4月28日(水)AFCチャンピオンズリーグ2010 北京 vs 川崎F(20:30KICK OFF/北京)
試合速報 | ホームゲームチケット情報 | 決勝戦は11月13日(土)に国立競技場で開催!
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まずは簡単に現状のおさらいを。川崎Fが属するEグループは、すでに城南が1位通過を決めており、ラウンド16に進出するために残された枠は一つしかない。現在川崎Fは勝点6の3位につけており、2位北京とは勝点差1の位置につけている。つまりこの試合はラウンド16進出をかけた2位3位の直接対決という事になる。引き分け以下では北京の逃げ切りを許すこととなるが、逆に言うと勝ちさえすれば逆転での2位通過が決まるのである。
2節に行われた北京との等々力での対戦は、川崎Fが1-3と完敗。季節外れの降雪と強風の影響をもろに受ける形ではあったが、いずれにせよチームは「言い訳はできません。負けは負け」(黒津勝)と敗戦した事実を受け止めている。そしてだからこそ、この試合は川崎Fにとっては2位をかけたものであるのと同時に、リベンジマッチとも言えるのである。
まさに大事な一戦となるが、この試合に向けてチーム内に不安要素がいくつかある。一つはご存知の通り、鄭大世の出場停止である。鄭大世は3節の等々力でのメルボルン戦での退場に伴い3試合の出場停止処分を課せられ、この試合がその3試合目となる。小宮山尊信は「一番点を取っていますからね」とその不在を嘆きつつも「でも、そういう試合もある。その中で勝つのが力だと思う。マイナスばかり考えていたらキリがない」と、前向きだった。いまや攻撃にはなくてはならない存在である鄭大世を欠くのは川崎Fにとっては大きな損失となるが、この逆境をどう跳ね返すのか、まずは見所となる。
さらに、城南戦で警告を受けた寺田周平が累積によって出場停止となった。去年の天津とのアウェイマッチでは試合中に中村憲剛が相手チームのスタッフから足蹴にされるなどスタジアム全体を巻き込んで騒然とした試合となった。その試合を踏まえ「なかなかできる経験ではない事が起きそう」な事もあり、行きたかったと本人は語る。しかし現実として、出場停止処分を受けることとなったためCBコンビにも変更が必要な状況となっている。
これだけでも痛いのだが、さらにここに来て稲本潤一が内転筋を痛め、欠場する事となった。そもそもの前提として稲本は内転筋を痛めていたのだが、クラブと代表とでフル回転して来たそのツケが、ここで出てしまった形である。川崎Fへの合流後、チームにもなじみ、中盤の欠かせない選手としての地位を獲得していただけにこの離脱は痛い。この稲本の欠場により、センターラインのキープレーヤー3選手を欠く事となり、大事な試合に向けて非常に難しい対応を迫られるこことなった。
そうした苦境の中、希望があるとすれば中村憲剛の戦線への復帰であろう。先日の神戸戦で、負傷後初先発した中村は、持ち味であるパスセンスを余す事なく発揮し攻撃を組み立てていた。その中村はこの北京戦に向け、「みんな(状況は)わかっているしやるしかない。勝ち抜けの条件はわかっている」と話し「帰ってきた選手が頑張らないとダメだと思います」と気合を入れ直していた。
稲本の不在は純然たる損失ではあるが、そもそも考えてみると中村と谷口博之のボランチコンビで川崎Fは結果を出して来ていた。もちろんレギュラー3選手の不在は痛いが、致命傷では無いのかも、と思えるところが今季の川崎Fのすごさであろう。
対する北京にとっても、この試合はグループステージ突破がかかっており、またホームでの対戦ということもあって負けられない一戦となった。北京は国内リーグで5試合を終え、3位につけているが、その中国スーパーリーグの公式ページには、グループステージ突破の可能性を持つ北京を応援する「北京国安の試合は中国リーグのため」との見出しの記事が掲載され決戦ムードが醸し出されている。なお、北京はボランチとしてレギュラーで出場していたダルコ・マティッチが出場停止となっており、黄博文とボランチコンビを組む可能性のある選手として、徐亮の名前が上げられている。
警戒したいのは、等々力でもゴールを決めている29番のグリフィスであろう。AFCチャンピオンズリーグでは5試合連続で先発出場しており、チームの主軸としての地位を固めている。そのグリフィスとコンビを組む事の多いブラジル人ストライカーのオットーも警戒が必要な選手の一人であろう。192cmの長身を生かした攻撃を寺田を欠く川崎Fがどのように跳ね返すのか、試合の行方を左右するポイントとなるだろう。
なお、前述の「中国リーグのため」との記事には、グループステージ突破へ向けた勝利給の増額についても報道されており、北京のこの試合への力の入れ具合は並大抵のことではなさそうである。もちろん、それはサポーター(球迷)にも波及しており「この試合の重要性はわかっている。サポーターとして後押ししたい」とのサポーターのコメントを引用しつつ「徹底的な応援で日本チームに悪夢を見させたい」と書かれていた。なお「日本人は漢字を理解できる」として過激な横断幕に対する自制を呼びかけていたのが面白いところである。
試合会場がどのような雰囲気になるかは分からないが、昨季遠征した天津では、殺気立つスタジアムでまさにアウェイの洗礼を受けている。北京のサポーターは、その天津よりも過激だといわれており、またこの試合がグループステージ突破のための直接対決であると言う点でも盛り上がりは去年の比ではないと思われる。ピッチ上で戦う選手はもちろんだが、現地に観戦に行かれる方は無用な軋轢を生むようなことは避けてほしいと思う。
いずれにしても、勝てば川崎Fがラウンド16へと勝ち上がるわかりやすい展開である。是非とも勝利でACLのグループステージを締めくくってほしいと思う。
以上
2010.04.27 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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