5月30日(日)国際親善試合 イングランド vs 日本(21:15KICK OFF/UPC)
試合速報-
改めて、韓国戦はショッキングな大敗だった。平日の雨の中にも関わらずスタジアムを訪れた6万人弱の日本代表サポーターの前で、宿敵に完敗。あまりの内容の悪さに中村俊輔(横浜FM)は「今まで積み上げてきたものがちょっとずつ、なんかこう、消えてきて…」との言葉を口にしたほどだった。W杯本大会を前に行われた国内最終戦での大敗の結果、代表に対する雰囲気は非常に悪い物となっている。ただ、だからこそ、ここでその悪い流れを転換させて欲しいと思っている。
では本大会に向け、日本代表はこの試合にどんな意味合いをもたせているのか。まず日韓戦での、日本代表の悪かった点を指摘しよう。
先日の日韓戦の中で岡田武史監督は、カウンター対策に取り組んでいた。というのも4月7日に行われたセルビア戦で見られたような、攻め込みながらも簡単に裏に走られ失点を喫する試合がつづいていたからである。そこで岡田監督は、最終ラインのポジションをある程度下げて日韓戦に臨むのである。その結果として、韓国代表に裏を取られる場面は実際に減る。ただ、逆に日本の攻守に渡る生命線とも言えるプレスをかけることができず、完全にペースを握られる事となった。
ピッチ上で何が起きていたのか。まずは、最終ラインが下がってしまう事で組織的な守備ができず、相手に容易にパスをつながれてしまったという事。また攻撃時には、人と人との距離が離れており、結果としてパスコースが、つまり適正なサイズのトライアングルを作ることができていなかった。その結果攻守を切り替えたい場面でスピードアップできず、横パスばかりが増えてスピードダウン。結果的に韓国代表が作る磐石のブロックを壊すという困難なプロジェクトにとりかからなければならなくなった。
つまりこの試合では、そうした日韓戦ででた問題点をどのように解決するのかに注目してみたいと考えている。日韓戦がそうであったように、イングランドというトップレベルの選手を抱えるチームの攻撃は確実に鋭いものになるはず。そんな相手に全体が間延びした状況で何か効果的な形が作れるものとは思えない。だからこそ、日韓戦の反省を踏まえ、全体をコンパクトにした試合運びを実現しつつ、カウンターに対処してほしいと思っている。ちなみにここまでの各種報道を見ていると、岡田監督はこうした強豪国を相手にした守備陣形について、ラインを下げるのではなく中盤の枚数を増やす方向で対処しようとしているようである。なるほど、例えばアンカー(3ボランチの真ん中の選手)が入ることで、守備の局面ではアンカーの選手が最終ラインにまで降りて変則的な3バックの形を構成しやすくなるし、攻撃の局面では左右のボランチの選手がより攻撃に出やすくなる。岡田監督は基本的にボランチは2枚で試合を行ってきており、今までに試してきていないことが気がかりではあるが、こうした強い相手に対し、試せることは何でも試しておきたい。そうした中で試合がどのような展開になるのか、注目したい。
戦術論的な守備での見所の他に、能力の高いイングランドの選手の攻撃を局面でどのように跳ね返すのかにも注目してみたい。オランダがそうであるように、イングランドの各選手の能力は言うまでもなく高い。そしてその攻撃は、昨年9月のオランダ戦での、ほんの僅かな隙をつかれての失点を想起させる。ただ、そのオランダ戦で言えば、例えばファン・ペルシの1点目の場面では、長友佑都(F東京)が振り返るようにあと50cm前に出ていれば防げていた失点でもある。また、スナイデルに喫した2失点目もそうした球際の数十センチの差が分けた失点だった。だからこそ、この試合はイングランドという絶好の相手に対しそうした球際の攻防と最後の50cmの危険性とを体感し、体に刻み込む試合にして欲しいと思う。そしてできればイングランドの攻撃を抑える、という成功体験で完結してもらえればとも思っている。
守備の安定があってこそいい攻撃も実現できる。特に岡田監督の採用する戦術では、いい守備が即、攻撃へのきっかけとなる。だからこそ、誰がどこに入るのかということよりも、まず、どのような守備をするのかという点がポイントとなる。そうした背景を理解してもらった上で、この試合では、攻撃の組み立てに注目したい。1トップの岡崎慎司(清水)に対し、本田圭佑(CSKAモスクワ)がトップ下に入った日韓戦では、彼らの良さをほとんど引き出すことができなかった。特に右のサイドハーフとして出場した中村俊はほとんどボールに絡むことができず、コンビネーションの悪さを露呈してしまう。ちなみにその中村俊は日韓戦後に足首の悪さからくる自身のプレーの物足りなさについて口にしており、そもそもコンディションも悪かったようである。そもそも中村俊の不調の可能性については本大会でも十分に考えられる事として認識しておく必要があるだろう。というのも、高地での試合における体への変調は、中村俊に限らず誰にでも起きうる問題だからだ。という事でこの試合では、中村俊が先発しようとしまいと、彼に依存しない攻撃の形を1パターンでもいいから見せて欲しいと思っている。
イングランドのようなチームが相手でも、日本人が本来的に持つ俊敏性や機動力を発揮した上でシュートにまで行く形を見たい。なんとかいい形で相手を崩し、可能性のあるシュートを放つ場面を作って欲しいところだ。
このグラーツでのイングランド戦を終えると、本大会前の練習試合は6月4日のシオンでのコートジボワール戦を残すのみとなる。簡単なことではないとは思うが、本大会に向け、現在出てきている問題点を洗い直して欲しいところである。そして何かしらの成果を手にしてもらいたいと思う。
以上
【SAMURAI BLUE(日本代表)試合予定】
■国際親善試合
2010年5月30日(日)21:15(日本時間)/オーストリア・グラーツ
SAMURAI BLUE(日本代表)vs イングランド代表
※この試合はNHK総合テレビにて全国生中継!
2010年6月4日(金)19:20(日本時間)/スイス・シオン
SAMURAI BLUE(日本代表) 対 コートジボワール代表
※この試合はTBS系列にて全国生中継!
■2010FIFAワールドカップ南アフリカ グループE
2010年6月14日(月)23:00(日本時間)/ブルームフォンテーン
SAMURAI BLUE(日本代表) vs カメルーン代表
※この試合はNHK総合テレビにて全国生中継!
2010年6月19日(土)20:30(日本時間)/ダーバン
SAMURAI BLUE(日本代表) vs オランダ代表
※この試合はテレビ朝日系列にて全国生中継!
2010年6月24日(木)27:30(日本時間)/ルステンブルグ
SAMURAI BLUE(日本代表) vs デンマーク代表
※この試合は日本テレビ系列にて全国生中継!
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2010.05.29 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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