今年もJ's GOALでは、全クラブのキャンプ取材を実施します。
レポートに加えて、動画でトレーニングの様子や、選手の生の声をお届けする予定です。監督はもちろん、気になるあの新加入選手のインタビューなど、2月下旬までの間、取材をしていきますので、お楽しみに！

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２月３日から11日まで静岡県静岡市の清水ナショナルトレーニングセンター（J-STEP）でキャンプを張っていた栃木SC。昨日はキャンプの総仕上げとして、湘南を相手にトレーニングマッチを行った。
★栃木公式サイト　湘南ベルマーレ戦の結果と監督・選手コメント

90分戦えるゲーム体力、選手同士の組み合わせ、そして結果を求めて臨んだ、昨季は相性がよかった湘南戦。45分×４本のトータルスコアは２―５（０―２、０―２、０―０、２―１）と、今季のトレーニングマッチでは最多失点を喫した。90分通して動けることは確認できたが、結果はほろ苦いものだった。

「甲府（４日）、清水（６日）戦では自分達のコンセプト通りにプレーできた。新加入選手の戦術の浸透も見られ、成果があった」と、松田浩監督はキャンプ前半と中盤に行われた甲府戦（１―１）、清水戦（１―２）を振り返る。その一方でFWの崔根植とレオナルド、DF大久保裕樹、GK武田博行と離脱者が出たことで、現時点でのベストメンバーが組めなかったに湘南戦については、「自分達のサッカーが全然できなかったことは問題だった」と厳しい評価だった。

松田監督は「高い位置でのボール奪取」を、キャンプのテーマのひとつとして掲げた。複数の選手が連動してボールを奪う動きは、甲府戦でも清水戦でも見られ、うまく自分達の戦術にはめこめたことで手応えを得た。「いい攻撃からのいい守備」というチームコンセプトは格上相手にも十分に表現できた。しかし、湘南戦では「高い位置でボールを奪い、得点を狙う。自分たちがやりたいことをやられた」（松田監督）。
思うようにゲームを運べなかった原因を探れば、判断力が欠けていたということになる。前線から果敢にプレスを掛けてくる相手に対し、DFラインからパスを繋いでいこうとしたことで、簡単にボールを取られては被弾した。１本目の２失点はいずれも安易なミスから起こっている。１ボランチの両脇が空いていて前に出てくる相手の背後のスペースも使えたのに、結局は個々の判断能力が足りずに、ロングボールを織り交ぜるなどチームとして効果的な攻撃が行えなかった。寝食を共にすることでコミュニケーションを深め、意思統一を図り、“チームになる”。大幅に選手が入れ替わった栃木のメインテーマともいえる課題をクリアするには、まだまだ時間を要するだろう。

ただし、昨季の低迷の要因だった「得点力不足」という難題には、少し光が見えてきた。キャンプ前の浦和戦（２―３）を含めれば、トレーニングマッチ４試合で無得点ゲームはない。靴ずれを起こし本調子ではないにしてもリカルド・ロボの存在感は際立つ。特に甲府戦で放ったペナルティエリア内での反転シュートは、圧巻だった。「ブラジル人特有のアドリブが利いていたでしょう」と、本人が満面の笑みで話すように、ゴールに背を向けた状態でシュートを選択できるセンスは、日本人にはない独特のものがある。また、FWでは別メニュー調整が続いていた林祐征が清水戦で持ち前の高さを活かしてゴールを挙げ、新卒の船山貴之も湘南戦でセットプレーから２アシストを決めているのは好材料だ。まだ結果を残していない廣瀬浩二、レオナルド、崔も決定機には絡んでいるだけに、お互いに刺激し合うことでロボのパートナーに名乗りをあげたいところ。

栃木に戻ったらキャンプで浮き彫りになったチームとしての課題を修正しチーム力を高めつつ、個々がポジションを確保するためにサバイバルを繰り広げてほしい。そうすれば、組織としても必ず強くなるはずだ。開幕までの３週間、１秒たりとも無駄にはできない。

以上

★J's GOALでは2010年も全クラブキャンプ取材を実施します！

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2010.02.11 Reported by 大塚秀毅