8月8日(日) 2010 J2リーグ戦 第21節
草津 2 - 1 栃木 (19:04/正田スタ/7,946人)
得点者:23' 崔根植(栃木)、52' 後藤涼(草津)、72' ラフィーニャ(草津)
スカパー!再放送 Ch183 8/9(月)後01:00〜
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これまで栃木SCは先制すれば6勝2分と、先制点を高い確率で勝点に結び付けていた。ザスパ草津戦との「北関東ダービー」でも、先手を取ることに成功した。だが、追加点を奪えず、今季初の屈辱的な逆転負けを喫した。
前節、横浜FCを相手に劇的な勝利を収めていただけに、1―2と競り負けたこと、そしてライバルの草津に敗れたダメージは大きかった。試合後、敗戦の衝撃の大きさに、ゴール裏のサポーターは声を失った。「内容よりもファン・サポーターは結果を求めていたと思う。申し訳ない気持ちが強い」と、入江利和は唇を噛んだ。水戸ホーリーホックとの「最終戦」を残した状態で、栃木の「北関東制覇」の夢は、2年続けて敷島で潰えた。
試合序盤は栃木がポゼッションし、自陣に引きこもった草津がカウンターを仕掛ける展開が続き、攻勢の栃木が23分にゴールネットを揺らした。ここ数試合、新たな得点パターンとなっているFKから、高木和正と崔根植が絶妙のコンビネーションを披露し、崔がシュートをねじ込んだ。
草津にはラフィーニャを背後に走らせる以外に攻め手はなかった。草津が拙攻を繰り返す間に追加点を取りたかった栃木だが、「勝たないといけない試合だったので、前から前からという気持ちが出過ぎた」(高木)。ダービーゆえに平常心でいられなかったのかもしれない。前掛かりになり過ぎたことでバランスを失う。ただ、アンバランスな状態でも、チャンスは作れていた。高木の良質なクロスからリカルド・ロボ、本橋卓巳がゴールに迫った。しかし、決めきれなかったことが後々、響いた。
後半の序盤にも決定機を迎える。相手のセットプレー崩れからカウンターを繰り出し、最後は長い距離を走った大久保裕樹が、ペナルティボックスの中で切り返してシュート。千載一遇のチャンスを、しかし歓喜には繋げられなかった。数分後には恐れていたカウンターから失点。前半から空き始めたバイタルエリアに潜り込まれ、スルーパスを通されてしまい、試合を振り出しに戻された。
セカンドボールを拾えず、守備ブロックの間でパスを受けられては、ボールを動かされた栃木。著しく乱れたリズムを選手交代で変えたかったが、「僕の交代が悪かった」、「タイミングが一つ、二つ遅れたことを後悔している」と松田浩監督が振り返るように、交代カードを切るタイミングが結果的には明暗を分けた。劣勢を挽回できずに後半27分、CKから決勝点を許してしまった。選手交代には勇気と決断力がいる。監督にとって簡単な作業ではないが、交代の機会を逃したことは悔やまれた。
「後半の立ち上がりのチャンスも決めないといけなかったし、相手ペースになった時にどう対処するのかも考えないといけない」と、高木は今後の課題を挙げた。決定機を確実に決めきらなければ痛い目に合うことを、草津戦で改めて学んだ。2点目は遠かった。でも、幸いなことにチャンスはしっかりと作れている。あとは古くて新しい命題、決定力を高めていくしかない。
流れが相手に傾いている時、心の拠り所になるのは、やはり栃木のストロングポイントである「堅守」だ。“吼えるキャプテン”落合正幸は言う。
「後手を踏んでいる状況でも粘りたかった」
いつまでも過去の栄光にすがるのは良くないが、無敗街道を突き進んでいた時の組織的な守備力、最後の最後までボールに食らい付いて少しでもシュートの軌道を変えてやるという粘着力と執着心が、もっと欲しい。
さらに、後半戦も上位戦線に食い込むために取り組んでいる、ポゼッションの意識を高めることも必要だろう。ヴァンフォーレ甲府戦もそうだったが、相手のハイペースに付き合ってしまう癖がある。落ち着いてDFラインでボールを回し、相手を上手くいなしながらリズムを整える。一朝一夕に事は運ばないが、地道にやり続けるしかない。何度も試行錯誤を重ねた結果、セットプレーが今、大きな武器となっているように、必ず巧みな試合運びも身に付けられるはずだ。栃木の可能性を、信じたい。
以上
2010.08.09 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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