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【J1:第4節 広島 vs 名古屋】レポート:勝負を分けた球際の攻防。ピンチをチャンスに変えた広島が、佐藤寿人のスーパーシュートで名古屋を撃破(10.04.22)

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4月21日(水) 2010 J1リーグ戦 第4節
広島 1 - 0 名古屋 (19:04/広島ビ/9,502人)
得点者:88' 佐藤寿人(広島)
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チャンスが一瞬にしてピンチに、さらにまたチャンスに変わる。サッカーの醍醐味は、この攻守の切り替えの瞬間だ。ギリギリの局面でのせめぎ合い。「奪った」と感じた瞬間の落とし穴。88分に起こった出来事も、そんなサッカーの「スリル」が味わえるシーンが起点だった。

この時、横竹翔からボールを受けたのは、広島が誇る超攻撃的センターバック=槙野智章。そのままドリブルで持ち上がり、佐藤寿人とのワンツーで突破をはかった。後半20分すぎから名古屋に押し込まれ、チャンスらしいチャンスをつかめなかった広島にとっては久しぶりのチャンスだ。
しかし、そのワンツーがうまくいかない。ボールは流れ、名古屋のアタッカー・金崎夢生が拾おうとする。この瞬間、チャンスの神様は名古屋へと微笑みかけた。だが、彼がボールをキープしようとしたその時、諦めずにボールを追いかけた槙野がつっかけ、執念でボールを奪い返したのだ。
ここが、チャンスとピンチの境界線。一度はそっぽを向かれそうになったチャンスの神様を、槙野は力づくでもう一度自分たちの方に顔を向けさせた。そこが、勝負を分けた。
槙野からボールを受けた服部の縦パスが李忠成に。この時、名古屋の右サイドバック=田中隼磨は、李のドリブルに加え、槙野のフリーランニングも警戒する必要があり、どうしてもポジションが下がり気味に。一方、他のDFたちはラインを高く保とうと意識していた。この瞬間、名古屋の4バックにギャップが生まれた。

こういうスキを突くことにかけては、佐藤寿人は日本一だ。李がボールを持った瞬間、サイドステップ気味に千代反田充と田中マルクス闘莉王の隙間に入り込み、パスを裏へと要求しながら前に出た。ラインにギャップが生まれているため、オフサイドにはひっかからない。
エースの動き出しを見たその時、「自分にフランサが舞い降りた」(李)。柏時代にコンビを組み、その発想力と圧倒的な技術でサッカーファンを魅了する魔術師・フランサ。そんな彼がよく見せる「裏へのループパス」を、この局面で選択した。

「Jリーグでもトップクラスのアイディアを持つチーム」。ペトロヴィッチ監督は自らが育て上げた「サンフレッチェ広島」を、そう自賛する。「そのアイディアを発揮するには、まずサッカーを楽しむこと。少し力が抜いた状態を保つことなどが重要になる」と指揮官は指摘する。一方で中島浩司は「サッカーを伸び伸びとチャレンジできる雰囲気をつくっているのは監督だ」と証言。そこが連戦と移動で疲労困憊した状況でも「サッカーを楽しもう」という感覚を育て上げ、この緊迫した状況で「アイディアを試そう」という空気を創る。
李のパスは佐藤が走り込んだタイミングにピタリ。ただ、角度はない。ゴールマウスの前に立ちはだかるのは、この日もスーパーセーブを連発していた楢崎正剛だ。コースは完全に消されている。だが日本を代表するリアルストライカーは、たった一つ存在するゴールへの道を見据えていた。バウンドの落ち際を正確にミート。左足を振り切らず、楢崎の股間に向けて正確にボールを「パス」した。ゴールだ!!

槙野がワンツーを狙った瞬間から佐藤の得点まで約13秒。この短い間に、チャンスとピンチは何度も交錯した。もし、金崎が槙野との球際を制していたならば、広島の若きセンターバックが上がったスペースをカウンターで突くことができたはず。実際、77分には槙野が上がったスペースを突き、中村直志のバー直撃のシュートを導き出したのだから。この槙野と金崎との球際の攻防が明暗を分けたと言い切るのは乱暴すぎるが、佐藤寿人のゴールの裏には、チャンスとピンチ、どちらに転ぶかわからないスリルが存在したことだけは確かだ。

名古屋は前節から選手を4人入れ替えた。中2日の疲労を考慮したものだが、ケネディだけは疲労ではなく負傷によるもの。「彼の存在の大きさが際立った試合」とストイコビッチ監督が語るように、攻撃面で大砲の不在が影響を及ぼしていた。また、74分から投入された吉村圭司がアンカーの位置で好プレーを連発したことも皮肉な事象。負傷者続出でターンオーバー制が引けない広島が一体感のあるプレーを見せていただけに、選手の入れ替えによる名古屋の負の影響が、さらに際立った。
次節、広島は中2日で、名古屋は中3日での闘いとなる。対戦相手は1週間の休養で準備も十分だ。非常に厳しい。だが、そこを乗り越えるタフさが、上位にいく条件になる。決して簡単ではないが、「そういう不可能を可能とするコツは、物事をポジティブに考えることだ」というペトロヴィッチ監督の言葉を、両チームの選手ともに噛み締め、次へと歩を進めていかねばならない。

以上


2010.04.22 Reported by 中野和也
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