スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：池ノ上俊一、実況：山崎雄樹、リポーター：風戸直子）
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３試合を終え１勝２分の勝点５で６位タイ。３年目のシーズンの出だしとしては、決して悪くない。ちなみに、第４節を迎える時点での成績は、08年が７位（１勝１敗の勝点３※３節が休みだったため）、09年が11位（１勝２敗の勝点３）と、数字的にはさほど変わらない。だが黒星スタートだった過去２シーズンと違うのは、まだ負けていないという点。そうした流れもあって、冒頭に述べたような『悪くない』という印象を、つい抱いてしまう。
しかし、現場には一切、そうした浮かれた雰囲気はない。むしろ開幕直前のような、ピリピリとした空気に満ちている。例えば、今シーズンのチームファーストゴールを決めた市村篤司は言う。
「試合を重ねて慣れてくる時期だけど、どこかでつまずいて負け出すと、積み上げてきたものが崩れてしまって意味がなくなる。次の岐阜戦は、初戦のつもりでやらないと」
熊本は前節、岡山に対して今季初の無失点ゲームを演じ、アウェイの地で貴重な勝点１を手にした。だが高木琢也監督は、「無失点と言ってもバイタルに入られているところもあるし、まだまだ」と話し、攻撃についても、フィニッシュの精度を高める事が課題だと口にする。確かに、前節放った10本のシュートはネットを揺らす事はできなかった。わずか１週間でシュートの精度を格段に上げるのは難しいとなれば、得点を奪う為に必要なのはチャンスの回数を増やす事。自分たちでボールを動かす時間帯も徐々に増えつつあるが、「つなぐことで相手のDFが出てくれば、（松橋）章太さんのスピードも生かせるようになる」と吉井孝輔が言うように、やはり状況に応じた判断で速攻と遅攻をミックスしていくことが、ゲームの主導権を握り、チャンスを数多く作る上で今後必要になってくる。
今節迎える岐阜は、倉田安治新監督が目指すスタイルを構築している段階。ここまででリーグ最多タイの５失点を喫して連敗中ではあるものの、前節、前々節も失点するまでは組織的な守備で対応する事で相手の良さを消している。攻撃では佐藤洸一、押谷祐樹というタイプの違うFWが前線に控え、ショートパスを繋いでの左右からのクロスや、裏への飛び出しなどを織り交ぜてチャンスを作るシーンは、佐藤と西川優大というツインタワーをターゲットにしていた昨シーズンとは趣が異なる。特に、中盤の橋本卓がボールに触る回数が多くなると、菅和範や左サイドバックの野垣内俊が絡んで攻撃に流れが生まれる。ここまでの試合では先制点が奪えていない事で途中からシステムを変えているが、自分たちの流れでゲームを運ぶ為にも、先制したいところだろう。
しかし３試合とも先制できていないという点においては熊本も同じ。高木監督が就任時に話した通り、最後の15分で点が取れて追いつき、逆転できている事で結果につながっているが、早い段階でリードを奪い、相手を焦らせて突き放すことができれば、終盤の得点の価値はより高まる。東京Ｖ戦後にキャプテンの原田拓も話していたように、先制する事で楽に試合を運べるのなら、それに越した事はない。
その上でも先に失点する事は避けなければならない。たとえ崩されなくてもアクシデント的な失点はあるものだが、そうしたリスクを減らす意味でも求められるのが、相手のアタッキングサードに入る前に起点を潰すこと。前述した通り、岐阜の中盤で鍵を握る橋本をどう抑えるかにかかってくるが、ここは練習で取り組んだ事がピッチでどれだけ表現されるか、ゲームの中で確かめたい。攻撃と守備のバランスや、一気に押し込むべきタイミングをチームとして共有できるかも重要なポイントとなる。
岐阜との対戦成績を振り返れば、JFL時代まで遡っても熊本が勝ったのは昨シーズン第２クールの１試合（５−２＠水前寺競技場）だけと、決して相性がいいとは言えない。しかし、やるべきことを貫徹すれば、自ずとその先に勝利は見えてくるはずだ。
以上
2010.03.26 Reported by 井芹貴志
