5月24日(月) キリンチャレンジカップ2010
日本 0 - 2 韓国 (19:20/埼玉/57,873人)
得点者:6' パク・チソン(KOR)、90+1' パク・チュヨン(KOR)
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試合中、どうにも日本代表の動きがおかしいと思っていた。持ち前のプレスが全く機能せず、ボールポゼッションで韓国に上回られてしまっていたからである。またサイドバックの攻撃参加も極端に少なく、攻撃は連動性に乏しいものになっていた。そうした手詰まり感を「今まで積み上げてきたものがちょっとずつ、なんかこう、消えてきて…」と話した中村俊輔(横浜FM)は、それを具体的に「サイドバックとサイドハーフが連動して上がるという今までのスタイルが全くなくなってしまった」のだと説明した。
そもそも岡田武史監督は日本代表の失点について「カウンターとロングボールに多い」事を認識しており、それをどう対処するのかをこの試合で試そうとしていた。たとえばカウンター対策では「両サイドをあげていたのを1人だけあげて、逆サイドは残そうということでやりました」とし、サイドバックの攻撃に制限をかけていたのだと話している。またロングボールに関しては「今まで高いラインで駆け引きをして、裏に落とされて走り負けることが多かった」という状況を改善すべく「後ろの絞りと、サイドのカバーと、ボランチが拾うところを言っていた」という。ところがカウンター対策への意識が強すぎて本来セカンドボールを拾うべきボランチが「競ることが結構多かった」(岡田監督)という試合になり「ちょっと下がり過ぎたかなと。そこは少し反省をしています」と述べている。いずれにしても守備への意識を強く持たせ過ぎた事が、ダイレクトに攻撃時の機能不全につながってしまったのである。
攻撃を犠牲にしてまで守備を意識させた日本のゲームプランを壊したのは、パク・チソンだった。長谷部誠(VfLヴォルフスブルク/ドイツ)と今野泰幸(F東京)とをかわしたドリブルはもちろん、日本のゴールネットを揺らしたミドルシュートも見事だった。楢崎正剛(名古屋)の伸ばした手はシュートコースに入っているのだが、意図的にバウンドさせるように蹴られたシュートはイレギュラーバウンドとなってサイドネットに突き刺さるのである。
前半6分に1点を奪った韓国はその後もリトリートするわけでもなく、勢いを殺さずに日本に襲いかかる。岡田監督が当初掲げていたコンセプトとは、そうした前に出てくる相手に対してプレスを仕掛け、相手のゴールにより近い位置でボールを奪いショートカウンターを狙うというものだった。つまり日本にとっておあつらえ向きの状況になったのである。しかし、日本代表はプレスに行くことができなかった。冒頭にも記した守備面での改善点がもたらした、悪性の副作用だった。
日本代表のあの布陣の場合、本来であれば中村俊や本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)に当ててタメを作り、そこから攻撃を紡いでいかなければならない。しかしそれが全くと言っていいほどできていなかった。守備面を改善しようとするあまり、気持ちが後ろに行き過ぎていた事がその最大の原因だった。それにより「一人ひとりの距離が離れていた」と遠藤保仁(G大阪)は述べている。そしてその結果として「ボールをとってからテンポダウンしてしまった所があった」(長谷部)のである。
守備への意識が強くなりすぎて全体的に後傾した布陣になっていた。さらにはそれによって一人ひとりの距離が離れてしまい、パスを出すという事以前にパスコースを探さなければならなかったという事。それが攻撃へと局面が切り替わった時の崩しの遅さにつながり、日本代表の攻撃にブレーキを掛けてしまったのである。W杯を前にしたこの時期に出る状況としては非常に厳しいものではあるのだが、希望が全くないかというとそういう事でもないのが救いであろう。例えば途中交代出場の森本貴幸(カターニャ/イタリア)と中村憲剛(川崎F)は「ベンチの時からずっと話していました。入った時の話をしました」(森本)という状況でピッチに立ち、攻撃を組立てようとしていた。「ちょっと横パスが多かったと思います」という感想を持った森本に対し中村憲は「森本のワントップだったので、孤立しないように心がけ」ており、そうしたプレーを意識していたのだという。結果的にこの二人が劣勢の日本代表に大きな変化をもたらせていたわけではない。ただベンチ内でもコミュニケーションを取り意図を持ってピッチに入った選手がいた事が、日本のサッカーを改善へと導くきっかけになる可能性はあるだろう。
試合の方はいいところのないまま、後半ロスタイムにPKで2点目を失い敗戦となってしまった。あまりにも内容のない試合が韓国を恐れてのことではなく(長谷部「リスペクトしすぎたということは全くない」)純粋に戦術的なテストに起因する事が救いになるのかもしれない。またこれが本大会の初戦でなかった事も、日本にとってはラッキーだったと言える。幸いなことにカメルーンとの初戦までにはあと2試合もテストの場がある。この惨敗を最大限に活用し、立て直して欲しいと切に願っている。
以上
2010.05.25 Reported by 江藤高志
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