰ってからすぐのホーム・熊本戦の試合前にセルジオにばったり会うと「沖縄、残念だったネ」と一言。「かなりの大活躍でしたよ。スーパーセーブも見事でしたよ」と伝えると、満面の笑みで親指を立てるポーズを見せてくれた。
父親がコーチを務める岐阜の試合を、試合のない時には岐阜工のジャージを着て見に来る愛息と、そんな息子をずっと気にする優しい父。これからいよいよ高校選手権のシーズン。今度は満面の笑みでセルジオが語りかけてくれるように、そしてさらに将来、ヴィニシウスが岐阜のユニフォームを身にまとって、長良川競技場のピッチに立つことを夢見て、彼の活躍を期待したい。
…やっぱり同じことに打ち込む親子愛って、いい。
以上
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2010.09.28 Reported by 安藤隆人
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