9月19日(日) 2010 J1リーグ戦 第23節
仙台 2 - 0 山形 (15:04/宮城ス/26,391人)
得点者:28' 梁勇基(仙台)、76' 梁勇基(仙台)
スカパー!再放送 Ch181 9/21(火)深00:00〜
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今回の試合は双方レポートという体制に甘えて、あえてこの言葉で始めさせていただきたい。
梁勇基、あなたは最高だ。
今回は、前回ダービー由来の仙台の「復讐心」が、ゲームの多くの時間で山形に勝る戦いぶりをチームにもたらした。それでもゴールが無いことには勝点3にはつながらなかったところ、クラブが誇る10番が彼なりの仕事(そしてそれは、見るものにとっては魔法)をしたことで、仙台は結果においても、最良のものを手にしたのである。
立ち上がりは仙台にとって、ひやっとする展開から幕を開けた。守っては小林亮からの縦パスで裏を取った北村知隆にきわどい場面を作られ、一方で攻めも、随所に枯れやでこぼこが目立つピッチでボールコントロールに苦労し、なかなか起点を作ることができない。
しかしそれも、試合開始から10分ほどまでの話。このピッチ状況での「振る舞い方」をわかり始めた仙台は、徐々に山形陣内でボールを収め始める。
それは狙いが実を結び始めた兆しでもあった。手倉森誠監督は「山形は前節の名古屋戦同様、きっとダブルボランチで来る」と思っていたというが、発表された先発の並びが佐藤健太郎の1ボランチによる4-3-3を表していると見るや、すぐさまその1ボランチの左右スペースを狙えると悟った。梁、関口訓充の両サイドハーフ、さらに前線から降りてくる中原貴之、朴成鎬の高さを持つ2トップがそのスペースを突くことで、少しずつ崩れていく山形守備のバランス。
さらに、右のサイドハーフとして陣取っていた関口(彼は前回対決をケガで欠場していて、山形の選手によっては、関口のスピードは未体験のものだった)がボールを持つ度に、佐藤健太郎は関口をスピードに乗せまいと考えてか、中央のスペースを空けて、サイドの関口をケアしに来る。そうなると、ただでさえ狙い目となっていたバイタルのスペースで、さらなるチャンスが仙台に巡ってくる。
こうして時計が25分を回った後、左サイドから前述のスペースに飛び込んできた梁に対し、山形はたまらずファール。気をつけていたゴール前でのFKを、山形は仙台、というより梁に献上してしまった。
ゴールほぼ正面距離25メートル。クラブの歴史に刻まれる美しいFKを似た位置から幾重にも決めてきた梁。その右足から放たれたボールは、壁を軽やかにかわしながらも、抑えの効いた弾道でゴール右下へ、GK清水健太の手をかすめて吸い込まれていった。
こうして先制点を得た仙台だが、リードを奪ってもテンションが緩むことはない。前回対戦で仙台の守備陣を翻弄したこともあり、仙台の選手が「山形のキーマン」として多く名前を挙げていた増田誓志への対応が、それをよく表していた。前半には富田晋伍、斉藤大介の両ボランチが見事な連携で、増田と前線(特に田代有三)との関係をうまく寸断。その他の地域でも、球際で「戦う姿」を見せた仙台はイーブンボールをことごとくものにする。
さらにこの日の仙台には、熱さとともに冷静さもあった。前半はプレスに苦しんだ増田がボールに自由に触れたい意志からか、後半は前半に比べ明らかに低い位置でボールを受け始めたのだが、その増田に粘り強くついていた斉藤はこの状況を「増田が怖いのは、田代の近くで落としを受ける時や、2列目から飛び出してくる時。だから受けに下がったのだとしたら、あまり深追いすることはないと思った」と振り返る。リードしていながら相手の揺さぶりでバランスを崩すような戦いを、この日の仙台が演じてしまうことはなかった。後半の立ち上がりにはゴール前に何度か危険なボールが入って来るのだが、それも身体を張り続けた渡辺広大、鎌田次郎の両センターバックを中心に跳ね返し、同点弾は許さない。
そして76分、文字どおり試合を決める瞬間がやってくる。ロングボールを中原がしっかりと競って落とすと、拾ったのは後半から入っていたこれが復帰戦の赤嶺真吾。彼がペナルティーエリア右まで持ち込んでのシュートはDFにクリアされるが、右サイドで関口に拾われたボールは、正面の富田を経由して、ペナルティーエリア左45度の角にいた梁の足元へともたらされる。梁は一度クイッと前に持ち込んでペナルティーエリアに侵入すると、そこから右足に持ち替え、低い弾道でインフロントにかけた技巧的なシュート。ゴール右隅に決まった瞬間、勝負はほぼ(場の空気的にも)決まった。
正確に言うと、梁のゴールが決まったことよりも、直前に山形が最後の選手交代枠として長谷川悠の投入を既に申請してしまっていたところで梁の2点目が決まったことが大きかった。1-0ならばまだ駆け引きも使えただろうが、2-0となってしまった時点でこの交代はパワープレーの意味しかなさなくなる。小林伸二監督にとっては不運な展開だが、サッカーの監督がある意味でマジシャンだとして、選手交代が90分の中での流れを変える「マジック」だとすれば、仙台は山形が一縷の望みを託して繰り出した最後のマジックの「種」を最初から見破った状態で、余裕の対応を行うことができた。というわけで仙台が中盤の底を固めると同時に、パワープレー対策としてゴール前での高さを増やす意味で千葉直樹を投入したことにより、本当の意味で試合は決着した。
この勝利で仙台は13位まで浮上。だが下位との勝点差はまだ開いておらず、残りが11試合あることを思えば全く楽観できる水準ではない。
だが、何とか生き残らなくてはいけない。
こうしてJ1で2度行われた「みちのくダービー」の雰囲気は、来期以降のそれにも期待を抱かせる熱狂があった。だが当たり前の話として、継続するためには双方生き残る必要がある。
もう一度来年、このステージで「祭り」が行われることを願いながら、みちのく2クラブの2010年の激突を締めくくりたい。
以上
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