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【J2日記】大分:天才マエシュン一時去ル(10.08.12)

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(C)柚野真也

「才能を開花し、また大分に戻ってくると信じている」とひと時の別れを惜しむサポーター。

前節の富山戦で約4か月ぶりの白星を手にし、ようやく活気が戻ったチームに悲しい知らせが入った。「前田俊介、F東京に期限付きで移籍」。今オフに主力選手ら13人が抜け、“別れ”には慣れていたつもりだが、期限付きとは言え見送る寂しさを思い出した。
サポーターのなかで“マエシュン”のニックネームで愛されていた前田は、マスコミに対して多くを語らない武骨な男ではあったが、裏のムードメーカーとしてチームを盛り上げ、近寄り難いが子どもから愛される不思議なキャラクターだった。

期限付き移籍の情報が流れた当日、練習前のミーティングで「頑張ってきます」と前田らしく“ひと言”別れの挨拶をし、チームメイトからは「寂しくなるな」と送り出されたと言う。出待ちのサポーターに対して、いつもと変わらず突き放すわけでもなく、愛想を振りまくでもなく、一定の距離を保ち駐車場に向かうオレ流はこの日も変わらなかったが、この日の前田はいつもと様子が違って見えた。相変わらず記者陣の質問に対しても「まあ頑張るだけです」、「結果を出すだけです」と言葉少なく答えたが、心の中に「チームが大変な時期に力になれず悔しい」という気持ちがあったのだろう。

前田が大分に来たのは07年の6月1日。その年の大分は前線の選手にケガ人が相次ぎ、チームはJ2降格圏をさまよっていた。広島から期限付き移籍で獲得した前田は起爆剤となり、07シーズンの大一番となった第31節大宮戦では残留を決定づけた逆転ゴールを決め、勝負強さを発揮するとともにサポーターのハートを鷲掴みした。あれから3年。足下でボールをもらって前を向けば怖い存在だが、献身的な守備やオフザボールの動きでチームに貢献することが少なかった。天才肌であるが故に、自らのスタイルを変えられないでいた前田は出場機会を十分に与えられず、その才能を持て余していた。

前田と言えば、広島ユース時代に高円宮杯全日本ユース選手権(U−18)制覇など、数々のタイトルを勝ち獲って将来を渇望された天才肌のストライカーだ。大分の過去最強のユースと言われた西川周作(広島)、梅崎司(浦和)を擁したチームが、一人の天才に何度も屈した試合を見たことがあるが、前田がボールを持つ度に心踊ったのを覚えている。
昨年まで一緒にプレーし、幼少の頃から前田を知る家長昭博(C大阪)に「アイツの才能には敵わない」と言わしめた。今季途中に移籍してきた土岐田洸平も前田の才能を知るひとり。「ユース時代に対戦したことがあるが前田君一人にボコボコにやられた」と当時を振り返った。
誰もが認める天才――。幼い頃に天才ともてはやされ消えていった無数の少年たちを知っている。才能だけで生き抜けるほどプロの世界は甘くはない。ただ、前田に関しては早熟の天才で終わってほしくない。新天地のムービングフットボールに適応できるかはわからないが、これまで数々の名将が前田に惚れ込みながらも生かしきれなかった才能を再び開花させてもらいたい。熱血漢の指揮官に飄々とプレーする前田はどのように映るのか。
期限は来年の1月31日まで。来季、天才伝説第2章が大分で始まると願っている。

以上

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2010.08.12 Reported by 柚野真也
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