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【AFCアジアカップ2011カタール 予選Aグループ第5戦 イエメン vs SAMURAI BLUE(日本代表)】レポート:平山相太が80年ぶり2人目の代表デビュー戦でのハットトリックを達成し逆転勝利。アジアカップへの出場が決定!(10.01.07)

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1月6日(水) AFCアジアカップ2011カタール 予選Aグループ第5戦
イエメン 2 - 3 SAMURAI BLUE(日本代表) (22:15/サヌア/ 10000人)
得点者:13' バセム・アルアケル(イエメン)、39' サミ・カラマ(イエメン)、42' 平山相太(日本)、55' 平山相太(日本)、79' 平山相太(日本)
日本代表特集
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前半の戦いを象徴する言葉があるとすれば、それはショッキングというものになるだろう。試合開始直後の2分に権田修一(F東京)が犯したミスを皮切りに、ショッキングな場面が連続する。あそこまで出来ないものかという点で、序盤の日本代表の戦いに対して、まずはショックを受けた。イエメンの攻撃が優れていたというよりは、日本代表が自ら壊れていたと表現する方が適切なのかもしれない。浮き足立つという言葉どおりの戦いをしてしまったのである。

もちろん、その最大の理由は経験のなさにあるだろう。この日、先発のピッチを踏んでいた11人の選手のうち、代表初出場の選手は実に9人に及んでいた。フレッシュな顔ぶれの選手たちが試合開始直後のミスをきっかけに大きなピンチを迎えた結果、精神的に動揺したとしても不思議ではない。さらにそこにピッチコンディションが追い打ちをかける。岡田武史監督は前日会見で「我々はパスを繋ぐサッカーなのでピッチ状態が大きく左右する」と話していたが、その懸念がまさに的中する。グラウンダーのパスは距離が長くなれば長くなるほど不規則にバウンドし、ボールコントロールを難しくする。トラップを一発で決められないことで、イエメンの選手からのプレッシャーをもろに受け、結果的にバックパスは増えていく。
またシステム的な問題も存在していた。岡田監督は試合後に「ディフェンスの4枚とボランチの2枚が攻守にわたって下がりすぎていた」とその問題点を指摘。攻撃陣と守備陣との数的なアンバランスが、イエメンに押し込む隙を与えていたのである。

我慢しなければならない試合展開の中、思わぬ方向に試合は動いていく。立ち上がりから1本もシュートを打てない日本代表に対し、イエメンは前半13分のCKの場面でアケル(背番号2)が頭で押し込む。経験の浅い日本代表にとっては荷が重い展開の中、さらに17分に山田直輝(浦和)が悪質なタックルによって右足首を痛め、そのまま負傷退場を余儀なくされる。その山田に代わりピッチに立った平山相太(F東京)だが、システム上の問題もあり、前半はほぼ消えることとなった。
39分にはイエメンの追加点が現実のものとなるのだが、そうした試合展開の中、一矢を報いたのが42分の平山のヘディングゴールだった。「金崎がGKの前にいいボールを入れてくれたので、うまく合わせられて良かったです」とその場面を振り返る平山は、後半に入り一気に覚醒する。

攻守にわたりショッキングな前半を終えた岡田監督は、後半の頭からボランチの山村和也(流通経済大)に代えて乾貴士(C大阪)を投入。劣勢の打破を試みる。ポイントは攻守のアンバランスの解消だった。ボランチは米本拓司(F東京)1枚となり、平山、渡邉千真(横浜FM)の2トップを3枚の攻撃的MFがフォローする形となる。
そしてこの采配が的中する。長身2トップへ入るクサビの回数が如実に増えるのである。
「前に大きな起点ができ、(そこに)上げたら勝てるというのはありました」と金崎夢生(大分)。クサビを入れさえすればある程度勝ってくれるというのは、2列目以降の選手の2トップに対する信頼感を生み、さらにいえばこの日のピッチコンディションに適合した戦いとなる。つまりグラウンダーのパスにとどまらず、時には思い切ったフィードによる空中戦を選択しやすくなったのである。
後半の日本代表の変貌をもたらしたもうひとつの要素が、乾の起用だった。右サイドを主戦場とした乾のドリブルは、確実にイエメン代表にプレッシャーを与えた。その乾の起用が実を結んだのが、後半10分の場面である。右サイドを縦方向に突破すると中央へとクロス。これを受けた平山が反転しつつ左足を振り抜き同点ゴールを奪うのである。日本代表は引き分けでも予選突破が決まる状況ではあったが、2点のビハインドを追いつくという状況の中で、誰ひとりとしてそこで攻撃の手を緩めることはなかった。

2点を追いつかれたイエメンに精神的な落ち込みがあったのは間違いない。そしてそのイエメン代表に対し、トップ下へとポジションを移した柏木陽介(広島)がピッチ上を縦横無尽に走り回り、献身的かつ積極的なプレスを仕掛けるのである。さらにいうと、最終ライン前のスペースをひとりで埋めることになった米本が、これまた出色の出来でイエメンの攻撃の芽を潰し続けた。
攻撃的な守備によりボール支配率を高めた日本代表は、信頼感のある2トップを積極的に使う。そしてそこに交代出場の乾が絡むことで試合の流れを完全に掴んだ。
この試合のクライマックスは後半34分に訪れる。大きなサイドチェンジから左に展開されたボールは渡邉の足元へ。「アシストは相太さんが見えたので」と語る渡邉が国見高校の先輩へラストパスを送ると、このボールをペナルティエリア内の平山がダイレクトで蹴り込んだ。アウェイで2点を先行された日本代表は、時間の経過に伴う落ち着きと采配、そして戦術の変更によって逆転に成功。
喜びを見せる日本代表を傍目に、イエメンサポーターは急速に試合への興味を失う。公式記録で10000人と発表された観客の大多数が入場するバックスタンドは、家路を急ぐサポーターの動きで慌ただしくなる。プレーの合間に両膝に手を置き、苦しげに息をする金崎や柏木の姿を見ていれば、高地に慣れているはずのイエメン代表が追いすがる展開は十分にありえる。しかしそれが信じられず、が故に緊張感を失ったスタジアムは、結果的に熱気を失った。そうなると試合は俄然、リードを保つ日本代表にとって有利なものとなる。ホームスタジアムのアドバンテージを受けられないイエメン代表はサポーターにも見捨てられ、試合を落とすこととなった。

この試合結果により、日本代表はアジアカップ2011カタールへの出場権を手中にする。ただ、岡田監督は試合後、今回の選手たちが日本代表へ定着する可能性について、非常に厳しい見解を口にしていた。80年ぶりに日本代表デビュー戦でのハットトリック達成という結果を残した平山に対してもそれは同様。それは、これまでの日本代表メンバーに対してそれほどまで信頼を置いているという証とも言えるし、今回の若い日本代表選手たちに対してさらなる成長を促す言葉だと解釈すべきでもある。
スケジュールの都合により、予期せぬ形で編成された今回の若い日本代表は結果を出した。ただ、まだこれまでの日本代表メンバーを脅かすには力が足りない。その差を自覚し、その差を埋めるべく切磋琢磨することを岡田監督は求めているようにも思えた。

以上

2010.01.07 Reported by 江藤高志
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